イヴァン・クルィロフ
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この間デカブリストの乱が起こった1825年以後2年間沈黙したのを除き、1834年まで彼の名を不朽にした『寓話』が断続的に執筆されている[注釈 4]1841年にはロシア科学アカデミー・ロシア言語・文学部会正会員になり、生涯独身のまま没する。
寓話

全203編のクルィロフ寓話は[注釈 5]、「烏と狐」「二羽の鳩」「ライオンと狐」のようにイソップラ・フォンテーヌから、また、「隠者と熊」「潜水夫」のようにインド寓話から題材をかりたものの他は、大半が創作である。1788年にクルィロフが訳したラ・フォンテーヌ3編を読んだ、当時高名な寓話作家ドミートリエフのすすめが、寓話執筆のきっかけとなったらしい。ラ・フォンテーヌ以降の芸術作品としての寓話を発展させ、冬の詳しい描写を加えたクルィロフの物語はロシアの風土に密着し、登場する動物たちさえロシア人の風貌を備えているといわれる。

劇作や諷刺雑誌でエカチェリーナ2世の不興を買い、8年間も地方生活を余儀なくされた結果、クルィロフは反体制の思想を「イソップの言葉」で表現し、つまり真実を屈折させ自分の感情を隠す方法を編み出した、と考えられる。1817年からのポーランド語訳を初めとして、英・仏・独・伊の諸国語に翻訳された。国内でもその詩の文体はプーシキンに、ユーモアのある描写はゴーゴリに、鋭い諷刺はシチェドリンに強い影響を与えた。その他、諺のように作品に『寓話』を引用した例は、ドストエフスキーなど枚挙にいとまがない。body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%}

1806

樫と葦

聟選びのやかましい娘

老人と三人の若者


1808

こおろぎと蟻

烏と狐

蛙と雄牛

猟場のライオン

狼と子羊

百姓と死神

狐と葡萄

蠅と旅行者

隠者と熊


1809

おんどりと真珠の粒

ライオンと蚊

蛙とジュピター

ライオンと人間

獣の世界の疫病

二羽の鳩


1811

子烏

痛風と蜘蛛

大金持と貧しい靴屋


1816

狼と鶴

女主人と二人の召使い


1819

羊飼いと海

欲深とめんどり


1825

年老いたライオン

釜と土鍋



1834

ライオンと鼠[注釈 6]

脚注
注釈^ 父は領地なしの没落貴族で、兵卒から昇進した尉官であり、退役時は大尉すなわち下級士官であった。『寓話』(下)吉原武安訳、日本評論社、1948年、p.308、『寓話』峯俊夫訳、国文社、1988年、p.307
^ いろいろな精霊と彼らの主人である魔王との交信の形式で、フランス文化かぶれの人間、強欲商人、無能な地主貴族らを激しく諷刺した。『寓話』(下)吉原武安訳、日本評論社、1948年、p.310
^ 1811年に帝国公衆図書館長に、1817年には芸術アカデミー総裁に就任した。『寓話』峯俊夫訳、国文社、1988年、p.309
^ 1843年12月、著者編集による寓話集最終版を刊行。1844年11月の没後葬式において、著者の遺志により約1000部の寓話集を参会者に配布した。『寓話』峯俊夫訳、国文社、1988年、p.311
^ 存命中から「クルィロフお爺さんの話」として子どもたちに親しまれた。『寓話』(下)吉原武安訳、日本評論社、1948年、p.308
^ 以上、話の題名は、峯俊夫氏の訳語にならうもの。『寓話』峯俊夫訳、国文社、1988年

出典^ 『寓話』(下)吉原武安訳、日本評論社、1948年、p.309
^ a b 『寓話』峯俊夫訳、国文社、1988年、p.308
^ 『クルイロフ寓話集』内海周平訳、岩波書店、1993年、p.297
^ 『寓話』峯俊夫訳、国文社、1988年、p.311

参考

イヴァン・クルィロフ『寓話』(上)(下)吉原武安訳、日本評論社、1948年

レフ・ヴィゴツキー『寓話・小説・ドラマ―その心理学』峯俊夫訳、国文社、1982年

イヴァン・クルィロフ『寓話』峯俊夫訳、国文社、1988年

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