ユビキタスコンピューティングにおいて、ウェアラブルコンピュータはエンドユーザーが直接接する端末として大きな意味をもつ。腕時計形のコンピュータや、PDA、小型コンピュータ、付随する通信装置やセンサ類(カメラやGPS受信装置など)が具体的には挙げられるが、これらに限らず様々な形状のものが研究、提案されている。しかし、HMDなどは屋外でそれを着用して歩くと異様な風貌になるなど実用化・普及への課題は少なくない。「眼球に直接埋め込まれ、脳に直結したディスプレイ」など侵襲型は制約が大きいため[4]、スマートコンタクトレンズのような非侵襲型の開発が進んでいる[5]。
2010年時点では、技術上の問題から、ウェアラブル技術の一般への普及は低調だった[6]。しかし、近年の半導体技術の発展や、無線通信技術の普及、データの管理・解析技術の発展などにより、ウェアラブルデバイスの一般への普及率は増加した。ウェアラブルデバイスの出荷台数は2020年までに国内で約1160万台、世界で約3億2300万台に上ると推定される[7]。 ウェアラブルコンピュータの実現にはいくつかの課題がある。
課題
着用に適したハードウェア
ヘッドマウントディスプレイの小型化や、入力機器、消費電力の少ないCPU、長時間動作可能な電源などの開発。さらに長時間身に着ける物であるため、それを前提とした設計が必要となる。主に低温やけどをしないように発熱問題を解決することや、肌に直接触れる部分は、汗で金属部品が腐食しない設計にする必要がある[8]。
常にコンピュータを身につける意味がある応用技術
コンピュータを着用するだけでは、十分に小さなコンピュータを持ち歩くのと大差はない。常に身につけている特徴を生かした応用技術が必要である。大きくわけて3つの利用方法が提案されている。1つは利用者に対するリアルタイムの情報提供、2つ目は利用者の状態の記録、3つ目は外部のコンピュータとの連携である。利用者に対するリアルタイムの情報提供の例としては、道案内、顔の画像認識による人についてのメモ、周辺情報などがある。利用者の状態の記録の例としては、行動記録、健康管理など。外部のコンピュータとの連携によって、ワークステーションの環境を目の前にいる利用者にあわせて切り替えたり、建物内のどこに誰がいるのかを監視するシステムなど。
脚注[脚注の使い方]
出典^ “ウェアラブルデバイスとは 「ウエアラブルデバイス, ウェアラブル端末」 (wearable device): - IT用語辞典バイナリ
^ https://ctech.ul.com/wp-content/uploads/2015/01/Wearable-Technology-products_ja.pdf p.3
^ “ ⇒ウェアラブルコンピュータとは - IT用語辞典”. IT用語辞典 e-Words. 2019年8月20日閲覧。
^ ⇒10年後、スマートフォンに眼球インプラントが取って代わる可能性 。Enterprise Innovation Japan
^ 日本放送協会. “スマートコンタクトレンズ 米「Mojo Vision」が開発メニコンも共同で 。NHK 。ビジネス特集”. NHKニュース. 2022年9月11日閲覧。
^ “ウェアラブルコンピュータとは (wearable computer): - IT用語辞典バイナリ”. www.sophia-it.com. 2019年8月22日閲覧。
^ “総務省|平成28年版 情報通信白書|ウェアラブルデバイスが注目されている背景”. www.soumu.go.jp. 2019年8月22日閲覧。
^ ⇒LG issues update for G Watch to stop corrosion in terminal pins
関連項目
ユビキタス
ユビキタスコンピューティング
アクティビティトラッカー - ウェアラブルの一種で歩数や運動時間、睡眠時間などを、搭載された各種センサーによって計測するウェアラブル機器。
Bluetooth Low Energy - フィットネスなどで使用するウェアラブル端末などに使われる技術。
人体通信
スマートフォン
タンジブルユーザインタフェース
自動通訳