エマニュエル・スウェーデンボルグ
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スヴェーデンボリが生前公開しなかった『霊界日記』において、聖書中の主要な登場人物使徒パウロ地獄に堕ちていると主張したり[2]ダビデを「ドラゴン」と呼び彼も地獄に堕ちているとしたり[3]、同様にプロテスタントの著名な創始者の一人フィリップ・メランヒトンが地獄に堕ちたと主張した。だが、それらが書かれているのは、スヴェーデンボリがこの世にいながら霊界に出入りするようになった最初の時期にあたる非公開の日記であるため、スヴェーデンボリが自身で刊行した本の内容との相違点も若干見られる。主イエスの母マリアはその日記[4]に白衣を着た天国の天使としてあらわれており、「現在、私(マリア)は彼(イエス)を神として礼拝している。」と発言している。

スヴェーデンボリが霊能力を発揮した事件は公式に二件程存在し、一つは、ストックホルム大火事件、もう一つはスウェーデン王室のユルリカ王妃に関する事件である。

スヴェーデンボリは聖書中に予言された「最後の審判」を1757年に目撃したと主張した。しかし、「世界の政治・宗教・神学上で、その年を境になんらかの変化が起こったとは言えないため安直である」と彼を批判する声もある。

スウェーデンボリによる霊界の描写は、現代人に起こる臨死体験と共通点が多いとされる。両者に共通する点は、広大なトンネルを抜ける体験や光体験、人生回顧や時空を超えた領域を訪れる体験などである[5]
自然科学1714年のノートに残されたグライダーのスケッチ

スヴェーデンボリは当時、ヨーロッパ有数の学者として知られ、彼が精通した学問は、数学物理学天文学宇宙科学鉱物学化学冶金学解剖学生理学地質学自然史学結晶学などである。結晶学についてはスヴェーデンボリが開拓者の一人である。

動力さえあれば実際に飛行可能と見られている飛行機械の設計図を歴史上はじめて書いたのはスヴェーデンボリが26歳の時であり、現在アメリカ合衆国スミソニアン博物館に、この設計図が展示保管されている。

霊界では地球人の他に火星人や、金星人、土星人や月人が存在し、月人は月の大気が薄いため、胸部では無く腹腔部に溜めた空気によって言葉を発するなどと説き、いまだに未知なる部分も多い。
評価

スヴェーデンボリへの反応は当時の知識人の中にも散見され、例えば哲学者イマヌエル・カントは『視霊者の夢』中で彼について多数の批判を試みている。一方で、カントは限定的に「スヴェーデンボリの考え方はこの点において崇高である。霊界は特別な、実在的宇宙を構成しており、この実在的宇宙は感性界から区別されねばならない英知界である」(K・ ペーリツ編『カントの形而上学講義』から)と評価も下し、後のカントは「彼の不思議な能力の非常に多くが確実であり、彼は道理をわきまえ、礼儀正しく、隠しだてのない人物であり、学者である」と率直に語った[1]という。また、哲学者ラルフ・ワルド・エマソンは、スヴェーデンボリを霊的に巨大と評価し、他にフリードリヒ・シェリングの『クラーラ』など、スヴェーデンボリの霊的体験を扱った思想書も存在する。

また、ヘレン・ケラーは「私にとってスヴェーデンボリの神学教義がない人生など考えられない。もしそれが可能であるとすれば、心臓がなくても生きていられる人間肉体を想像する事ができよう。」と発言し、他に影響を受けた著名人としては、ゲーテオノレ・ド・バルザックフョードル・ドストエフスキーヴィクトル・ユーゴーエドガー・アラン・ポーストリントベリホルヘ・ルイス・ボルヘスなど挙げられ、特にバルザックは、その母親ともに熱心なスヴェーデンボリ神学の読者であった。


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