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ムーアの原案上では、キャプテン・アトムは核戦争の恐怖を体現するキャラクターであったが[6]、ムーアはDr.マンハッタンに対しては、彼がキャプテン・アトムで考えていた時以上の「量子力学的スーパーヒーロー」の要素を付け加えている。また、当時のスーパーヒーローが彼らのオリジンに対して科学考証を欠いていたのに対し、ムーアはDr.マンハッタンの構築に当たって原子核物理学量子力学に関する考証を試みた。ムーアは、量子力学的宇宙に生きる人物は遠近法的な視点で時間を知覚せず、それは彼の人間関係の受け取り方に影響を及ぼすであろうと考えたが、『スタートレック』のスポックの様な無感情なキャラクターを創造するのは避けたいと望み、Dr.マンハッタンにある程度の「人間的な習慣」を残すことで、そこからストーリーが進むにつれ徐々に人間性を失っていく様を描いた[1]。ギボンズはムーアに対し、かつて自身が創造した全身青色のキャラクター「ローグ・トルーパー(Rogue Trooper)」を基に、Dr.マンハッタンの皮膚の色調にはそのモチーフを再利用しようと提案、ムーアはその提案を採用した。それにより、ギボンズはコミックの色彩設計の中でDr.マンハッタンが取り分けユニークなキャラクターになったと語っている[21]。一方のムーアは、DCが全裸の登場人物を許可するかどうか確信が持てず、Dr.マンハッタンの描写には苦心した事を回想している[22]。ギボンズはマンハッタンの全裸を上品に作画する事を試み、正面を描くタイミングを慎重に選択し、読者がすぐにはそれと気付かないような、ギリシャ彫刻風の、「慎み深い」男性器を彼に与えたとしている[23]。1989年にサム・ハムが執筆した未採用の映画脚本では、ヴェイトの最終目的を「過去のオスターマンを殺害しDr.マンハッタンの出現を防ぐこと」としており、Dr.マンハッタンがヴェイトを殺害した時に歴史は変更され、オスターマンはDr.マンハッタンに変貌しない事になる、というストーリーであった[24][25]
コメディアン/エドワード・モーガン・ブレイク(The Comedian/Edward Morgan Blake)
キーン条約の制定後に活動している政府公認のヒーロー。「ミニッツメン」の発足当時からヒーローとして活動しており、当初はギャングと戦っていたが、太平洋戦争ベトナム戦争に従軍して政府にコネを作り、イランアメリカ大使館人質事件を解決するなど工作員として活動していた。また、ウォーターゲート事件を追跡していた記者を殺害し、ジョン・F・ケネディを暗殺した張本人であることが示唆されている。失踪したフーデッド・ジャスティスの行方を追う任務にもついており、公式には失敗したと記録されているが、発見し殺害した上で成果を偽ったとも推察されている。自らの暴力衝動を満たす為にヒーローとなるような過激で粗暴な人物だが、それ故に「20世紀という時代のパロディ」となることを選んだ。かつてサリーをレイプしようとした事があり、ホリス・メイソン(初代ナイトオウル)の自伝でそれが暴露された。そのためローリーから敵視されているが、その事件後合意の下で性行為を行っており、その際にできた子供が後のローリーであることが明かされる。ミニッツメン時代のコスチュームは顔をドミノマスクで隠した薄い布の黄色いコスチュームだった。任務中に負傷した後、革製のフルフェイスマスクと星条旗をアレンジした革製のボディアーマーに変更している。また、スマイリーフェイスマークのバッジを愛用しており、コメディアンの血に汚れたバッジは本作のシンボルである。死亡する約1週間前、任務からの帰還途中地図上に記載されていない島を発見し、反政府組織の拠点であると疑い島に降り立つも、そこで進められるオジマンディアスの計画の全貌を目撃してしまう。オジマンディアスによる「史上最大の悪質なジョーク」を目の当たりにしたコメディアンは精神のバランスを崩し、モーロックのもとを訪れ怒り涙する。そして、その一部始終を監視していたオジマンディアスに殺害されてしまう。コメディアンの原型となっているのは、チャールトン・コミックに登場する平和の為なら暴力も厭わないという主義を持つスーパーヒーロー「ピースメーカー(Peacemaker)」であり、更にマーベル・コミックのCIA諜報員ヒーロー「ニック・フューリー(Nick Fury)」の要素が加えられている。ムーアとギボンズは、コメディアンを「巨体と怪力を与えられたジョージ・ゴードン・リディ的なキャラクター」と考えていた[6]
二代目ナイトオウル/ダニエル・“ダン”・ドライバーグ(Nite Owl II/Daniel "Dan" Dreiberg)
フクロウをモチーフにしたコスチュームを身に纏うヒーロー。かつてはロールシャッハの相棒として活躍していたが、キーン条例の制定と共に引退していた。引退後は鳥類に関する論文を科学誌に寄稿している。また、先代のホリス・メイソンやロールシャッハとの間には友人関係が続いている。子供の頃から騎士物語やヒーローに憧れており、銀行家であった父の遺産で装備を整え、メイソンが引退すると許可を取り名前を襲名してデビューした。ステルス機能に加えて火炎放射器やミサイル、機関砲を搭載した飛行船オウルシップ・アーチー[注 8]、小型レーザーホバーバイク、各種防護服、暗視ゴーグルを使用する。また、ベルトには様々な装備品が収納されたポーチが備わっており、リモコンを使ってアーチーを遠隔操作することなども可能。自ら引退の道を選んだものの、未だ情熱を抱き押さえ込んでいたためインポテンツであったが、ローリーとの再会などを経てヒーロー活動を再開するにつれてかつての輝きを取り戻す。モデルは「二代目ブルービートル/テッド・コード(Blue Beetle II/Ted Kord)」。コードは先代であるダン・ギャレット(Dan Garrett)の遺志を受け継ぎ、二代目ブルービートルとして、昆虫型の飛行船を乗り回し、自ら発明した武器を手に戦うヒーローだった。正体が新人警官である先代のギャレットは、初代ナイトオウルであるホリス・メイソンのモデルにもなっている[6]。リチャード・レイノルズは自著『Super Heroes: A Modern Mythology』において、ナイトオウルの行動様式にはDCの「バットマン」とより大きな共通点が見られると述べている[26]。ジェフ・クロックによれば、ドライバーグの普段の姿は「中年に達した性的不能のクラーク・ケントを連想させる」[27]。ギボンズはドライバーグを「自分の趣味に過度に没頭する、漫画マニアの少年」だと考えていた[28]
オジマンディアス/エイドリアン・ヴェイト(Ozymandias/Adrian Veidt)
卓越した頭脳を持ち、世界で最も賢い男と呼ばれる。優れたアスリートでもあり、その身体能力は至近距離で発射された銃弾を素手で受け止められるほど高い。金色のヘッドバンド、マント、胸飾りのついたチュニックというコスチュームを着用。現役時代はドミノマスクで顔を隠していたが、引退後にコスチュームを着る際には素顔のままである。かつてはアレキサンダー大王に憧れてユーラシア大陸を放浪したが、彼が失敗した事を悟ると今度はラムセス2世に学んだ。
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