ウクライナ
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一方、肥沃な農地が広がっているため、ウクライナは世界有数の穀物輸出国である[12][13]

また、ロシア、フランスに次いで兵員数ではヨーロッパで3番目に大きな軍隊を保有している[14]国連欧州評議会欧州安全保障協力機構GUAMルブリントライアングルに加盟しており、独立国家共同体の創設国の一つであるが、独立国家共同体に加盟することはなかった。

国際指標である「腐敗認識指数」の国別ランキングでは、2021年度の時点において122位と、政治、軍事組織による長年の汚職と腐敗問題が続いている(腐敗認識指数は順位が低いほど腐敗認識される)[15][16]。詳細は「ウクライナの政治」および「 ウクライナにおける「ネオナチ問題」 」を参照
国名詳細は「ウクライナの国名(ウクライナ語版、英語版)」を参照

ウクライナドイツポーランドロシアトルコジョージアルーマニアハンガリーオーストリアイタリアギリシャチェコスウェーデンフィンランドリトアニアベラルーシセルビア黒海地中海バルト海

ウクライナの最高法規であるウクライナ憲法によると、当国の正式国号は「Укра?на」である[17]。公式の英語表記は「Ukraine」(ユークレイン)であり、非公式には「the Ukraine」も使用される。ドイツ語では「Ukraine」(ウクライネ)とよばれている。

日本語の表記は「ウクライナ」となっている[4][注釈 2][注釈 3]が、2019年7月に在日ウクライナ大使館ウクライナ語を基にした「ウクライーナ」と表記すべきであるという意見を表明した[18]。しかし、その後の2019年9月、同大使館や日本国外務省の代表者や国会議員、ウクライナ語専門家の参加を得て開催されたウクライナ研究会主催の「ウクライナの地名のカタカナ表記に関する有識者会議」において「国号について、ウクライナの変更はしない」という結論が出され、同大使館案は採用されなかった[19]漢字表記は現在の日本では滅多にされないが、「宇克蘭」、または「烏克蘭」[20]と表記される[注釈 4]

「ウクライナ」というスラヴ語の地名の初出は、『原初年代記イパチー写本の「キエフ年代記」にある1187年の条である[21]。この地名は、キエフ公国チェルニーヒウ公国と並んでルーシ大公国の歴史的中枢地に含まれるペレヤースラウ公国の範囲を示している。また、この地名は他のルーシ年代記の1189年の条[22]1213年の条[23]1280年の条[24]にも「ウクライナ」あるいは「ヴクライナ」という形で登場し、ガリツィア地方、ヴォルィーニ地方、ポリーシャ地方を指す用語として用いられている。

13世紀にルーシ大公国が滅び、その中部・南部の地域がリトアニア大公国ポーランド王国に併合されると、「ウクライナ」は併合地の領域を表す地名としてリトアニア・ポーランドの年代記や公式文書などに使用されるようになる。14世紀から17世紀にかけて広義の「ウクライナ」はルーシ人が居住するガリツィア地方、ヴォルィーニ地方、ポジーリャ地方、ブラーツラウ地方とキエフ地方の範囲を示し、狭義の「ウクライナ」はキエフを中心としたドニプロ川の中流域を示している[25]

「ウクライナ」の地名の両義性は、ウクライナ・コサックヘーチマン国家が誕生する17世紀半ば以後にも東欧の古文書にみられる。狭義の「ウクライナ」は当国家の支配圏を指しているが、広義の「ウクライナ」は当国家の支配圏外のルーシ人の居住地を意味している[注釈 5]。しかし、ヘーチマン国家がロシアの保護国になることにより、「ウクライナ」はドニプロ川の中流域だけを意味するようになり、17世紀以降はルーシの本土を意味する小ロシア(小ルーシ)という地名の同義語となった。

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ルーシ系の知識人による民族運動が発展していくにつれて、「ウクライナ」はルーシ人が居住する民族領域を意味する名称となり、「ルーシ人」は「ウクライナ人」という民族名に取って代わられた[25]1917年に成立したウクライナ人民共和国において初めて、「ウクライナ」という名称が正式な国号の中で用いられることとなった。
語源V・コロネリ(英語版)による東欧地図(1690年)。キエフを中心とした地域は「VKRAINE ou PAYS DES COSAQUES(ウクライナあるいはコサックの国)」と記されている。隣の「OKRAINA(辺境)」はロシア南部の国境地帯を指す。

「ウクライナ」の語源については、「国」といった意味であるという説と、「辺境」といった意味であるという説がある。前者は「内地」を意味する中世ルーシ語の「ウクライナ (?краина)」・「ヴクライナ (вкраина)」という単語に基づいており、後者は「僻地」を意味する近世のポーランド語の「オクライナ (okrajna)」や、ロシア語の「オクライナ (окраина)」という単語に基づいている[27]

「ウクライナ」/「ヴクライナ」に関連する単語の中で、最も基本的で、現在でも使用されている一音節の「クラーイ (край)」という単語には「地域」「隅」「境」「端」などの複数の意味がある[28]。これから派生したウクライナ語の「クライーナ (кра?на)」という名詞は「国」を意味する[29]。ウクライナ語では「ウ? (у-)」[30]と「ヴ? (в-)」[31]は「内?」「?の中で」を意味する前置格を支配する前置詞であることから、「ウクライナ」や「ヴクライナ」は「境界の内側」「内地」を意味する。


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