エル_ELLE
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キッドマンの他にも、ダイアン・レインシャロン・ストーンジュリアン・ムーアマリオン・コティヤールシャーリーズ・セロンカリス・ファン・ハウテンがミシェル役に想定されていた[9][10][11]。バーホーベンはアメリカ人女優がこのような大胆な役を演じたがらないことに不満を述べている。バーホーベンはオファーを受ける可能性があった唯一の女優としてジェニファー・ジェイソン・リーの名を挙げたが、知名度の不足から起用に至らなかった[12]

当初、本作の撮影はシカゴボストンで行われる予定だったが、暴力的かつ背徳的な内容の作品をアメリカで撮影すると、『氷の微笑』の方向性になってしまうと判断され、フランスで撮影が行われることになった[13][14]。その結果、バーホーベンはフランス語の習得に相当な時間を費やすことになった[15]2014年9月、イザベル・ユペールがミシェル役に起用された[16]。ユペールは本作に関して「私は役の整合性については疑わなかった。もちろん、『エル』をレイプやレイプ加害者に惹かれる女性という物語に回収するならば、この映画の意図全体がひどく狭い偏ったものになってしまう。『エル』はそれ以上の広がりを持つ物語である。女性とは何か、男性とは何かといった安易な通念に従わないからこそ、ミシェルは面白いキャラクターになっている。誰が見ても『エル』は女性を主人公とした映画だ。しかし、この作品は男性―自分を押し殺して生きるとても弱い、とても脆い人間―についての映画でもあるのだ。だからこそ、この映画は女性の自立を描いた映画になっている。」と述べている[17]
撮影

本作の撮影は2015年1月10日に始まり、パリとその周辺地域で行われた[18]。1月7日のシャルリー・エブド襲撃事件の影響を受けて、警察署を借りた撮影が出来なくなった[19]。ミシェルの自宅でのシーンの撮影はサン=ジェルマン=アン=レーで5週間にわたって行われた[20]。バーホーベンの演出はジャン・ルノワールの『ゲームの規則』やフェデリコ・フェリーニの『8 1/2』、オーソン・ウェルズの『黒い罠』に影響を受けたものになったという[15]。なお、本作の撮影にはレッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニー製の2台のカメラが使用された。これにより、撮影期間を短くすることが出来たという[21]
公開

2015年5月に開催されたカンヌ国際映画祭の会場で、本作のポスターが初めて公開され、SBSプロダクションズが本作の配給権を販売した[22]。2016年1月16日、本作のファースト・トレイラーと最終版のポスターが公開された[23]。同年3月11日、SBSディストリビューションが本作の全仏公開日を2016年9月21日から同年5月25日に前倒しすると発表した[24]。4月14日、第69回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門への出品が決まった[25]。27日、本作の劇中写真数枚が公表された[26]。2016年5月11日、ソニー・ピクチャーズ・クラシックスが本作の北米配給権を購入した[27]。カンヌでの上映後、ソニーは本作の全米公開日を2016年11月11日に設定した[28]

本作はトロント国際映画祭サン・セバスティアン国際映画祭ロンドン映画祭ニューヨーク映画祭AFI映画祭でも上映された[29]
評価

カンヌで本作が上映された後、7分間にもわたるスタンディングオベーションが巻き起こった[30]。『ハリウッド・レポーター』のレスリー・フェルプリンは「今まで製作されたレイプ映画の中でも最高の作品」「劇中でミシェルがレイプに対して見せた複雑な反応は、フェミニストの怒りを買うだろう。しかし、あの描写は映画史で最も勇気を要する描写の一つであり、最も誠実な描写の一つであった。」と評している[31]。『カイエ・デュ・シネマ』のステファン・デロームは「バーホーベンの衝撃的な復帰作だ。私たちはこれほどまでに大胆不敵で芳醇な映画を想像だにしなかった。」と賞賛している[32]

映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには150件のレビューがあり、批評家支持率は89%、平均点は10点満点で7.9点となっている。サイト側による批評家の意見の要約は「『エル ELLE』において、ポール・バーホーベンは最大限の力を発揮しており、主演のイザベル・ユペールは見事な演技で作品に貢献している。」となっている[33]。また、Metacriticには35件のレビューがあり、加重平均値は89/100となっている[34]
出典^ “ ⇒Paul Verhoeven, a Frenchman by adoption”. 2017年2月11日閲覧。


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