ウィリアム・ランドルフ・ハースト
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イエロー・ジャーナリズム(ジャーナル中のコマ漫画“イエロー・キッド”の名前に由来する)の用語は扇情的に扱われた新聞記事のスタイルに使用された。

ハーストは、自身の新聞の売り上げを伸ばすために1898年米西戦争を誇大に報じたとされる。彼の政治経歴は、大統領ウィリアム・マッキンリー暗殺に絡んで、事件の数か月前に出版したアンブローズ・ビアスによる風刺詩がマッキンリー暗殺をほのめかしているとの指摘を受け、痛手を受けたことも。

1903年ニューヨークで22歳の美しいショーガール、ミリセント・ヴェロニカ・ウィルソン(1882 - 1974)と結婚。出会いは彼女がまだ16歳の時。20歳近く年齢が離れていたが、彼らは5人の息子をもうけている。ジョージ・ランドルフ(1904 - 1972)、ウィリアム・ランドルフ・ジュニア(1908 - 1993)、ジョン・ランドルフ(1910 - 1958)、および双子のランドルフ・アパーソン(1915 - 2000)およびデービッド・ウィットマイアー(1915 - 1986)。婚姻関係はハーストの死まで続いている(1926年に別居)。

アメリカ合衆国下院議員(1903年 - 1907年)、ニューヨーク市長1905年1909年)と政治家としての道を歩むが、ニューヨーク州知事1906年)選挙に出馬するものの、チャールズ・エヴァンス・ヒューズに敗北。この間、第一次世界大戦へのアメリカ関与に反対し、国際連盟を攻撃したこともある。

彼の新聞の全国チェーンとニュースを配信する通信社の国際通信社(INS;後にやはり新聞チェーン系のUPと合併。組織、資本内容が変更されてUPIとなる)を加えて、定期刊行物は「シカゴ・エグザミナー」「ボストン・アメリカン」「コスモポリタン」「ハーパース・バザー」を含むようになった。

1920年代にはカリフォルニア州サン・シメオンの240,000エーカー(970 km2)の農場に動物園付きの絢爛豪華でやや悪趣味な城を建造(通称ハースト・キャッスル)。このころ、元女優マリオン・デイヴィス(本名マリオン・セシリア・ダグラス、1897 - 1961)と知り合い、妻と別居して、マリオンと暮らし始める。初めてハーストと出会ったころのマリオンは、まだ10代半ばのショーガールだったが、50代のハーストはひと目でマリオンの容姿と性格を気に入り、直ちに彼女のパトロンに納まった。そして愛人であるマリオンのために、わざわざ映画制作会社(コスモポリタン社)まで設立。強引に彼女を映画女優に仕立て上げデビューさせただけでなく、自分が発行する新聞社の記事で彼女を大々的に宣伝した。しかし、その露骨なまでに愛人をプッシュする売り出し手法は大衆をおおいにしらけさせる結果となった。また、彼女自身、美人というだけであまり女優としての才能もなく、女優業よりも夜通しパーティで遊びまわることに夢中だったことも手伝い、莫大な資金をかけた割りには映画界の評価は芳しくなかった。当然、ハースト傘下以外の新聞・雑誌での評価は低く、結局大スターにはなれず、晩年はハーストの経営する新聞社の経営難により、芸能活動をすることが困難になり1937年に引退。

ピーク時には彼はいくつかのラジオ放送局および映画会社に加えて、28の主な新聞および18の雑誌を所有。しかしながら、世界恐慌は彼の財務状態を弱めた。1940年頃になると彼は巨大なコミュニケーション帝国のコントロールを失っている。1951年、カリフォルニア州ビバリーヒルズにて死去。彼が築きあげたハースト・コーポレーションは、巨大メディア・コングロマリットとして現在でもニューヨークに本拠を構え事業は続いている。
その他

ハーストの生涯はオーソン・ウェルズの映画「市民ケーン」の中でも描かれている。ハーストはこの映画の製作を察知し、映画が自分とマリオン・デイヴィスを侮辱していると考え、その公開を妨害しようと持てる影響力をすべて行使した(評論家の買収や、劇場への圧力など)。監督のウェルズおよびRKOは、当然、圧力に抵抗したものの上映館数は減少し、当時24歳のオーソン・ウェルズの経歴にも傷をつけることとなった。多くの評論家が絶賛し、アカデミー9部門ノミネートの有力作品にもかかわらず、受賞は脚本賞の1つのみ。結果、この一連の妨害工作は、アカデミー賞最大の汚点とも呼ばれている。ちなみにこの事実は後に「ザ・ディレクター [市民ケーン]の真実」の題名でTV映画化されている。しかしながらハーストの死後、「市民ケーン」の評価は回復。


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