エクリ_(論文集)
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出典検索?: "エクリ" 論文集 ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2023年7月)
ジャック・ラカン

『エクリ』(仏: Ecrits)は、1966年に哲学者精神分析家ジャック・ラカンによって発表された論文集[1]

「エクリ」は「書かれたもの」を意味する。

その素朴な呼び名とは裏腹にきわめて難解な書物として知られている。その影響は精神分析界にとどまらず、広く哲学、思想の分野に及び、構造主義の一つの旗頭として当時の思想界をリードした。1936年から1965年までの30年間に発表された28編の論文と、ラカンが後で書き足し、本書の要所となる箇所に置かれた5つの小導入部分、そして2つの補遺から構成されている。
経緯

ラカンは、自身の理論的考察を彼のセミネール(セミナー)、もしくは講演によって口頭で発言することを自分のスタイルとしていた。そのため、『エクリ』刊行以前には一冊の著作としてまとまっていたものとしては、後に出版された学位論文『人格との関係からみたパラノイア性精神病』を除いては、何もなかった。彼は1952年以来、現在『セミネール』の名前で出版されているテクストのもとになったセミナーを開いていたが、その内容と参加者たちの質の高さによって、一部の人々のあいだでよく知られていた。それに加えて、論文発表、講演などを重ね、1960年代にはかなり名の知られた存在となっていた。しかしながら、ラカンに興味を持つ者にとって、とりわけ専門家以外の人にとって、彼の考えや主張を直接検証するための出版物が欠けていたために、彼は「幻の著者」だった。フランスの出版社スイユの編集者フランソワ・ヴァールは、こうした状況を打ち破り、多数の読者にラカンの考えを紹介するために、それまで発表した論文を一冊にまとめようとラカンに提案した。そして三年の歳月を要して実現した企画が、『エクリ』と名づけられた、900頁にわたる大論文集である。[2]

この『エクリ』の出版には、ラカンの女婿ジャック=アラン・ミレールも一枚噛んでいる。彼には索引の構成が任せられた。それに加えて、彼の発案によってほぼ発表年代順に置かれている論文集の中で、「『盗まれた手紙』についてのセミネール」だけが、例外的に年代とは関係なく冒頭に置かれることになった。それは読者への配慮によるものである。年代順に論文を配列すると、必然的に最初の約200頁をまだ自らのスタイルを確立していない初期の文章が占めることになる。そうすると、読者は真にラカン的なテクストにふれるまでにかなりの頁を読破しなければならない。読者が最初に代表的なテクストに触れられるようにしたのである。[2]

ラカンの主な業績としては、『エクリ』の他に、ジャック=アラン・ミレールの編纂による彼の20年以上にわたるセミネールの講義録、そしてラカンの死後、同じミレールの手によって出版された『他のエクリ(Autres ecrits)』(2001)がある。セミネールの内容の多くは、2つの『エクリ』のさまざまな論文に反映されているが、極度に凝縮された文体で表されており、それが『エクリ』の難解さの一つの理由ともなっている。『セミネール』を参照しながら、『エクリ』を読むことは理解の助けになろう。『他のエクリ』は『エクリ』の続編といえるもので、『エクリ』刊行後のテクストと、それ以前の、『エクリ』には未収録の重要なテクストが収録されている。[2]
構成

本書は、1936年から1965年までの30年間に発表された28編の論文と、ラカンが後で書き足し、本書の要所となる箇所に置かれた5つの小導入部分、そして2つの補遺から構成されている。全体は7つのパートに分かれている。
第一部

本書全体の導入のための序文と「『盗まれた手紙』についてのセミネール」からなっている。後者は1956年に書かれたものであるにもかかわらず、冒頭に置かれている。それはエドガー・アラン・ポーの探偵小説を題材としたこのテクストが『エクリ』の根底を流れる論理を端的に表しているからである。またその中には1966年に新たに書き加えられた部分もあって、初稿時と刊行時とのあいだに生じた理論的考察のギャップも埋められており、『エクリ』に内在する理論的なベクトルを知ることもできる。すなわちこのテクストは、「シニフィアンの法による主体の決定」という構造主義的精神分析理論の宣言でありながら、そこに欠けている「対象a」のプロブレマティックを補っているという点で、『エクリ』全体を代表するテクストである。[2]
第二部

「われわれの前身」と題された前置きが付されており、1936年から1950年のあいだに発表された5つのテクストが収められている。有名な「鏡像段階」(1936)はここにある。前置きが示すようにこれは「ラカン理論」の前史にあたる部分で、現象学的な色彩を帯びており、想像界(l'Imaginaire)が重要視された時代のものである。[2]
第三部

「論理的に先取りされた確実性の断定」(1945)と「転移に関する発言(転移への介入)」(1951)の2つのテクストから成る。これらのテクストは、初期に手がけられたものではあるが、第二部とは少し違った性格を持っている。とりわけ「論理的時間」のテクストは精神分析における「時間」および「行為」の問題を扱い、以後のラカン理論展開の基本的エレメントの一部をなしている重要な論文である。[2]
第四部

冒頭に「終いに問題となる主体(主題〔sujet〕)について」という前書きがある。まさにラカン的テーマがはっきりと打ち立てられ、ラカン理論の古典的とも言える部分の礎石となる論理が確立される時期の、8つのテクストが収められている。一般に「ローマ講演」の名で親しまれている最初のテクスト「精神分析におけるパロルランガージュの機能と場」(1956)が、1953年にフランス精神分析協会(SFP)を設立したラカンのマニュフェスト的テクストであり、「象徴界(le Symbolique)」が精神分析の主軸であることがはっきりと打ち出されている。


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