エイリアン_(映画)
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また船の離着陸のシーンにおいては俳優が自ら椅子を揺らし、カメラも揺らして撮影されている[33]。狭い通路のために照明機材を置けず、セットの間接照明を利用して撮影されたこともあった[64]。撮影に使用されたミニチュアモデルは全長約5m、重量250kgにもなるもので、ブライアン・ジョンソンが製作した[66]。規模は本体が全長240m、精製施設が全長3.2km、全幅2.4kmとの想定で撮られた[67]。製作には既製のプラモデル・キットが大量に使用され手間を省いている[68]。精製施設と本船を繋ぐジョイント部分には『スター・ウォーズ』のR2-D2の脚部の予備が使用されている[22]
小惑星
小惑星はセットとミニチュアを組み合わせて撮影された。セットでは砂塵として巻き上げたバーミキュライトがスタッフを痛めつけ[41]、スモークを作るために使用されたドライアイスのせいで二酸化炭素が充満した。宇宙服は手足が非常に動かしにくかった上、当時の技術では呼吸しやすい衣装を製作できず、スケリットやカートライトらは呼吸困難に悩まされた。特にハートの消耗は激しく、常に看護師が待機し非常時に備えていた[55]。映像中のヘルメットの曇りはそのためであるが、リアルであると考えたスコットの意向で特に対策はとられなかった[41]。セットは最初に1.5インチ/1フィートの縮尺で雛形となる模型が作られた。これを石膏で型取りし、一定間隔で均等にスライスする。それぞれのパーツを方眼紙の上で24倍の大きさに拡大し、木製の模型を作る。模型同士に網を被せて間を補完し、細かい部分は発泡スチロールで形を整える。最後に石膏を染みこませたジュートの布を掛け、左官ごてで仕上げるという手順で製作された[69][70]。小惑星および遺棄船のミニチュアはピーター・ボイジーが製作した。ボイジーは優れた腕を見せ、レベルの高いギーガーの要求を過不足なく実現させていった。小惑星のミニチュアは骨やパイプをプラスティシン(塑像用粘土の一種で、カルシウム塩、ワセリン脂肪酸を合成して製造したパテ状のもの)で埋め合わせ作られている[59][71]。宇宙葬にされるミニチュアのケインの遺体もボイジーが製作した。宇宙から見た小惑星の外観においても工夫が施された。複数の塗料をタンクに流し、混然とした色合いになったものを撮影し特殊シートに現像する。このシートを白く塗装したボールに投影して立体的な質感が表現された[70]
遺棄船
ギーガーのデザインした異星人の遺棄船は、「目立たないし、機能的ではない」とオバノンには不評であった。彼が気に入っていたのはフォスが描いた「青銅ロブスター」と通称されるデザインである。だが、スコットはその異質さ、背景と一体化してゆっくりと姿を見せる点を気に入り採用した[72]。初稿では遺棄船のほかにピラミッドが登場し、エイリアンの卵はそこで見つかることになっていたが、映画の長さが3時間を越えてしまうため圧縮された[13]。小惑星表面のミニチュアは質感がアップに耐えられるものではなかったため、遺棄船の外観はミニチュアをスコットの古いビデオカメラで撮影し、それをスクリーンに映したものを撮影した[41]。遺棄船のセット製作にはシーモアの助手として参加したレスリー・ディリーが腕を振るった。生物的な内装を表現するため、セットには食肉処理場へ特注した大量の動物の骨が使用されている。遺棄船入り口のセットは長さ18m、高さ10.5mで、木製の枠と石膏で作られた。内部のセットは高さ12m、長さ21mで、木とファイバーグラスで製作された[73]。この大規模セットのため、予算は1100万ドルにまで増大した[74]。それでも時間や予算の関係から妥協を余儀なくされることが多く、「通路」のセットの天井は遺棄船外観のセットをそのまま流用して手間を省き[75]、「卵貯蔵室」へと続く「シャフト」のセットは未完成のままで製作が中止となった[76]。また「操縦室」と「卵の貯蔵室」は同じセットを使いまわしており、操縦室から座席とターンテーブルを取り去って造られている[56][73]。貯蔵室においても「妊婦の腹の膨らみ」をイメージした丸みのある部分は再現されず、ギーガーの不興を買った。エッグを覆う青いレーザーの幕はザ・フーのボーカリスト、ロジャー・ダルトリーが関係している。彼はたまたまシェパートン・スタジオの隣の別荘でツアーに使うレーザーを試していたところであり、それが縁で機材を提供した[77]。現場ではアントン・ファーストがレーザーを使った演出を担当した[33][注 15]
スペースジョッキー
冒頭に登場する化石化した異星人「スペースジョッキー」はロンドンのシェパートン・スタジオで撮影した。全長8メートルあるこの異星人は、映画の冒頭でいきなり得体の知れない恐怖感を煽る重要な役割を果たしたが、その後のプロットに直接的には関係がないうえに製作費がかかりすぎることから、20世紀フォックス側はスコットに登場シーンをカットするべきだと進言したが、彼は断固拒否し、最終的には製作が決定した。スコットのほか、ギーガーを異常だと評したキャロルもこの時には彼の腕を認めるようになっており、賛成に廻っている[78]
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