エイリアン_(映画)
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初稿では遺棄船のほかにピラミッドが登場し、エイリアンの卵はそこで見つかることになっていたが、映画の長さが3時間を越えてしまうため圧縮された[13]。小惑星表面のミニチュアは質感がアップに耐えられるものではなかったため、遺棄船の外観はミニチュアをスコットの古いビデオカメラで撮影し、それをスクリーンに映したものを撮影した[41]。遺棄船のセット製作にはシーモアの助手として参加したレスリー・ディリーが腕を振るった。生物的な内装を表現するため、セットには食肉処理場へ特注した大量の動物の骨が使用されている。遺棄船入り口のセットは長さ18m、高さ10.5mで、木製の枠と石膏で作られた。内部のセットは高さ12m、長さ21mで、木とファイバーグラスで製作された[73]。この大規模セットのため、予算は1100万ドルにまで増大した[74]。それでも時間や予算の関係から妥協を余儀なくされることが多く、「通路」のセットの天井は遺棄船外観のセットをそのまま流用して手間を省き[75]、「卵貯蔵室」へと続く「シャフト」のセットは未完成のままで製作が中止となった[76]。また「操縦室」と「卵の貯蔵室」は同じセットを使いまわしており、操縦室から座席とターンテーブルを取り去って造られている[56][73]。貯蔵室においても「妊婦の腹の膨らみ」をイメージした丸みのある部分は再現されず、ギーガーの不興を買った。エッグを覆う青いレーザーの幕はザ・フーのボーカリスト、ロジャー・ダルトリーが関係している。彼はたまたまシェパートン・スタジオの隣の別荘でツアーに使うレーザーを試していたところであり、それが縁で機材を提供した[77]。現場ではアントン・ファーストがレーザーを使った演出を担当した[33][注 15]
スペースジョッキー
冒頭に登場する化石化した異星人「スペースジョッキー」はロンドンのシェパートン・スタジオで撮影した。全長8メートルあるこの異星人は、映画の冒頭でいきなり得体の知れない恐怖感を煽る重要な役割を果たしたが、その後のプロットに直接的には関係がないうえに製作費がかかりすぎることから、20世紀フォックス側はスコットに登場シーンをカットするべきだと進言したが、彼は断固拒否し、最終的には製作が決定した。スコットのほか、ギーガーを異常だと評したキャロルもこの時には彼の腕を認めるようになっており、賛成に廻っている[78]。製作には50万ドルが費やされた。スペースジョッキーは石膏で造った原型を透明ポリエステルで型取りし、表面はラテックスで仕上げられている。望遠鏡や砲台のような部分は発泡スチロールと発泡プラスチックで造られた[56]。また、ギーガーがすべての塗装を直接エアブラシで手掛けるほどこだわっていた。この場面ではプロップを大きく見せるために、宇宙服姿のノストロモ乗員は子供が演じている。因みに演じた子供の内2人はスコット監督の実の子供(ジェイクとルーク)で、それぞれがダラスとケインを演じている。ランバートはカメラマンの子供が演じた[79][41]
エッグ
エッグは当初オーソドックスな鶏卵の形でデザインされ、卵を保持する台座はスイスの卵パックの形状をそのまま流用していた[80][81][注 16]。次に改められたデザインは完成稿に近かったが、卵の開口部は女性器を模しており、陰核陰唇にいたるまで作りこまれており、その露骨な形状にスタッフからは苦笑が起こったほどであった。結局開口部は十字型に変更され、花のように開く仕組みとなり、そのキリスト教的な暗示が含まれたようなデザインはスタッフの好評を得た。エッグは当初6個のみ製作される予定だったが、ギーガーの主張もあり最終的には130個が製作された。フェイスハガーが収まる「主役」のエッグは石膏の原型を元に、開口部はラテックス、本体は透明ポリエステルで作られた。開口部は油圧で動作し、内部には新鮮なの内臓が、フェイスハガーが飛び出すシーンには長さ12mのの腸が使用されている[82]。背景となるその他のエッグは石膏もしくはポリエステルで製作されている[83]。一部のシーンはカメラを置く関係から、逆さまにして撮影された。ケインにフェイスハガーが襲い掛かるシーンの直前で、エッグから滴る水が上へ登るのはこのため。エッグの中で蠢くフェイスハガーのシルエットは、スコット自身が手にゴム手袋をはめて再現している[84][33]
フェイスハガー
最初の構想では卵から尾をバネのように使って飛び出す機能を持っており、ギーガーは「邪悪なビックリ箱」と名づけていた。当初のサイズは人間の上半身ほどもあったが、何度かの改稿を経て人の頭を覆う程度の大きさに落ち着いた[85]。美術スタッフのロジャー・ディッケンは気難しい性格でギーガーのデザインを受け入れず、「不快なほどに発育不全」と評した[86]。この評価に憤慨したギーガーはフェイスハガーの造形を自ら買って出作業に取り掛かったが、上からエイリアン本体の製作に取り掛かるよう命じられたため、結局フェイスハガーとチェストバスターの造形はディッケンの担当となった[87]。フェイスハガーの作業にはシャセットも携わった。彼はギーガーのデザインを元に立体化作業を開始したが、本体と指の繋がり方に悩み行き詰まった。助けを求められたコッブは短時間でフェイスハガーの仮想の骨格を書き上げ、造形作業を助けた[33]
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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