エイリアン_(映画)
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エッグの中で蠢くフェイスハガーのシルエットは、スコット自身が手にゴム手袋をはめて再現している[84][33]
フェイスハガー
最初の構想では卵から尾をバネのように使って飛び出す機能を持っており、ギーガーは「邪悪なビックリ箱」と名づけていた。当初のサイズは人間の上半身ほどもあったが、何度かの改稿を経て人の頭を覆う程度の大きさに落ち着いた[85]。美術スタッフのロジャー・ディッケンは気難しい性格でギーガーのデザインを受け入れず、「不快なほどに発育不全」と評した[86]。この評価に憤慨したギーガーはフェイスハガーの造形を自ら買って出作業に取り掛かったが、上からエイリアン本体の製作に取り掛かるよう命じられたため、結局フェイスハガーとチェストバスターの造形はディッケンの担当となった[87]。フェイスハガーの作業にはシャセットも携わった。彼はギーガーのデザインを元に立体化作業を開始したが、本体と指の繋がり方に悩み行き詰まった。助けを求められたコッブは短時間でフェイスハガーの仮想の骨格を書き上げ、造形作業を助けた[33]。着色の段階になり「人間の肌の色をした異星生物は斬新ではないか」と考えたシャセットの提案により、そのままの色で完成となった[33]。死んだフェイスハガーの内側を観察するシーンでは、プラスチックで作った外殻に新鮮なカキハマグリの身を敷き詰めて生々しさを表現している[33]
チェストバスター
デザインにあたり、スコットはギーガーにフランシス・ベーコンの『キリスト磔刑図のための3つの習作』を参考にするよう要請したが、これを受けて上がってきたデザインは「退化した丸裸の七面鳥」と形容されるものであった[88][89]。このデザイン案は没となり、以降は『ネクロノミコンIV』のデザインを基本とした造形が行われた[90]。ケインの胸からチェストバスターが飛び出すシーンでは、「このシーンをリアルに撮れなければ映画の存在意義がない」とするスコットの意向で、細心の注意が払われた[91]。3台のカメラを用意し、あらかじめどのカメラでカットを繋いでいくかを綿密に設定した。また出演者達には何が起こるか詳細を意図的に伝えておらず、彼らから本物の驚きを引き出そうとした[92][33]。特にランバート役のカートライトは驚きの余り足がおぼつかなくなり、下に溜まった血糊で足を滑らせて転倒している[注 17]。また、血糊が彼女の顔にかかったのは全くの偶然だった。最初のテイクではシャツが破れず中断されたが、次のテイクでは成功した。そのため一連のシーンはワンテイクだけで成功している[33]。チェストバスターは胸を突き破るシーン、クルーを見回すシーン、走り去るシーン用の3種類が製作された。尾はフェイスハガーのものが流用されたが、ギーガーはこれを「恐竜のようだ」とあまり好まなかった[91][93]。操演はディッケンとアルダーの二人が担当した[94]
エイリアン
時間が押し迫っていたため、デザインはほぼ『ネクロノミコンIV』のそれを踏襲しており、何度かデザインが起こされたものの、皮膚の細かいディティールや背中の突起が寝ていることを除けばほぼ変化はない。なお、昆虫のような楕円形の目だけはスコットの提言を受け削除された[95]。画面の中で怪物が伸し歩き人間を追って襲うという手法は既にマンネリ化しており、エイリアンの持つ不気味さを強調させるために本作では全体像は映さず部分や影だけが映るだけに留まり、全体像が現れる場面も撮影されていたが編集段階でボツになった。スーツの仕様に関してはいくつか案が出された。大道芸人や空手家の起用や[96]、一つのスーツの中に子供と大人が入り別々に腕を動かすというアイディアは問題が多過ぎ実現しなかった。全自動のロボットにするという案は俳優が負傷する恐れがあり却下された[97][95]。スコットがエイリアンのスーツに入る人間として望んだのは、レニ・リーフェンシュタールが撮影したヌバ族の写真のような、高身長で細身の人間であった[97]。だが実際の候補者探しは難航した。そんな折、キャスティングディレクターはたまたま酒を飲んでいたパブで見かけた長身のアフリカ人(出自についてはナイジェリア[98]ケニヤマサイ族[95]ツチ[99]など諸説ある)、ボラジ・バデジョに目をつけ、出演を依頼した。彼はグラフィック・デザインを学んでいた当時26歳の大学生で、身長が208cmもあり、また太極拳パントマイムの心得があった。劇中のエイリアンのゆったりした歩行は彼のその技術が反映されている[100][96]
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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