ウルトラマンタロウ
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本作品の企画は、『ウルトラマンA』放送中の1972年10月ごろからスタートしている[17][14]。TBS側からは『ウルトラマンA』が息切れしたため、ウルトラシリーズは1年間休止する案や『ウルトラマンA』で終了させようとの声もあった[出典 4]

「ウルトラマン・シリーズ第5弾!! ウルトラマンスター」「特撮空想科学シリーズ ウルトラジャック」「特撮空想怪獣シリーズ ウルトラマンジャック」の3冊の企画書が作成され(内容は同一[注釈 10])、タイトルは「ウルトラマンジャック」が選ばれた。しかし、「ジャック」が当時世界的に大きな問題となっていたハイジャックを連想させるという事情から負のイメージを避けるために正式決定直前に取り止めとなった[22][14][注釈 11]。この「ジャック」が西洋のおとぎ話[注釈 5]の主人公の名前としてよく使用される名前だったことや熊谷健が「ジャック」が長すぎると感じていたことから、それに対応する「ジャック」の意味合いを和風な名称に置き換えた日本の名称として満田かずほがタイトル会議で「○○太郎」にちなむ「タロウ」と名付けられたという[20][14][24][注釈 12][19][20]
構成

基本的には、ウルトラマンタロウとZATの活躍を描いている。

第8話以降、児童(東光太郎を兄のように慕う白鳥健一少年の友達や同級生)の抱えるエピソードに、奇怪な事件およびその主犯となる怪獣とZATの闘いが交差したものが多くなっていき、ZATの事件解決に終始している作品はほとんどない[注釈 13]。これは第2期ウルトラシリーズの特徴といえるが、本作品で最も顕著に表れている。

メイン脚本家の田口成光は本作品を結果論として『ウルトラマンA』の変遷を受けた上での「皮膚感覚」を強く意識しており、ファンタジー色とファミリー性が強い昭和のおとぎ話である「ネオメルヘン(ネオファンタジー[20])」と捉えた作品世界となっている[20][13][24][注釈 14]。そのため、「ネオメルヘン」という要素は宇宙怪獣の怪奇設定やヒーローのミステリアスなイメージといった前提条件により、各エピソードがリアル方向に触れすぎないようにするためのバランサーとなっており、演出や設定も陽性の方向へ流れるように誘導していたものと思われる[14]
怪獣

前半の敵は怪獣のみで、本作品の怪獣は前作『ウルトラマンA』の「超獣(怪獣を超える存在)」の設定を覆し、「超獣を超える怪獣」であると設定されていた。第1話では超獣オイルドリンカーが怪獣アストロモンスに捕食されるシーンが存在し、この「超獣よりもさらに強い怪獣」をアピールしていた。企画案では超常能力を持った宇宙怪獣の登場が想定されており[9][14]、初期に登場した怪獣にも反映されている。また、実在の生物をモチーフとした怪獣が多いのも初期の特色である。怪獣の生態が細かく設定されている回が多く、この点も本作品のストーリーにおける特徴の1つとなっている。

第27話でのメフィラス星人(二代目)の登場を皮切りに宇宙人も多く登場するようになり、終盤では独特で奇抜な怪獣が多く登場するようになった。なお、タロウやZATが怪獣、とりわけ人類と対立する意思を持たないものの生存権を尊重する描写も多く、回が進むごとに顕著になっている[注釈 15][注釈 16]

第29・30話に改造巨大ヤプールが登場するなど過去の人気怪獣が多く登場したが、これはTBSでは10月は翌春の新番組を決定させる時期のためだからである[13]
玩具展開

『ウルトラマンA』や『ミラーマン』(1971年フジテレビ)でブルマァクから発売された怪獣ソフトビニール人形が不振だったため、本作品の怪獣はほとんど商品化されていない。しかし、『ウルトラマンA』のタックファルコンや『ミラーマン』のジャンボフェニックスなどのメカ類は好調だったため、本作品はメカ類を売り出すことに注力しており、前述のようなオープニングになった。さらに、オープニングのみの登場メカや本編未登場のメカなども商品化され、どれも子供受けする派手なデザインとなっていた。

また、「ウルトラ兄弟セット」や「ウルトラファミリーセット」などの形式で、過去のウルトラマンソフトビニール人形がセット売りされた。こうしたヒーローやメカ重視の潮流の中で怪獣のデザインは商品化を前提としないため、『帰ってきたウルトラマン』初期のように売れる怪獣をデザインするという縛りから解放され、自由なデザインの怪獣が生まれるようになった。
評価・反響

他の第2期ウルトラシリーズとは異なり(各作品の路線変更については各記事を参照)、放映延長に当たっての番組強化に関する文書が作成されず、第19話でタロウがウルトラの母からキングブレスレットを授かったり、第27話から宇宙人が登場したり、レギュラー俳優の交代などはあったが、制作方針に関わるような路線変更がなかった。しかし、それまでのウルトラシリーズと異なり、コミカルなストーリーが多くなるなど作風に顕著な変化が見られたため[注釈 17]、旧作ファンには本作品を否定する向きもあった[9]

後発のウルトラマンシリーズ出演者が、幼少時に見ていた作品として本作品を挙げている。萩原佐代子(『ウルトラマン80』の星涼子 / ユリアン役)はリアルタイムで[28]原田隼人(『ウルトラマンX』の三日月マモル役)[29]石黒英雄(『ウルトラマンオーブ』の主人公クレナイ・ガイ役)は再放送で本作品を見ていた。また、杉浦太陽(『ウルトラマンコスモス』の主人公・春野ムサシ役)と宮野真守(映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』以降のウルトラマンゼロの声)[30]は、幼少時はタロウが好きだったと語っている(杉浦は七夕の短冊に「タロウになりたい」と書いたこともあると自身のブログで明かしている[31])。

ウルトラマンマックス』以降のシリーズに参加している脚本家・小林雄次は本作品の第1話を評価しており、『ウルトラマンマックス』第1話執筆時の参考にしている[32]
ウルトラマンタロウ

諸元ウルトラマンタロウ
身長53 
m[出典 6]
体重5万5,000 t[出典 6]
ジャンプ力600 m[39][35]
走行速度

マッハ1[35]

時速1,240 km[39]

飛行速度マッハ20[出典 7]
水中速度160 kt[35]
地中速度マッハ6[40]


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