エベレスト
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登山
登山者数2010年までの年ごとの登頂者数の推移

登頂者数は2010年時点で3142人(のべ5104人)で[51]、その中の142人(のべ173人)が無酸素で登頂している[52]。2012年には登頂者数が3842人(うち女性は219人)となり、1週間にベースキャンプから山頂まで2往復する女性も現れた[53]。商業登山や公募隊が盛んになり、登山者数はますます増加する傾向にある。登頂のためのノウハウが蓄積され、死亡率は減少傾向に、登頂成功率は上昇傾向にある。登山者の増加により、渋滞が問題になっており、渋滞によりヒラリー・ステップで2時間半 – 4時間待つこともあり、ヒラリー・ステップを簡単に素早く登れるように2013年現在、固定ロープだけでなくはしごも設置することが検討されている[54]。2018年には登頂者は807人と過去最高となった[55]。2019年5月22日には200人以上が頂上を目指し[56]、頂上から登山者が数珠つなぎになって渋滞した[55]。渋滞に12時間も巻き込まれて体調を崩して死亡する登山者も出てきている[55][56]
入山料と費用

エベレストに入山するには入山料を支払わないと登れないシステムになっている。2015年時点の入山料は、ネパール側では春の通常ルート(南東稜)で1人あたり1万1000ドル[57]。ほかにリエゾン・オフィサーや医療サポート、ロープ設置などの名目で1500ドルほどかかる[58]。春以外の季節、または通常ルート以外のルートでは、入山料はこれよりも安くなる[59]。2014年の価格改定時に1人で登る場合の入山料が値下げされたが、団体割引がなくなっている。チベット側の入山料は1人あたり7000ドルである(2015年時点)[58]。中国側では許可証を発行する中国チベット登山協会により毎年発表される。料金には装備を運ぶヤクをはじめ、地元のガイド、通訳、チベット自治区ラサからのベースキャンプまでの交通費が含まれたものとなっており[60]ネパール側よりも高額である。

登山ツアー(商業公募隊)が多数あり、2015年現在、ネパールからの通常ルートの場合、入山料などのすべての諸経費込みで3万5000 – 8万5000ドル程度となっている[57]。ネパールからの通常ルートは、シーズンごとに各隊のシェルパが固定ロープ、はしごを設置し、それに沿って登山する形となり、氷壁などを登る必要などはない。チベット側からの登山は難易度が相対的に高くなっているが[61]、こちらも公募隊が多数組まれている[57]。商業公募隊には品質のばらつきがあり、死亡率の高いものも存在する。最近の日本人による登頂のほとんどが商業公募隊かテレビ局の撮影をともなうものになっている[62]
商業登山への懸念と批判

エドモンド・ヒラリーは登山ツアーを「商業活動」と批判している[63]田部井淳子も、現地ネパール人の助けがあって登頂に成功したが、今では助けを得られるかはお金次第であると述べ、登山の過度の商業化を危惧した[63]。また登山者数の増加にともない、ネパール側、チベット側の2つのノーマルルートで渋滞が発生し、それが誘引となって遭難する案件も出てきている。2005年にはチベット側だけで35グループのエベレスト登山ガイド隊が活動しており、一連の登山ビジネスの活発化が山に対する敬意や畏怖の念を薄れさせると懸念する声も上がっている[63]。詳細は「公募隊」を参照
遭難

登山ルートには、随所に120体もの遭難者の遺体が放置され、凍結か、乾燥によりミイラ化している。遺体の中には登山ルートの目印となっているものもある。遭難死の7割は下山時に発生している。

ネパール側のエベレスト以外(K2など)の山も含めたヒマラヤ山脈での標高8500 m以上の山の登山での死亡率は以下の通り[64]

時期位置登山者(シェルパ・ガイド除く)シェルパ・ガイド全登山者
総数死亡者数死亡率総数死亡者数死亡率総数死亡者数死亡率
1950年 ? 1989年標高8500 m以上の山3451752.17 %2705471.74 %61561221.98 %
1990年 ? 2006年標高8500 m以上の山6401921.44 %4379300.69 %107801221.13 %
エベレスト通常ルート[注 5]4549641.41 %3380220.65 %7929861.08 %

登山ツアーの1つであるHimalayan Experienceの客の登頂成功率は、悪天候とシェルパの死[65]により誰も登らなかった2012年を除くと、客を毎年20名前後取るようになった2003 ? 2011年で60 ? 82 %[66](この数字はガイド・シェルパを含まず)である。

日本人専用の登山ツアーとしてアドベンチャーガイズがあり、2004 ? 2013年にガイドを除いて23名参加し、17名登頂成功、2名[62]死亡(死亡事例はいずれもガイド自身がエベレスト登頂未経験のケースに発生)。
制限
年齢

ネパール側の登山ルートは成人(16歳以上)のみ登山ができる年齢制限がかかっており、2010年9月より中国側登山ルートによる登山が18歳から60歳に年齢制限がかかる。制限導入の背景は、従来より若年層による登山にはより大きな危険がともなうと批判が出ていたこと、最年少記録更新のヒートアップが予想されたことなどがある[67]。ただし中国側の規制は強制ではなく[68]、2014年には13歳のマラバト・プルナが中国側から女性最年少登頂を果たしている。


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