エクアドル
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インカ帝国時代キトの皇帝アタワルパインガピルカ(スペイン語版、英語版)の遺跡。

このような諸文化は最終的に、15世紀半ばにクスコを拠点に急速に拡大していたタワンティン・スウユケチュア語: Tawantin Suyu、インカ帝国)の皇帝トゥパク・インカ・ユパンキの遠征によって征服され、キトはクスコに次ぐ帝国第二の都市として栄えた。

クリストファー・コロンブス率いる船団のアメリカ大陸到達(1492年)以降、スペインによるアメリカ大陸の植民地化の脅威はインカ帝国に及んだ。皇帝ワイナ・カパックが、スペイン人によってパナマからもたらされたヨーロッパの疫病で1527年に病死すると、キトで育った皇帝アタワルパは皇位継承権などをめぐってクスコのワスカルと内戦(スペイン語版、英語版)(1529年 - 1532年)を戦い勝利したが、疲弊した帝国にまもなく上陸するスペイン人との戦いを余儀なくされた。
スペイン植民地時代

1531年にスペイン出身のコンキスタドールの一群を率いてインカ帝国に上陸したフランシスコ・ピサロは、優れた火器や馬を用いてインカ人との戦いを有利に進め、1532年にアタワルパを捕虜にし、1533年にタワンティン・スウユを滅ぼした。

スペイン人による征服後、現在のエクアドルに相当する地域はペルー副王領に編入され、リマの統治を受けることになった。1563年にはキトにアウディエンシアが設置された。1717年にサンタフェ・デ・ボゴタを中心にヌエバ・グラナダ副王領が設立されると、エクアドルはこの副王領に組み込まれたが、1722年には再びペルー副王領に組み込まれた。

征服と植民地化による疫病や、ミタ制による酷使により、インディオ人口は植民地時代に大きく減少し、労働力を補填するためにアフリカから黒人奴隷が連行された。その一方でスペイン系のクリオージョが社会の寡頭支配層となり、メスティーソ(混血者)や、故郷の土地を離れて流浪するインディオなどの境界的な階層も出現するようになった。また、住人のカトリック化も進んだ。
独立戦争と保守支配詳細は「エクアドル独立戦争(英語版)」を参照「近代における世界の一体化#ラテンアメリカ諸国の独立」も参照ラテンアメリカ諸国の解放者シモン・ボリーバルボリーバルの最も優秀な部下だったアントニオ・ホセ・デ・スクレ元帥。スクレはキトをこよなく愛した。ガブリエル・ガルシア・モレノは保守政治家としてエクアドルの近代化と、インディオ共有地の保護などに努めた。

1789年に勃発したフランス革命に続くナポレオン戦争により、ヨーロッパ大陸ではフランス第一帝政が覇権を一時握った。1808年にフランス皇帝ナポレオン1世が兄のジョゼフ・ボナパルトスペイン王ホセ1世として即位させると、それに反発する住民蜂起を契機にスペイン独立戦争が勃発した。インディアス植民地は偽王への忠誠を拒否した。

1809年8月10日にキトの革命評議会により、イスパノアメリカ初の自治運動が勃発した。この自治運動はペルー副王フェルナンド・アバスカル(英語版)の差し向けた王党派軍により鎮圧されたものの、同様の運動がすぐにラパスカラカスブエノスアイレスサンティアゴ・デ・チレサンタフェ・デ・ボゴタなど、大陸的な規模で勃発した。

1810年代からコロンビア共和国リオ・デ・ラ・プラタ連合州(現在のアルゼンチン)が主体となって南米大陸各地の解放が進むなかで、北のベネスエラからシモン・ボリーバルアントニオ・ホセ・デ・スクレが、南のリオ・デ・ラ・プラタ連合州からホセ・デ・サン=マルティンの率いる解放軍がエクアドルに迫ると、各都市は再び独立を宣言。1822年のピチンチャの戦い(英語版)でスクレ将軍がスペイン軍を破ると、最終的に現在のエクアドルとなっている諸地域の解放が確定した。

こうして解放された現在のエクアドルに相当する地域はシモン・ボリーバルの采配により、「南部地区(Distrito del Sur)」としてコロンビアの一部に組み込まれたが、コロンビア内での内乱や混乱によりベネスエラが独立を宣言すると、南部地区も独立を画策し、1830年5月13日にコロンビアからの独立を宣言した。しかし、初代大統領になる予定だったスクレ元帥は暗殺され、同年8月10日にフアン・ホセ・フローレス(英語版)が初代大統領に就任した。ラテンアメリカ統合の夢に破れた解放者シモン・ボリーバルは、自らの行った政治的な行為が無為に終わったことを噛み締め、痛恨の内に死去した。


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