ウルトラマンA
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円谷プロの制作番組の増加に伴い、東宝映像に特撮パートの制作が委託されたことで、特撮には東宝のスタッフが動員され、撮影に東宝撮影所を使用するなど、特撮面の充実も図られた[3][2][注釈 2]
クランクインまで

『帰ってきたウルトラマン』の後続番組として企画された本作品は、市川森一上原正三田口成光の3人の脚本家による『ウルトラハンター』[注釈 3]『ウルトラV』[注釈 4]『ウルトラファイター』[注釈 5]の3つの企画の長所を整理・統合したものである[出典 2][注釈 6]

そして、『ウルトラファイター』の名で正式な企画書が作成され、大人方向の設定の内容をさらに推敲して円谷プロとTBSの連名で『特撮超獣シリーズ ウルトラA』という企画書が作られた[8][10]

異次元人ヤプールが送り込んでくる超獣や宇宙人から地球を守るため、銀河連邦によって地球人の男女2人にウルトラマンAとしての能力が与えられ、主人公たちは危機に際して男女合体でAに変身する。男女の合体によるヒーローの誕生は、性差を越えた完全な超人の誕生という理念を元にした設定だった[1]。これらの新設定は、『仮面ライダー』などのヒーロー番組が相次いで制作される中、他の番組との差別化を図る必要があったために試みられた。第1話でエース本人が語った銀河連邦とは、円谷プロが制作していた『ミラーマン』など他のヒーロー番組を1つの世界観でまとめるために構想されたが、明確には打ち出されなかった[2]

また、『仮面ライダー』との差別化が図られる一方、逆に同作品と同様のプロットが新機軸として導入されることにもなった。たとえば、ウルトラシリーズではヤプールのようなレギュラーの敵組織という試みは初めてのことだった[注釈 7]
タイトル

画像外部リンク
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当初のタイトルは『ウルトラA』と予定されていた[注釈 8]が、玩具メーカーのマルサンから『怪傑透明ウルトラエース』というSF玩具がすでに発売されていたことから、3月初旬に商標の問題を考慮して『ウルトラマンA』に改題された[出典 3][注釈 9]

本作品以降、ウルトラヒーローは「ウルトラマン?」というネーミングが主体となってイメージが定着した。このため、『ウルトラセブン』の名称が誤って「ウルトラマンセブン」と呼ばれる事態にも繋がっている[注釈 10]
超獣の概念

それまでのウルトラシリーズは、宇宙人以外は怪獣が主な敵役だったのに対し、本作品に登場する敵は「超獣」[注釈 11]と呼ばれている[注釈 6]。超獣が怪獣より強力であることを示すための演出として[注釈 12]、第8話では超獣ドラゴリーが前作『帰ってきたウルトラマン』にも登場した怪獣ムルチ(二代目)を惨殺する展開が織り込まれている。企画時の製作メモでは、子供たちに親しみのある生物をモチーフとしていることや、他作品の怪獣・宇宙人との区別が明確になる点などがメリットとして挙げられている[1]

当初は、ヤプールが地球上の生物と宇宙怪獣を超獣製造機で融合させて生み出した合成生物兵器という位置付けだった。だが、第23話でヤプールが全滅[注釈 13]して以降は、自然発生的に出現したり(例:ハンザギラン)、他の宇宙人の配下になっている(例:シグナリオン)など、ヤプールとの関係が不明な個体が登場するため、当初の定義に該当しない超獣も多くなっていった。ただ、設定上はAと戦って敗れた際に砕け散った巨大ヤプールの細胞が「復讐の怨念」[16]となり、動物や器物、果ては霊的な存在などさまざまな対象から超獣を生み出しているとされ、劇中ではヤプールが滅亡した後も製造済みの超獣は生き残っていることを暗示する台詞がある。ヤプールの残党は第52話まで断続的に登場し、超獣は次作『ウルトラマンタロウ』の第1話にて登場する[注釈 14]。この時は『ウルトラマンタロウ』の「怪獣より強い超獣より強い怪獣」の強さを演出するのに利用されている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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