エイリアン_(映画)
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特にランバート役のカートライトは驚きの余り足がおぼつかなくなり、下に溜まった血糊で足を滑らせて転倒している[注 17]。また、血糊が彼女の顔にかかったのは全くの偶然だった。最初のテイクではシャツが破れず中断されたが、次のテイクでは成功した。そのため一連のシーンはワンテイクだけで成功している[33]。チェストバスターは胸を突き破るシーン、クルーを見回すシーン、走り去るシーン用の3種類が製作された。尾はフェイスハガーのものが流用されたが、ギーガーはこれを「恐竜のようだ」とあまり好まなかった[91][93]。操演はディッケンとアルダーの二人が担当した[94]
エイリアン
時間が押し迫っていたため、デザインはほぼ『ネクロノミコンIV』のそれを踏襲しており、何度かデザインが起こされたものの、皮膚の細かいディティールや背中の突起が寝ていることを除けばほぼ変化はない。なお、昆虫のような楕円形の目だけはスコットの提言を受け削除された[95]。画面の中で怪物が伸し歩き人間を追って襲うという手法は既にマンネリ化しており、エイリアンの持つ不気味さを強調させるために本作では全体像は映さず部分や影だけが映るだけに留まり、全体像が現れる場面も撮影されていたが編集段階でボツになった。スーツの仕様に関してはいくつか案が出された。大道芸人や空手家の起用や[96]、一つのスーツの中に子供と大人が入り別々に腕を動かすというアイディアは問題が多過ぎ実現しなかった。全自動のロボットにするという案は俳優が負傷する恐れがあり却下された[97][95]。スコットがエイリアンのスーツに入る人間として望んだのは、レニ・リーフェンシュタールが撮影したヌバ族の写真のような、高身長で細身の人間であった[97]。だが実際の候補者探しは難航した。そんな折、キャスティングディレクターはたまたま酒を飲んでいたパブで見かけた長身のアフリカ人(出自についてはナイジェリア[98]ケニヤマサイ族[95]ツチ[99]など諸説ある)、ボラジ・バデジョに目をつけ、出演を依頼した。彼はグラフィック・デザインを学んでいた当時26歳の大学生で、身長が208cmもあり、また太極拳パントマイムの心得があった。劇中のエイリアンのゆったりした歩行は彼のその技術が反映されている[100][96]。また、スタントシーンではエディ・パウエルとロイ・スキャメルがエイリアンを演じた[98][33]黒人の代役を白人が務めるということで、スタントシーンの撮影をバデジョは楽しそうに観覧していたという[101]。スーツの製作はギーガー自身が担当した。ボイジーは多忙を極めていたため、助っ人としてエディ・バトラーが加わり、のちにパティ・ロジャーズ、シャーリー・デニーの二人が作業を補佐した。スーツは構想段階では半透明で、骨格や消化器官が透けて見える予定であった[87][97]。時間の許す限りギリギリまで試行錯誤が繰り返されたが、スーツや鋳型の耐久性に問題があり、すぐに破損してしまう問題があった。金属製の鋳型を用いれば解決する問題であったが、製作している余裕がなかったため半透明の構想を断念し、ラテックスを用いることに決まった。スーツはバデジョの体から石膏型をとったほか、スタントマンの体型にあわせた複製も製造された[102]。複雑なエイリアンのギミックを実現させるため、頭部の製作はカルロ・ランバルディが担当した。作業はシェパートン・スタジオではなくロサンゼルスにあるランバルディの仕事場で行われた。フード内に見える人間の頭蓋骨は本物であり、ギーガーが自ら埋め込んだ[103]。これにファイバーグラスを巻き、アルミニウムで内部の支えをつくった。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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