エミー賞
[Wikipedia|▼Menu]
1980年代のケーブルテレビの台頭により、ケーブルテレビの番組も1988年にプライム・タイムエミー賞[6]、1989年にデイタイム・エミー賞で受賞対象となった[7]

2011年、ABCテレビネットワークは2つのドラマ番組のテレビ放映を打ち切りし、放映権を制作会社に売却した。制作会社はWebテレビ(英語版)で視聴が継続できるようにした。これを受けて、NATASは2013年のデイタイム・エミー賞から、Webテレビのための部門を新設した[8]。ATASも2013年からWebテレビ番組を受賞対象に含めるようになった[9]

2023年度開催の第75回は当初同年9月18日に授賞式の開催を予定していたが、全米脚本家組合(WGA)と映画俳優組合-米国テレビ・ラジオ芸能人組合(SAG-AFTRA)がストライキを行っていることから2024年1月15日に延期することを2023年8月10日に発表した[10][11]。第50回デイタイムも同様無期延期中
トロフィーエミー賞のトロフィー

エミー賞のトロフィーは、原子模型を掲げた羽の生えた女性の像で、「エミー像」(The Emmy statuette)と呼ばれる。テレビ技術者ルイス・マクマヌス(英語版)がデザインしたもので、彼の妻をモデルとしている。1948年にマクマヌスのデザインに決着するまで、ATASは47の提案を拒絶した。それ以来この像は、テレビの芸術と科学を支援し高揚させるというテレビアカデミーの目標の象徴となっている。翼は芸術の女神を表し、原子は科学を表す[12]

賞の名前を決めるとき、アカデミーの創設者シド・カシド(英語版)は"Ike"(アイク)を提案した。これは、撮像管の一種のアイコノスコープ(英語版)を意味するスラングだった。しかしアイクは、第二次世界大戦の連合国遠征軍最高司令官ドワイト・D・アイゼンハワー(後のアメリカ合衆国大統領)の愛称でもあり、ここから名前を取ったと思われてしまうということで、アカデミーの他のメンバーは拒絶した。最終的に、テレビ技術者でアカデミー副理事のHarry Lubckeが、初期のテレビカメラに使われていたイメージオルシコンのスラングImmyを提案した[12]。Immyが選ばれた後、トロフィーの女性像に合わせる形で、女性名化してEmmyとした[12]

プライムタイム・エミー賞の各賞のトロフィーは、重さが6ポンド12.5オンス(3.08kg)で、銅・ニッケル・銀・金でできている。像は高さ15.5インチ (39 cm)、直径7.5インチ (19 cm)、重さ88オンス(2.5 kg)である。地域エミー賞の像は高さ11.5インチ(29cm)、直径5.5インチ(14 cm)、重さ48オンス(1.4 kg)である。それぞれ製造に5時間半かかり、指紋がつくのを防ぐために白い手袋で取り扱われる。

地域エミー賞のトロフィーは、ゴールデングローブ賞のトロフィーも作成している、ニューヨークを拠点とする企業であるソサイエティ・アワーズ(英語版)によって作成される。プライムタイム・エミー賞のトロフィーは、イリノイ州シカゴを拠点とするR.S. Owens & Company(英語版)によって作成されている[13][14][15]

ATASとNATASは共同でエミー賞に関する商標を所有しており、「エミー賞」という名前とエミー像の画像の使用について厳格な規則を課している。例えば、エミー像は常に左向きにしなければならない。像の著作権表示は「ATAS/NATAS」と両団体を併記しなければならない。アカデミー会員は、たとえ賞の受賞者であったとしても、像の画像や名前を宣伝用に使用する場合は許可を得なければならない。さらに、エミー賞を受賞した番組のDVDは、エミー賞を受賞したという事実を表示しても良いが、受賞から1年後に全てのコピーから削除できない限り、像の画像を使用できない[16][17]
プライムタイム・エミー賞詳細は「プライムタイム・エミー賞」を参照

一般的にエミー賞というと、通常はこの「プライムタイム・エミー賞」のことを指す。1日のうち最も視聴率が高くなるプライムタイム(夜)に放送する番組が対象で、主にテレビドラマバラエティ番組に対する表彰を行っている。対象作品は午後6時から午前2時までの間に放送され、全米の少なくとも50%の地域で放送されなければならない。また、NetflixAmazonプライム・ビデオなどのストリーミング配信作品は、プライムタイム・エミー賞とデイタイム・エミー賞のどちらかにエントリーするか選択できるが、どちらか片方にしかエントリーできない。

