エイリアン_(映画)
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しかしギーガーは自分がすぐに必要とされることを予見して、チューリッヒでデザイン作業を続行した[45]

その予測は的中し、指揮者のいない現場は早速迷走をはじめ、本来のデザインとは程遠いセットになっていった。結局、彼の必要性を上層部も認めざるを得ず、5月末になってギーガーは現場に復帰している[58][45]。出来損ないのセットは放置されず、現場の美術スタッフのモチベーションを高めるため、そして新しいセット製作の準備が整うまでの時間稼ぎのため、あえて完成まで製作された後でスクラップ処分になった。これはギーガーにとってはまったく理解に苦しむ出来事であったという[59]

宇宙服のデザインはジャン・ジローが手がけた。彼は次の仕事のためフランスに帰るまでという条件付であり、参加していた期間は数日程度だった[12]。実物の製作はジョン・モロが担当している[33]。リプリーの衣装に限り、実際にNASAで使われていた軍用フライトスーツの古着を流用している[36][33]

冒頭におけるタイトルデザインは骨や肉を組み合わせたデザインが考案されていたが使用されなかった[60]。実際に採用された「一文字ずつ完成していくタイトルロゴ」は、広告との整合性を考えスコットが依頼したもので、スティーブ・フランクフルトとリチャード・グリーンバーグがデザインしている[41]
特殊効果
ノストロモ号
ノストロモ号の外観はロン・コッブとクリス・フォスの2名がそれぞれデザイン案を起こした。フォスの描く宇宙船は現実の要素を取り入れた物が多く、豊かな色彩と流線型が特徴だった。フォスはノストロモ号の外観や内装、遺棄船など数多くのデザイン案を描いたが、結局すべて未採用に終わった
[61]。フォスはギーガーと共に解雇され復帰することはなかったが、コンセプト・アーティストとしてクレジットには名を連ねている。名称は「スナーク」「リヴァイアサン」など変遷したが、スコットによって「ノストロモ」と命名された。一方でコッブは機能性とリアリティを重視し、直線的なデザインを好んだ。ギーガーの生物的なデザインと完全な対称性を示すことも考慮され、彼のデザインが採用された。ノストロモ号の形状は逆さの台形のような形状を経て、最終的に精製設備を備えた巨大工場のようなデザインにまとめられた。尖塔のような外観は子供のころに見た工場の風景をヒントにスコット自らが追加した[61]。船内のデザインもコッブの手によって行われ、この案を元にロジャー・クリスチャンが造形した。航空機やヘリの廃材、パレットを活用してノストロモ号の内部を作り上げた[62]。この出来はコッブを満足させ、ウィーバーも「ロケ地で撮影しているかのようだった」と賞賛した[22]。ノストロモ号のセットは意図的に天井のある状態で作られた。これは俳優に圧迫感を与えることでよりリアルな演技を引き出すためである[63]。セットは全てが繋がっており、外に出るには長い通路を歩く必要があった[64]。ノストロモ号の構造は3階層、あるいは5 - 6階層を想定されていたが[65]、予算の制約からセットは1層のみで作られ[22][41]、拡張は断念せざるを得なかった。また船の離着陸のシーンにおいては俳優が自ら椅子を揺らし、カメラも揺らして撮影されている[33]。狭い通路のために照明機材を置けず、セットの間接照明を利用して撮影されたこともあった[64]。撮影に使用されたミニチュアモデルは全長約5m、重量250kgにもなるもので、ブライアン・ジョンソンが製作した[66]。規模は本体が全長240m、精製施設が全長3.2km、全幅2.4kmとの想定で撮られた[67]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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