ウルトラセブン
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とはいえ、『ウルトラQ』からの累積赤字の深刻化もあり、第3クール以降は着ぐるみや特撮セットの費用の引き締めが行われ、等身大サイズで着ぐるみが不要の侵略者しか登場しないエピソード[注釈 17]も作られた。こうした展開が、ヒーローと大型怪獣との格闘戦を期待する児童層の視聴離れを招き、第36話「必殺の0.1秒」で視聴率16.8%を記録して以降、17%から23%の間を行き来する状況となった。加えてマスコミはこの時期、妖怪ブームとスポ根ブームを喧伝しており、「もう怪獣モノは時代遅れ」の風潮が生まれていた[13][注釈 18]。もっとも、後番組である『怪奇大作戦』の企画会議は、1968年1月12日から本格的に始動しているため[注釈 19]、タケダアワーにおける『ウルトラQ 空想特撮シリーズ』の終了は、必ずしも本作品後半の視聴率低下だけが原因ではない。ウルトラセブン=モロボシ・ダンとアンヌ隊員の別れを描いた最終回(第49話)では、視聴率も放映開始時に近い28.5%を記録した。
時代設定

本作品の舞台は書籍などでは1987年と設定されているが、劇中では明言されていない[16]。SF作品としての設定上、宇宙開発や海洋開発などについては放映当時より進歩している演出があり、ドラマ上でも近代的なビル街や高級な邸宅など、日常的生活感を排した背景が選択されていることが多い。しかし、未来世界の演出は一貫しておらず、1967年当時の日常生活や時代風俗も地方ロケを含めて同時に描かれている。この、近未来設定と当時の風俗が混在する傾向は、前作『ウルトラマン』でも見られる。

以下、作品世界の設定年代が明確な演出と制作当時の年代が見て取れる描写を記す。

演出意図の明確な年代表現

第43話で、ダンとソガが搭乗した宇宙ロケット・スコーピオン号が第四惑星に漂着した際、現在日付を示すカウンターが2000年8月30日と表示されている。

第8話や第45話では日常生活感の強い下町を意図的に使い、未来世界と日常生活が同居する独特の世界観を演出している。


制作当時の年代の事物が現れるもの

相撲中継やプロ野球中継が劇中に挿入され、柏戸川上哲治王貞治など当時のスポーツ関係者の名が聞き取れる。

当時の日本では現在と違って喫煙者に対する社会的規制がほとんど無く、第8話で「人類の約半分はタバコを吸っている」とのセリフがある[注釈 20]

第8話でダンとメトロン星人がちゃぶ台を挟んで対峙する場面がある。

第38話で昭和43年5月16日木曜日)付けの新聞が登場している。

第42話でアンヌが着用しているトレーナーに、当時の人気グループ・サウンズであったザ・タイガースの公式ロゴがプリントされている。

第45話で蕎麦屋の軒先の張り紙に「ひやむぎ100円」とある。

第49話(最終話)で「30億の全人類」とのセリフがあり、これは当時の世界人口とほぼ同じである。


当時の玩具展開

トイジャーナル1967年11月号において、西武百貨店の海士慶二郎は、怪獣ブームは「子どもの日を境に急激に下降線をたどっています」と述べ、同記事で小出信宏社の石井販売課長も「怪獣ものから宇宙ものへ、消費者の好みは変わりましたね。最初ウルトラセブンの方が強かったんですが、ここへ来てサンダーバードの追い込みはすごいですよ」と述べている。さらに同記事の今井科学の草川克明の言によると「サンダーバードの発売によって当社は、プラ模型[注釈 21]市場を30%おさえた」としている。こうした風潮のなかで、『ウルトラマン』に引き続き、本作品の商品化権を許諾されたマルサン商店が発売したメカ類のプラモデルは好調な売れ行きを示した。マルサン社員だった?三郎は「マルサン、ブルマァクを通して一番売れたのが『ウルトラホーク一号』」と述べている[18][注釈 22]

しかし東宝怪獣映画が一段落を見せ、『ウルトラセブン』終了後にマルサンは倒産[19]。『ウルトラマン』はターゲットを子供に絞って成功したが、スポンサーの武田薬品は「子供に受けても大人に受けなければ所期の目的は達せられない」と考えており、本作品の対象年齢の引き上げを要求した[20]。一方、TBSは「日曜のゴールデンアワーは子供の時間帯」と認識していたのである。この意見の食い違いから、本作品の玩具展開は迷走してしまったとも言える[20]

もう一つの問題は商品化権の契約金の高騰である。前番組『キャプテンウルトラ』が不振だったため、各社は実績のあるウルトラマンの正当な後継者たる本作品に熱く注目した。このため各品目で激烈な入札競争が行われた結果、契約金の高騰という事態を誘発。契約した会社は高額の契約金を回収しようと大量に商品を供給した。


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