またオバノンはクレジットの表記について、ガイラーとヒルの名を入れるべきかどうかについて全米脚本家組合(WGA)を巻き込み仲裁調停を引き起こした。WGAはオバノンの主張を支持したものの、周囲のスタッフは二人の名前を入れるべきだと説得した。最終的にオバノンはこれを受け入れ、ガイラーとヒルは脚本家としてクレジットされることになった[108]。 リドリー・スコットは楽曲に組曲『惑星』、それも冨田勲が編曲したシンセサイザー版の起用を望んでいたが、ラッドの勧めでジェリー・ゴールドスミスに依頼することになった[47][109]。 最初にゴールドスミスが作った曲は瑞々しいものだったが、それゆえに没になった。次に作られた曲は静的で不気味なものであり、スタッフを満足させた。作曲に要した時間はわずか10分に過ぎなかった[47]。 目覚めのシーンではゴールドスミスの過去の作品である『フロイド/隠された欲望』の曲が流用されている。また、クレジット画面ではハワード・ハンソンの『交響曲第2番 ロマンティック』が使用されている[47][110]。これを不満としたゴールドスミスはフォックスに説明を求めたが、結局覆ることはなかった[47]。 なお冨田の『惑星』は撮影現場で使用された。テンションの高い演技が必要とされるウィーバーのため、スコットは現場にスピーカーを配置し、『惑星』の「火星」を流して聞かせた。一方、音を後で全て付け直さなければならなかったため、音声係の負担は増大した[111][41]。 ゴールドスミスは試写を独りで観たが、ブレットが猫を追いかけるシーンが最も怖かったと述べている。 スコットは脱出艇でのラストシーンの追加撮影のため、4日のスケジュール延長を要求した。会社は難色を示したものの、彼は今までの定石を引っくり返すと会社を説得した[33]。スコットの目論見通り「事態が解決したと見せかけてさらにもう一幕がある」という手法は成功し、以降のホラー映画に新しい定番をもたらした[111]。 本人の意向により、ウィーバーは次に何が起こるのか知らされずに撮影が進められた[112][33]。「全裸のリプリーを目の当たりにしたエイリアンが己との違いに気づき、彼女に見入る」といったシーンも予定されていたものの、アイディアだけで終わった[111][33][注 18]。下着姿で宇宙服を身につけるシーンはその名残である[111]。 結末は当初3種類あり、「エイリアンの存在にリプリーは気付かず(もしくはジョーンズに寄生した状態で)一緒に地球に帰還する」、「エイリアンとともに宇宙の藻屑となる」、「エイリアンを倒し地球に帰還する[注 19] 」のそれぞれが用意されていたが、最終的に3つ目が採用された。 ホラーSFである『エイリアン』には、性的・恋愛要素がほとんどないにもかかわらず、妊娠・出産のメタファーを中心に「濃厚なセクシュアリティが漂っている」ことが指摘されている[114]。
音楽
エンディング
エイリアン・フェミニズムアカデミー賞の式典に出席するシガニー・ウィーバー(1989年)
それまでの「ハリウッド的な」美女ではない男性的なヒロインの登場は、当時のフェミニズム運動と重なり合う[113]。