エミー賞
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ロサンゼルスを本拠地とするテレビ芸術科学アカデミー(ATAS)は、広報の一環としてエミー賞を設立した[3]。最初のエミー賞授賞式は、1949年1月25日にハリウッドアスレチッククラブ(英語版)で開催されたが、このときの受賞対象はロサンゼルス地域で製作され放映された番組だけだった。「エミー」(Emmy)という言葉は、撮像管の一種のイメージオルシコンを意味するテレビ関係者の間で使われるスラングImmyをフランス語風に変えたものである[4]

1950年代に、ATASはエミー賞を全国的なイベントに拡大し、全米で放映された番組に賞を贈った。1955年、ATASは東海岸で活動する会員のための姉妹組織として全米テレビ芸術科学アカデミー(NATAS)をニューヨークに設立し、この組織もエミー賞の監督を行った。NATASは全米各地に支部を設け、それぞれの支部が地元の番組のために独自の地域エミー賞を実施した[3]。しかし、ATASは、ロサンゼルス地域での地元の番組を表彰する地域エミー賞を依然として維持していた[5]

元々、全米で放送される番組に対するエミー賞の授賞式は年1回だけだった。1974年、全米のデイタイムの番組に対して贈られる第1回デイタイム・エミー賞授賞式が開催された。全米各地域の地域エミー賞がそれに続いた。1970年代初頭には、アメリカ以外で放送されたテレビ番組に対する国際エミー賞が設立された[3]。1977年、様々な矛盾の解消のため、ATASとNATASは関係を分けることに合意した。一方で、エミー像と商標の所有権を共有し、それぞれが特定の授賞式を管理する責任を負うことでも合意した。ただし、技術・工学に関する賞については例外的に、それぞれの団体が別の賞を授与している。

1980年代のケーブルテレビの台頭により、ケーブルテレビの番組も1988年にプライム・タイムエミー賞[6]、1989年にデイタイム・エミー賞で受賞対象となった[7]

2011年、ABCテレビネットワークは2つのドラマ番組のテレビ放映を打ち切りし、放映権を制作会社に売却した。制作会社はWebテレビ(英語版)で視聴が継続できるようにした。これを受けて、NATASは2013年のデイタイム・エミー賞から、Webテレビのための部門を新設した[8]。ATASも2013年からWebテレビ番組を受賞対象に含めるようになった[9]

2023年度開催の第75回は当初同年9月18日に授賞式の開催を予定していたが、全米脚本家組合(WGA)と映画俳優組合-米国テレビ・ラジオ芸能人組合(SAG-AFTRA)がストライキを行っていることから2024年1月15日に延期することを2023年8月10日に発表した[10][11]。第50回デイタイムも同様無期延期中
トロフィーエミー賞のトロフィー

エミー賞のトロフィーは、原子模型を掲げた羽の生えた女性の像で、「エミー像」(The Emmy statuette)と呼ばれる。テレビ技術者ルイス・マクマヌス(英語版)がデザインしたもので、彼の妻をモデルとしている。1948年にマクマヌスのデザインに決着するまで、ATASは47の提案を拒絶した。それ以来この像は、テレビの芸術と科学を支援し高揚させるというテレビアカデミーの目標の象徴となっている。翼は芸術の女神を表し、原子は科学を表す[12]

賞の名前を決めるとき、アカデミーの創設者シド・カシド(英語版)は"Ike"(アイク)を提案した。これは、撮像管の一種のアイコノスコープ(英語版)を意味するスラングだった。しかしアイクは、第二次世界大戦の連合国遠征軍最高司令官ドワイト・D・アイゼンハワー(後のアメリカ合衆国大統領)の愛称でもあり、ここから名前を取ったと思われてしまうということで、アカデミーの他のメンバーは拒絶した。最終的に、テレビ技術者でアカデミー副理事のHarry Lubckeが、初期のテレビカメラに使われていたイメージオルシコンのスラングImmyを提案した[12]。Immyが選ばれた後、トロフィーの女性像に合わせる形で、女性名化してEmmyとした[12]

プライムタイム・エミー賞の各賞のトロフィーは、重さが6ポンド12.5オンス(3.08kg)で、銅・ニッケル・銀・金でできている。像は高さ15.5インチ (39 cm)、直径7.5インチ (19 cm)、重さ88オンス(2.5 kg)である。地域エミー賞の像は高さ11.5インチ(29cm)、直径5.5インチ(14 cm)、重さ48オンス(1.4 kg)である。それぞれ製造に5時間半かかり、指紋がつくのを防ぐために白い手袋で取り扱われる。

地域エミー賞のトロフィーは、ゴールデングローブ賞のトロフィーも作成している、ニューヨークを拠点とする企業であるソサイエティ・アワーズ(英語版)によって作成される。プライムタイム・エミー賞のトロフィーは、イリノイ州シカゴを拠点とするR.S. Owens & Company(英語版)によって作成されている[13][14][15]

ATASとNATASは共同でエミー賞に関する商標を所有しており、「エミー賞」という名前とエミー像の画像の使用について厳格な規則を課している。例えば、エミー像は常に左向きにしなければならない。像の著作権表示は「ATAS/NATAS」と両団体を併記しなければならない。アカデミー会員は、たとえ賞の受賞者であったとしても、像の画像や名前を宣伝用に使用する場合は許可を得なければならない。さらに、エミー賞を受賞した番組のDVDは、エミー賞を受賞したという事実を表示しても良いが、受賞から1年後に全てのコピーから削除できない限り、像の画像を使用できない[16][17]
プライムタイム・エミー賞詳細は「プライムタイム・エミー賞」を参照

一般的にエミー賞というと、通常はこの「プライムタイム・エミー賞」のことを指す。1日のうち最も視聴率が高くなるプライムタイム(夜)に放送する番組が対象で、主にテレビドラマバラエティ番組に対する表彰を行っている。


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