ウルトラマンA
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超獣第1号・ベロクロンによって地球防衛軍が全滅し、ベロクロンの襲撃から人々を守ろうとした北斗 星司(ほくと せいじ)と南 夕子(みなみ ゆうこ)の2人の若者も犠牲となる。ヤプールの野望を阻止するためにM78星雲から派遣されたウルトラ兄弟の5番目・ウルトラマンA(以後、A)は、北斗と夕子に自分の命と力を授ける。

新たな命を得た北斗と夕子は、地球防衛軍に代わって結成された超獣攻撃隊・TAC(タック)に入隊。銀河連邦の一員の証であるウルトラリングが光る時、北斗と夕子はウルトラタッチによってAに合体変身するのである。
概要
内容

ウルトラシリーズ第5作目であり、昭和第2期ウルトラシリーズの第2作目。帰ってきたウルトラマン(ウルトラマンジャック)が去った後の地球に現れた新たな敵・異次元人ヤプールや、そのヤプールが送り出す怪獣以上の強敵・超獣と戦うウルトラマンAと、超獣攻撃隊・TACの活躍を描く。

主人公の北斗星司と南夕子による男女合体変身[注釈 1]など、多くの新機軸が盛り込まれた。組織的なレギュラー悪役が設定されたのはシリーズ初であり、同時期に放送されていた『仮面ライダー』のショッカーや『ミラーマン』のインベーダーをはじめ、当時の主流傾向にならった形であるが、ショッカー首領の声を演じていた納谷悟朗をヒーローの声に起用するという、捻ったキャスティングが行なわれた。

重厚な人間ドラマを強調した前作『帰ってきたウルトラマン』(以下、帰マン)とは打って変わって娯楽性が強調され、より子供向けに徹している。特に、前作でウルトラマンウルトラセブンの客演が好評だったことを受け、『ウルトラマン』第39話(最終回)以来の登場となったゾフィーを加えたウルトラ兄弟の設定を本格的に前面に打ち出している[1][2]うえ、新キャラクター・ウルトラの父も初登場している。

その一方、人間が心の奥底に持つ醜悪なエゴイズムが現実味を帯びて演出されるエピソードは、他のウルトラシリーズ以上に頻出している。それを利用する卑劣な敵役のヤプールに関しても不気味な描写が多かったうえ、特に後半は前作同様に重厚な人間ドラマも展開され、それが最終回(第52話)のドラマに発展していく。

円谷プロの制作番組の増加に伴い、東宝映像に特撮パートの制作が委託されたことで、特撮には東宝のスタッフが動員され、撮影に東宝撮影所を使用するなど、特撮面の充実も図られた[3][2][注釈 2]
クランクインまで

『帰ってきたウルトラマン』の後続番組として企画された本作品は、市川森一上原正三田口成光の3人の脚本家による『ウルトラハンター』[注釈 3]『ウルトラV』[注釈 4]『ウルトラファイター』[注釈 5]の3つの企画の長所を整理・統合したものである[出典 2][注釈 6]

そして、『ウルトラファイター』の名で正式な企画書が作成され、大人方向の設定の内容をさらに推敲して円谷プロとTBSの連名で『特撮超獣シリーズ ウルトラA』という企画書が作られた[8][10]

異次元人ヤプールが送り込んでくる超獣や宇宙人から地球を守るため、銀河連邦によって地球人の男女2人にウルトラマンAとしての能力が与えられ、主人公たちは危機に際して男女合体でAに変身する。男女の合体によるヒーローの誕生は、性差を越えた完全な超人の誕生という理念を元にした設定だった[1]。これらの新設定は、『仮面ライダー』などのヒーロー番組が相次いで制作される中、他の番組との差別化を図る必要があったために試みられた。第1話でエース本人が語った銀河連邦とは、円谷プロが制作していた『ミラーマン』など他のヒーロー番組を1つの世界観でまとめるために構想されたが、明確には打ち出されなかった[2]

また、『仮面ライダー』との差別化が図られる一方、逆に同作品と同様のプロットが新機軸として導入されることにもなった。たとえば、ウルトラシリーズではヤプールのようなレギュラーの敵組織という試みは初めてのことだった[注釈 7]


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