授賞式は通常9月に行なわれる。授賞式の時間内で発表しきれない賞やスタッフを対象とした賞はプライムタイム・クリエイティブ・アート・エミー賞としてまとめられ、1週間前に表彰式も別で行われる。メインのプライムタイム・エミー賞の主要部門の内、特に以下は主要3部門とされており、作品賞、演技賞に注目が集まる。

コメディ・シリーズ部門 (Outstanding Comedy Series)

ドラマ・シリーズ部門 (Outstanding Drama Series)

リミテッド・シリーズ部門 (Outstanding Limited Series)

デイタイム・エミー賞詳細は「デイタイム・エミー賞」を参照

デイタイム(昼間)に放送する番組が対象なので、主に昼ドラマトーク番組に対する表彰を行っている。また、プライムタイムとは別にデイタイムでもクリエイティブ・アート・エミー賞がある。授賞式は通常5月か6月に行なわれる。
チルドレン&ファミリー・エミー賞

チルドレン&ファミリー・エミー賞は、近年のエンタテインメント業界における家族・子供向けジャンルの急成長とコンテンツの増加を受け、2022年に新設された家族・子供向け作品のためのコンペディション。同時にプライムタイム・エミー賞とデイタイム・エミー賞のアニメ部門や子供向けジャンルのすべての部門がこちらに移行された。第1回授賞式は、2022年12月10日(土)、11日(日)にロサンゼルスのウィルシャーエベルシアターで開催された。
スポーツ・エミー賞詳細は「スポーツ・エミー賞」を参照

優れたスポーツ番組に与えられる。毎年4月後半か5月初旬に授与式が開かれる。
工学エミー賞詳細は「技術・工学エミー賞」を参照

工学に関するエミー賞には、ATASが授与するプライムタイム工学エミー賞(英語版)と、NATASが授与する技術・工学エミー賞(日本では「テクノロジー&エンジニアリング・エミー賞」と記述することもある[18][19])の2種類の別の賞があり、いずれも、テレビの技術・工学的側面に対して優れた発展・貢献をもたらした個人・企業・科学技術関連組織に与えられる。通常、NATASの技術・工学エミー賞の授賞式は1月に、ATASのプライムタイム工学エミー賞の授賞式は10月に開催される。どちらの賞も、テレビ業界で経験豊富な技術者が選考委員となっている。

ATASはこの他に、テレビ・放送の技術に長い間大きな影響を与えてきた企業に対してフィロ・T・ファーンズワース賞(英語版)を授与している。
地域エミー賞

全米を20の地域に分け、それぞれの地域で優れた報道や娯楽を提供したプログラムに与えられる。
国際エミー賞詳細は「国際エミー賞」を参照

国際エミー賞は、アメリカ合衆国外で製作・放送された優れたテレビ番組を表彰する賞である。1973から国際テレビ芸術科学アカデミーによって毎年発表されてきた。授賞式は通常11月にニューヨークで行われる。

米国以外の組織または個人(ネットワーク、地方または地域のテレビ局、プロデューサー、ディレクター、作家)が番組を提出することができる(非英語のアメリカのプライムタイム番組部門に該当する場合を除く)。番組の著作権を所有していない組織または個人は、提出物を提示する前に、権利所有者から同意を得なければならない。これは、アカデミーの会員以外でも行える[20]
学生エミー賞

高校生・大学生が作成した作品に与えられる賞。正課・課外活動で作成した作品を地域の支部に提出すると、作成に関わった学生(最大100人)に参加賞としてバッチが与えられる。その上で、各地域ごとの優秀賞が選ばれる。不況による財政難で2009年以降中断している。
脚注[脚注の使い方]
出典^ “BBC Learning English | Emmy awards”. Bbc.co.uk (2007年9月17日). 2013年2月23日閲覧。
^ “Awards”. Academy of Television Arts & Sciences. 2008年9月14日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2008年6月21日閲覧。
^ a b c “ ⇒A History of Emmy ? The 1940s”. Academy of Television Arts & Sciences. 2017年1月24日閲覧。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:58 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef