ウィキペディア
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ウィキペディアの記事の精度は高いとした複数の研究結果がある[17] 一方で、記事に対する査読制度がないため、問題ある記述はコミュニティーの自己管理により解決されることに委ねられている[79]。このようにウィキペディアは信用に足る百科事典とは言い難く、ウィキペディアからの引用を学術関連のレポートに載せることは、そのレポートの信憑性そのものに疑問を持たせることでもある。また問題のある投稿が他の利用者によって修正・除去がなされるまでは一時的であっても適切でない記述が公開され、問題が長期間見逃されたり、後述する編集合戦により編集できない場合に問題のある記事が長らく修正・除去できないという問題もある(ただし、法的な問題の場合は管理者が対処する)[要出典]。米国では、学術研究の出典としてウィキペディアの記事を引用した学生が、その内容が史実と異なっていたため落第点をとったとして、ウィキペディアの創設者ジミー・ウェールズに苦情を寄せたという事例がある[80]。これを機に、ジミー・ウェールズはウィキペディアを学術研究の出典として利用するのを止めるよう訴えた。大学機関のいくつかは学生たちにレポート課題においてウィキペディアを引用することを禁止している。また、ディベートなどの正確性の求められる競技などではウィキペディアの情報は用いられていない。

ラリー・サンガーは新しい百科事典プロジェクトを始めた理由は「ウィキペディアの権威が失墜したからだ」としており[39]、「ウィキペディアのコミュニティはウィキペディアを信頼できるものに変える準備ができていない」旨を述べている[38]
法律に関わる問題
名誉毀損

時に個人や団体に対して、プライバシーに関わることを書いたり、真偽の不明確なゴシップ(噂)を断定的に書いたりすることで、本人や当団体から抗議を受けることがこれまであった。また他の利用者が気づかずに訂正されなかった意図的な嘘の投稿に対して、書かれた個人が抗議したこともあった(ウィキペディアにおけるシーゲンソーラーの経歴論争を参照)[81]
著作権侵害

著作権法や著作権についてのウィキペディアの方針に対する理解不足から、記事を書く際に書籍やネット上の文章をそのままコピーした文章が投稿されることがある。これに対しては著作権侵害への対処として削除の手続きが取られる。
犯罪予告

2008年4月、米国において、英語版ウィキペディアに殺害予告を書き込んだことによる逮捕者が出ている[82]ウィキペディア日本語版でも対象を明記した爆破予告や殺傷予告などの書き込みが報じられている。2008年4月24日、同年4月26日(北京オリンピック聖火リレーの当日)の長野駅への爆破予告が書き込まれ、インターネット上のニュース[83]読売新聞(同年4月25日付夕刊)でも報道された。
責任の所在

ウィキペディアは編集責任を負う組織を設けておらず、数人(多くても100人は上回らない)のボランティアで構成されるグループが問題を解決するための窓口となっている。

また、ウィキペディアは利用者に対して何も保証しないとする免責事項を定めている。詳細は「Wikipedia:免責事項」および「Wikipedia:連絡先」を参照
国家・企業などの団体からの編集による問題.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキニュースに関連記事があります。

日本の中央官庁で職員がウィキペディアに書き込み

ウィキペディアのアクセス数が増えて有名になるにつれ、企業や公共団体などの様々な組織に属するネットワークからの編集によってそれらの団体に都合よく記事を書き替えたものと疑われるようなものが見出されるようになり、一部はニュースとして報じられることもあった。また、IPアドレスから、投稿した企業や政府機関などを解析する検索ツール、WikiScannerの登場により、こういった編集はさらに発見されやすくなっている。

こういった編集(「改竄行為」と見て糾弾されることもある)の中で、主だったものを以下に挙げる(その他の編集事例については、こちらを参照)。

楽天証券 - 不利益情報を社内から削除 2006年8月

官庁 - 省庁からの修正や長妻議員の悪口 2007年9月

なお、勤務時間中に職場のPCからウィキペディアの編集や閲覧を行った場合、懲戒処分の対象になるケースもある[84]
政府による検閲2017年トルコのウィキペディア閲覧制限が行われて以来、トルコのウィキペディアロゴの文字部分が検閲シールで隠されている

中華人民共和国では、六四天安門事件についての記事が存在する中国版ウィキペディアに対する接続規制が2015年から行われており、2019年には全言語版ウィキペディアに対して接続規制が行われた[85]。詳細は「中国大陸におけるウィキペディアへのアクセス封鎖」および「中国のネット検閲」を参照

2017年4月29日、トルコ政府はウィキペディアへのアクセスを遮断した[86]。詳細は「2017年トルコのウィキペディア閲覧制限」を参照
ウィキペディア内での問題「ウィキペディアにおけるジェンダーバイアス」も参照

2009年11月、ウォール・ストリート・ジャーナルは、ウィキペディアへの訪問者が増加する一方で、編集者は減少の一途を辿っていると報じた。原因は、新規参加者が知らずにルール違反を犯し、その結果、古参のウィキペディアンによって編集作業から排除されているためだという[87]
編集合戦

政治や宗教、価値観のように意見対立が起きやすいテーマにおいては編集合戦が起こり、議論による解決のため一時的に保護(記事の編集ができない)の状態におかれる。編集方針についてなかなか合意に至らないことで間違いや偏りのある記述が長い間修正できないという事態に至ることもある。
荒らし

時として悪意を持って虚偽の情報を記載したり、不適切な言葉を書き連ねたり、ページを白紙化するなどのいたずら・荒らし的投稿がなされる[88]。個人や団体などについての虚偽の情報が余計な騒動をもたらすこともある[89]
記事の偏り

ウィキペディアでは、分野毎に記事の内容量や質に偏りがあることが指摘されている。ウィキペディアの問題点を論じたマサチューセッツ工科大学の2013年のMITテクノロジー・レビューの記事では、ポケットモンスターポルノ女優の記事は豊富だが、女性作家やサブサハラアフリカ地域の記事は貧相な状態と指摘している[90]。ジャーナリストのピエール・アスリーヌらは、重要人物よりも長いテレビ番組記事などを例に出しながら、ウィキペディアには百科事典に必要な「知識の階層化」が欠けているという言語学者のアラン・レイの言葉を引用して批判している[91]

2014年にウォール・ストリート・ジャーナルボットによる大量記事作成者として報じたウィキペディア編集者のスヴェルケル・ヨハンソン (Sverker Johansson) は、スウェーデン語版ウィキペディアにはロード・オブ・ザ・リングに登場するキャラクターなどの記事が150以上ある一方で、ベトナム戦争に関する人物記事は10にも満たない、というような記事の偏りがあると述べている[92]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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