ジェームズは対象間の関係は対象自体と同じくらい現実であると主張するその徹底的プラグマティズムでも有名である。また真理には実際に複数の正しい答えがあると考えることでは多元論者でもある。真理の対応理論を拒否し、真理には信念、世界についての事実、その他背景的信念およびこれら信念の将来的結果を含むと主張した。ジェームズはその後半生で、究極の実在はある種のものであり、精神的でも肉体的でもないという見解である中立一元論を採用するようになった[10]。 超常現象に対しても興味を持ち、「それを信じたい人には信じるに足る材料を与えてくれるけれど、疑う人にまで信じるに足る証拠はない。超常現象の解明というのは本質的にそういう限界を持っている」と発言。コリン・ウィルソンによってこれを「ウィリアム・ジェームズの法則」[11]と名づけられた。ウィリアム・ジェームズは神秘体験の4つの特徴として、1.言語化できず体験した本人にしかわからない、2.認識的性質つまり真理の深みを洞察する、3.暫時性つまり長時間続かない、4.受動性つまり自分の意志の働きがなく高貴な力につかまれているように感じる、と定義している[12]。 当時のアメリカのニューイングランドでは、キリスト教の異端的思想(おそらくスヴェーデンボリとメスメリズムなど)に基づくマインド・キュア(精神療法)のセッションが流行しており(ニューソート運動)、ジェームズは、狭心症から不眠症まで、100-200もの治療のセッションを実践し、1894年と1898年のマサチューセッツ州議会での医師免許に関する討論で、マインド・キュアを擁護している[13][14]。 ニューソート運動に属するともされる宗教クリスチャン・サイエンスの治療で神経症を治した経験から、彼の哲学体系には少なからずニューソートの影響が見られると言われる[15]。
超常現象
ニューソートとの関わり
著書(日本語訳)
The Principles of Psychology(1890年)
『心理學の根本問題 現代思想新書6』 松浦孝作訳、三笠書房、1940年(抄訳版)
Psychology, briefer course(1892年)
『心理學精義』福来友吉訳、同文館、1900年[16]
『心理學 心理学名著叢書1』 今田恵訳、岩波書店、1927年
『心理學』 今田恵訳、岩波文庫(上下)、1939年
『心理学』 今田恵訳(今田寛改訳)、岩波文庫(上下)、1992-93年
Pragmatism: A New Name for Some Old Ways of Thinking(1907年)
『最近思潮実際主義』 北沢定吉ほか訳、弘道館、1910年
『実用主義』 中島力造解説、目黒書店、1912年[17]
『実用主義の哲学』 上野隆誠訳、理想社出版部、1930年
『プラグマティズム』桝田啓三郎訳、岩波文庫、1957年、改版2010年
The Varieties of Religious Experience: A Study in Human Nature(1902年) - 通年のギフォード講義を元にした。
『宗教的經驗の種々』 佐藤繁彦、佐久間鼎共訳、星文館、1914年
『宗教経験の諸相 人間性の研究』 比屋根安定訳、警醒社、1922年
『宗教経験の諸相 人間性の研究』 比屋根安定訳、誠信書房、1957年、新版1973年
『宗教的経験の諸相』桝田啓三郎訳、岩波文庫(上下)、1969年