エドワード・D・ホック
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エドワード・D・ホック
(Edward D. Hoch)
誕生Edward Dentinger Hoch
(1930-02-22)
1930年2月22日
ニューヨーク州ロチェスター
死没 (2008-01-17) 2008年1月17日(77歳没)
ニューヨーク州ロチェスター
職業推理作家
言語英語
国籍 アメリカ合衆国
活動期間1955年 - 2008年
代表作怪盗ニックシリーズ
サイモン・アークシリーズ
主な受賞歴エドガー賞 短編賞(1968年)
アンソニー賞短編賞(1998年)
デビュー作「死者の村」
ウィキポータル 文学
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エドワード・デンティンジャー・ホック(Edward Dentinger Hoch、1930年2月22日 - 2008年1月17日)はアメリカミステリー作家。多作家で、数多くの短編推理小説を書いたことで知られる。長編は数冊のみ。ニューヨーク州ロチェスターの生まれ。
作品の特徴

ホックは古典的推理小説の名人で、サスペンスやアクションより謎と推理を重視する。『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン(以下:EQMM )』は、そのような彼のことを「古典的犯人当てミステリーの王様」 (The King of the Classical Whodunit) と呼ぶ。ホックの書く話は緻密に構築されたパズルのようで、物理的・心理的な手掛かりを注意深く公平に提示してみせる。特に“不可能犯罪もの”が好きで、ジョン・ディクスン・カー等によって広められた“密室もの”については、いくつものバリエーションを発明した(不可能犯罪ものとは、“どう見ても犯罪を成し遂げることが不可能に見える”という状況を扱う推理小説のこと。殺人事件が多い)。例えば、『有蓋橋の謎』では、一人きりで有蓋橋に入っていった男が消え失せ、死体となって別の場所で発見される。
執筆活動

ホックの執筆活動は1950年代に始まった。1955年に最初の作品を『フェイマス・ディテクティヴ・ストーリーズ』に発表し、続けて『セイント・ミステリ・マガジン(英語版)』に作品を発表し始めた。1962年1月には『アルフレッド・ヒッチコック・ミステリ・マガジン(英語版)』にも発表するようになった。1962年12月には『EQMM』に初めて作品を発表した。その年以降、全作品数の約半数にあたる450編以上を『EQMM』に発表することになる。1973年5月からは『EQMM』に毎月ホックの作品が掲載されるようになった。2004年5月で31年を迎えたが、一回も欠けることなく掲載され続けていた。

ホックは、スティーヴン・デンティンジャー、R・L・スティーヴンズ、パット・マクマーン、アンソニー・サーカス、ミスターXといった別名を使って、雑誌に作品を発表することがある。そういうときには、同時に同じ雑誌にホック名義でも作品を発表していることが多い。

2001年にアメリカ探偵作家クラブ 巨匠賞を受賞した。短編主体の作家が受賞したのは初めてである。
日本での状況

日本では、1960年代にミステリー雑誌に登場し始める。1976年に日本での初めての単行本が出版され、1983年までに10冊ほどの単行本が出版された。それから10年以上にわたってホック単独の単行本は出版されなかったが、1999年から再び短編集が出版されるようになった。ホックの作品は、早川書房の『ミステリ・マガジン』や、光文社の『EQ』(1999年に休刊)および『ジャーロ』などの雑誌に頻繁に掲載される。海外ミステリーのアンソロジーにもよく収録される。

日本を舞台にした作品をいくつか書いており、2003年に出版された阪神タイガースをテーマにしたミステリー・アンソロジー『新本格猛虎会の冒険』 (ISBN 4488023762) に唯一の外国人として作品を寄稿した。

ホックの名前は“ホック”と表記されることがほとんどだが、稀に“ホウク”と表記される。Wikipedia 英語版では、発音はhokeだと説明されている。
シリーズ

ホックの作品には非常にたくさんのシリーズ・キャラクターが登場する。シリーズは全部で20以上、『EQMM』だけをとってみても1ダース以上のシリーズを発表している。レオポルド警部シリーズは100話を越える。
ニック・ヴェルヴェット

ニック・ヴェルヴェット (Nick Velvet) はプロの雇われ泥棒である。一定の料金さえ支払われれば、あまり価値のなさそうな、他のプロが手を出さないような物に限り何でも盗む。初登場は1966年の『EQMM』。盗んだものを挙げると、古いクモの巣や、古い新聞、使用済みのティーバッグなどがある。料金は始めは2万ドルだったが、長年一緒にいる恋人グロリアに言われて1980年に2万5千ドルに上げた(この2人は、1965年にニックがグロリアの住むニューヨークのアパートに盗みに入ったときに出会った)。21世紀になって料金は3万ドルに上がった。多くの架空の泥棒と違い、ニックは一人で仕事をすることが多い。実際、1979年までは、グロリアはニックが泥棒だと気付かず、アメリカ政府のために働いているのだと思っていた。後にライバルの女怪盗サンドラ・パリスが登場する。

ニック・シリーズのストーリーは、どのように盗むのか、そして、依頼人はなぜ価値のなさそうなものに2万ドルも払うのか、という2つの部分が合わさっている。ニックは盗む物の価値に興味がなさそうに見えるが、たいていは状況が変わって依頼人の真の動機を探ることになり、探偵のような活動もする。ニック・シリーズはユーモアのある軽快なトーンのものが多く、レスリー・チャータリスの「サイモン・テンプラー」シリーズの初期を思わせる。ニックの仕事には不法行為が付き物だが、探偵活動の成果を刑事に提供するのと引き換えに、何度も見逃してもらっている。

1973年5月から『EQMM』に毎月作品を掲載するようになったが、その第1回はニック・シリーズの『ポスターを盗め』であった。1998年1月の『12月のブックショップ』では、ニューヨーク市に実在するミステリー専門書店と、その店のオーナーであるオットー・ペンズラー(英語版)(エドガー賞の受賞経験がある出版者・編集者)を登場させた。1998年5月の『グロリアの赤いコート』ではニックとグロリアの出会いをグロリアの一人称で描いた(他のすべてのニック・シリーズ及び多くのホック作品は三人称で語られる)。


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