ウィリアム・ドノバン
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この部隊は連邦軍がパンチョ・ビリャ遠征(英語版)に出動していた影響で、1916年に動員令を受けてアメリカ=メキシコ国境の警備に回されている[7]
第一次世界大戦フランス戦線のドノバン少佐(1918年)

第一次世界大戦中、少佐となったドノバンは第42歩兵師団(英語版)第165連隊(英語版)第1大隊の大隊長を務めていた。同連隊はFighting 69thとして知られる第69ニューヨーク義勇兵連隊と同一の部隊であり、165はそれと別に連邦軍にて与えられている部隊番号である。フランス戦線ではコロンビア大の同窓生である詩人ジョイス・キルマー(英語版)がドノバンの副官を務めていたという。1918年10月14日から15日にかけて、フランスのセント・ジョルジュ付近で発生した戦闘における功績から、ドノバンは名誉勲章を受章した。終戦までに大佐となり、2つの殊勲十字章と2つの名誉戦傷章を受章している。
戦間期司法省職員時代のドノバン(1924年)

1922年から1924年にかけて、彼はニューヨーク州西部地区の連邦検事を務めており、積極的な禁酒法違反の取締で知られるようになる。1924年、大統領カルビン・クーリッジは司法長官ハリー・M・ドアティ(英語版)の代理補佐官としてドノバンを司法省独禁法取締部門に登用した[7]

1922年、共和党員としてニューヨーク副知事選に出馬するも落選し、1932年の知事選でもやはり落選している[8]。1932年の選挙ではジャーナリストのジェームズ・J・モンタージュが個人顧問たる選挙参謀として選挙運動の支援に当たっている[9]。また、1924年から1928年の間、ハーバート・フーヴァーに庇護され、ボヘミアンクラブに連れて行かれるほどの厚遇を受けた。
第二次世界大戦

第二次世界大戦前、ドノバンはヨーロッパ各国を巡ってイタリアベニート・ムッソリーニなど多くの要人との会談を行った。この頃から彼は欧州で再び発生しうる大きな戦争は避けられないのだと信じるようになった。こうした現実的な視点と外交経験から、彼は大統領フランクリン・ルーズベルトから注目される官僚の1人となり、同時に個人的な親交も得ることになる。彼らは政治的に対立する立場ではあったものの、各々の性格は非常に似通っていたのである。その為、ルーズベルトはドノバンの見識を重要視するようになったという。1939年9月、ナチス・ドイツポーランド侵攻により第二次世界大戦が勃発。これを受けてルーズベルトは戦時体制への移行を決断した。彼は戦時体制の基盤を形作るべく、信頼しうる人物を選ぶことになる。その後、海軍長官フランク・ノックスがドノバンを推薦し、以後ルーズベルトは様々な重要任務をドノバンに任せるようになった。1940年から1941年にかけて、ドノバンはノックスとルーズベルトより「英国がドイツの侵略に耐えうるかどうか調査せよ」との任務を受けて非公式に英国を訪問する。この折、軍の将校をはじめ、首相ウィンストン・チャーチルや諜報機関幹部など、戦争遂行に関与する要人らと何度か会談の場を持っている。帰国後、ドノバンは英国が十分に備えているという調査結果、それに加えてアメリカでも英国のそれをモデルとした諜報機関を設立する必要性があることを報告した。
戦略諜報局(OSS)OSS長官時代のドノバン(1945年)

1941年7月11日、ドノバンは情報調査局(Office of the Coordinator of Information, OCI)の長たる情報調査官(Coordinator of Information, COI)に就任する。当時、アメリカにおける対外諜報活動は陸軍、海軍、連邦捜査局(FBI)、国務省などがそれぞれの利害関係に基づき独自に行なっており、獲得した情報の共有も全く行われていなかった。情報調査官のポストはこれらの諜報活動を統括するものとされていたが、ドノバンは各機関の縄張り争いに悩まされることになる。多くの諜報機関の長は旧来からの分断されたシステムの中で獲得した権力を手放すことに難色を示していた。例えば当時ドノバンのライバルだったジョン・E・フーバーが長官を務めたFBIは、南米における諜報活動の自主権を主張していた。

こうした逆風の中でも、ドノバンは中央集中的な諜報システムの基礎を徐々に築いてゆく。1941年10月には英国軍情報部第6課(MI6)の支局からロックフェラー・センター3603号室を引き継ぎ、情報調査局ニューヨーク本部を設置。本部長はアレン・ダレスに依頼した。

1942年、COIは戦略諜報局(Office of Strategic Services, OSS)に改組され、長官となったドノバンは陸軍大佐として現役復帰を果たす。


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