ウルヴァリン
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この幸せは長くは続かず、「フェイタル・アトラクション」事件の最終局面で、ウルヴァリンの骨格を覆うアダマンチウムはマグニートーの金属操作能力によって強制的に引き剥がされた[29]。ウルヴァリンはこれにより深く傷つき、彼はヒーリングファクターをほとんど使い果たしてしまった。これによって、それまでウルヴァリンが持っていた力、スタミナ、反射能力などのほとんどは弱められてしまった。

ひどく弱体化した己の状態を受け入れるのを拒んだウルヴァリンは、X-マンション(X-メンの基地)にある訓練施設・デンジャールームでのトレーニングを始めた。彼の怒りと葛藤に呼応して、彼の爪は彼の腕を引き裂いて肉体の外へ突き出した。これにより彼の爪は後からインプラントされたものではなく、骨質で、元々の肉体の一部であることが明らかにされた。更に彼が爪を出す度に、爪は彼の腕の皮膚と肉を突き破り、大きな傷と流血を伴うものとなった。これに不便を感じたローガンは、ジュビリーに対する置手紙を残して単独の冒険へと旅立った[30]

この冒険の最中、彼は幾人かのかつての敵(アダマンチウムの肌を持つ怪人サイバー、リーバーズの生き残りCylla、吸血鬼ブラッド・スクリームなど)と遭遇した。この単独行の間にウルヴァリンは、若きミュータントチーム、ジェネレーションXとの合同トレーニングに参加したりもした。

マドリプールでかつての戦友マーベリックとX-メンでのチームメイト・ガンビットと出会うと、セイバートゥースがエグゼビアの元にいることを知った。帰還したウルヴァリンは、セイバートゥースと死闘を演じ、この戦いはウルヴァリンがセイバートゥースの脳を爪でえぐって終わり、ケガが完全に治るまで一時的にセイバートゥースの邪悪な人格を置き換えた。

次のいくつかの号の途中で[31]、プロフェッサーXとビースト、ヘザー・ハドソンらによって行われた試験と研究は、ウルヴァリンのミューテーション(変異)はいまだに継続していることを示した。ほとんどのミュータントと違い、彼は生涯をかけてゆっくりと変異が継続しているのだ。この変異の進行により、ウルヴァリンのパワー、高められた感覚はゆっくりと強化されている。しかし、ウルヴァリンの骨格にアダマンチウムが組み込まれた後、この変異は完全に停止させられていた。この研究はまた、アダマンチウムの存在が、継続する変異の抑制の他に、彼の持つヒーリングファクターを阻害していたことも明らかにした。骨格に織り込まれた異物であるアダマンチウムに対して、彼のヒーリングファクターは恒常的にそれを取り除こうとする多大な努力を強いられ[32]、他の怪我からの回復を遅らせていた。マグニートーがウルヴァリンの骨格からアダマンチウムを抜き取った結果、彼の身体が完全に怪我から癒えると、変異が非常に早いスピードで進行し始めた。

彼のミューテーションの進行によって彼の能力がどれほど強化されたかについては、ウルヴァリンが車にひかれ、多くの内臓が損傷し全身の骨の半数が折れた際にはっきりした。彼はほんの数秒で完全に回復してみせたのである[33]。またこの変異はウルヴァリンを将来、肉体的に原始的で野獣のような状態への退化を引き起こすであろうことをも示している。

その後、ケーブルの息子ジェネシスがウルヴァリンを拉致し、アポカリプスの部下フォー・ホースマンのひとりへと改造するために再度アダマンチウムを彼の骨格に結合させようとした[34]。この試みは成功せず、この強引な再改造プロセスはウルヴァリンの身体を野蛮で動物的な本能に支配された野獣にまで退化させた。怒りに駆られたウルヴァリンはジェネシスとfleesを含むダークライダーズを殺害した。美貌の暗殺者エレクトラと盲目の師父スティックの助けを借りて彼は人間性を取り戻し、退行の大部分を逆転することができた[35]

ウルヴァリンはアダマンチウムなしでアポカリプスにさらわれるまで幾らかの時間を過ごした。アポカリプスはフォー・ホースメンの新たなリーダーを決めるために、ウルヴァリンをアダマンチウムを結合させたセイバー・トゥースと対決させた[36]

彼はこの勝利が、洗脳とこれまでの仲間を敵に回すことを意味するのを知っていたが、セイバートゥースは抵抗することができるかもしれないが殺戮マシーンとして解放されることを楽しむだろうと思った。ウルヴァリンは勝負に勝ち、アポカリプスはセイバートゥースのアダマンチウムをはぎ取ってウルヴァリンの骨格に再結合させた。ウルヴァリンはフォー・ホースマンの一人デスに改造され、X-メンと戦うこととなったが、ウルヴァリンはジュビリーの助けを借りてアポカリプスの洗脳から脱した[37]

ウルヴァリンは、かつて元々のウェポンXの施設から脱出する時に失踪した兵士であるDr.マルコム・コルコードの指揮により再開されたウェポンX計画に捕えられた。元々の計画で埋め込まれた精神的なインプラントは未だに機能しており、コルコードはそれらをウルヴァリン追いつめてかつての計画のメンバーを消させるために使った。しかし、かつての監督の暗殺の間に、ウルヴァリンの精神的なインプラントはついに破壊されたようだ。

グラント・モリソン作の一連のエピソード(一時的にNew X-Menと改名された)では、ウェポンXの「X」がアルファベットではなくローマ数字であることが明らかになり、ウルヴァリンはイサイア・ブラッドレイとキャプテン・アメリカ(ウェポン1)に始まる生きた超兵器シリーズの10番目・ウェポン10であることが判明した。ウルヴァリンを実験台としたウェポンX計画は、副産物としてより大きなウェポンプラス計画に発展し、謎めいた人物ファントメックス(Fantomex、ウェポン13)はサイクロップスとウルヴァリンを、ウェポンプラス計画を挫き、ウルヴァリンの真の素性を見つけるためのミッションに参加させた。ウェポンプラス基地への襲撃の最中、ウルヴァリンはウェポン15ことウルティマトンを殺害した[38]

その時、ウルヴァリンは自身の起源を記したウェポンXのファイルへのアクセスを得たが、大部分がコマの外にあり、読者には彼が何を知ったかを正確にはハッキリしていない。分かっているのは彼は生きたセンチネルになることを意図されていたことと、彼は彼の能力の試験として中東の小さな街ロアノークの全住民を根絶やしにすることを強いられたと言うことである。この新事実はウルヴァリンに自身がかつてモンスターであり、唯一の目的は殺すことであったと信じさせたが、ジーン・グレイはこのような考えはやめるように説いた。

ウルヴァリンが洗脳され、世界的規模の犯罪集団HYDRAのエージェントにされた時、彼はS.H.I.E.L.D.の助けを借りてそれらの洗脳計画を打破することができた。


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