エフェクター
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トーキング・モジュレーター
周波数分布に母音と似た癖を付けることで楽器の音に人がしゃべっているようなイントネーションを加えるもの。
アイソレーター
特定帯域をカットするイコライザーの一種。主にDJミキサーに内蔵されている。人間の音声帯域をカットするボーカルキャンセラーというものもある。
増幅・歪みの付加

楽器を繋ぐアンプの種類・音量設定などにかかわらず、電気的に増幅したり、その結果任意で歪んだ(ひずんだ)音色を得るもの。回路方式・使用素子の種類は多種多様で、真空管、各種トランジスタ、IC(集積回路)などが用いられる。歪みを得る目的のエフェクターである「ファズ」「オーバードライブ」「ディストーション」の分類で明確な範囲決め・定義は曖昧である。
ブースター
楽器からの信号を楽器用アンプに入力する前に電気的に増幅(ブースト、boost)し、より大きな音量を得るもの。
ファズ
倍音が著しく強調され、調整によって耳に刺激的、あるいは濁った音色を得るもの。
オーバードライブ
入力側から過大な入力電圧を加えるか過大増幅になったとき、アンプの限界で飽和し、出力音が歪んでしまう(オーバードライブ overdrive 元は“酷使”の意)。意図的にこの状態を作り出し、歪んだ(ひずんだ)音色を得るもの。
ディストーション
一般的にオーバードライブに比べて、より荒々しく硬質で深い歪みを得るもの。
アナログエミュレーター
イコライザー、コンプレッサー、真空管磁気テープミキシング・コンソールアンプなど特定モデルのアナログ機器の周波数特性およびサチュレーションと呼ばれる圧縮&歪み効果をデジタル回路でエミュレートしたもの。アナログ機器の特性を再現したり、歪みによる倍音を加えて音声を明るくする目的等で使われる。
残響・反響音の付加
ディレイエコー
原音を遅延させる効果を与えるもの。原音に遅延させた音を混ぜることで山彦のような効果を得る。もともと、ディレイは当該機能の原理に基づいた呼称であり、一方のエコーは得られた効果に基づいた呼称である。従って原理上は差異は無い。ただし、エコーが原則として山びこの様な反響音として聞こえる効果のみを指すのに対し、ディレイはフランジャーやコーラスの様に同じ原理・構造を有するエフェクターも含まれる場合がある。
リバーブレーター
原音に対して残響を加えるもの。原音を様々な時間で遅延させた複数の音を自然に近い対時間減衰特性を持たせて混ぜることにより、ホールや風呂場のような残響を生み出す。一般的には出力を入力に帰還させるIIRフィルターによって実装されるが、帰還のないFIRフィルターを用いることによりモデルとするホールなどの残響の高い再現性が得られる。ただし、後者の方が遥かに長時間分の残響特性メモリと高い演算能力を要する。
低周波による変調

低周波によって原音の振幅や位相を変調し、聴感上の揺らぎを作り出すもの。
トレモロ

周期的に音量を上げ下げしトレモロ効果をかけるもの。
フェイザー
またはフェイズシフター。原音と位相(フェイズ)を変化(シフト)させた音を任意の割合で混合させ、「波の干渉」の原理を利用して音色を連続的に変化させる機能を有する。通常は「シュワー」という音を人工的に作り出すものとされる。ホワイトノイズにこれを施すとジェットエンジンの回転数が上がっていくような音が得られる。
フランジャー
原理上はディレイの一種。フェイザーと同じく波の干渉を利用して音色の連続的な変化を得るものだが、原音の加工は遅延時間を変調した遅延(ディレイ)音を逆位相で混ぜることで行う。フェイザーより強力で現代的な音がするとされている。
コーラス・ダブラー
原理上はディレイの一種でありフランジャーとほぼ同等である。原音のユニゾンにあたる音を人工的に作り出し、コーラス効果(複数の音源が同時に発振している様な効果)を得る事を目的としている。前二者が刺激的な聴感を得る場合が多いのに対し、コーラスは音の厚みを増し穏やかもしくは爽やかな効果を求めて用いられる事が多い。ダブラーは複数の音源に聞こえる効果をより強調したものであり、タイミングやパンニングによってはっきりと分離して聞こえるように工夫されている。
音程の変化
オクターバー
原音のオクターブ上やオクターブ下の周波数の音を発生させて加えるもの。信号処理で周波数空間で引き伸ばし処理を行なうものと、周波数全波整流やDフリップフロップ回路等を用いるものがある。オクターブ限定のピッチシフター。2010年代中盤からオクターバーとリバーブレーターを組み合わせたシマー・リバーブという物が流行している。
ピッチシフター
原音を設定された任意の音程分ずらして出力するもの。すなわち、基準ピッチ440Hzからそれぞれの周波数への割合の変化率をシフトすることである。ある音階に沿って音程の可変幅を自動的に可変させるものもあり、例えば3度のハモリを行う場合に長3度と短3度が自動的に選択され、容易にハモリを可能とする。原音の周波数を半音など一定の割合で増減させるので、ピッチの割合を大きくとると、例えば男性の原音が女性のように聞こえたりするが、調波構造は保たれる。主な用途はギターのエフェクトである。エフェクター機器ではないが、原理上ドップラー効果もピッチシフターとみなすことができる。
周波数シフター原音のすべての周波数成分において同じ周波数だけシフトするものでピッチシフターとは異なる。周波数シフター発生の簡明な原理は、原音に対して、鋸波による位相変調することにつきる。変調率50%、最大位相をπにとることにより歪なく周波数をシフト、すなわち±Δfの値だけ周波数をシフトすることなる。全ての倍音が同じ量周波数シフトされるため、整数倍音が整数倍からずれて非協和な響きとなる。そのため、一般的なエフェクターとしては使用できない。しかし、数ヘルツのシフトでは聴感上大きな問題とはならないという報告がある。
リングモジュレーター
原音と別信号との掛け算を行う。つまり原音の音量をその別信号により変化させる(ただし、マイナス側にも振られる=位相が反転する)と解釈でき、
振幅変調(AM)と良く似た関係にある。単純な例として正弦波sin(Mt)で原音sin(St)を変調することを考える。ここでMとSはそれぞれの周波数、tは時間である。両者を掛けるとsin(Mt)sin(St)となり、これは三角関数の加法定理により0.5{cos(S-M)t - cos(S+M)t}と書ける。変調の周波数Mが数Hzと低い場合、両成分の干渉により2MHzのうなりを発生し、トレモロのような効果が得られる。1kHz前後で変調すると両者が実際の楽器の音では複雑な非整数倍の成分となり金属的な歪んだ響きとなる。例えばピアノの音を変調すると鐘の様な音に変化する。通常の使用例としては、2つの音を入力とし、その2つの周波数の加算周波数と減算周波数の2つの音を出力することによって金属的な音を出すことが多い。名称に「リング」とあるのは、その回路がリング状になっていることから。
音質の劣化

通常音響機器は原音の劣化を極力避けて、出力時の再現効率をあげることに注力しているが、それに対して、意図的に音質を劣化させるもの。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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