インド最高裁判所
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[7] 最高裁判所や高等裁判所により「senior advocate」と指定された弁護士が、Advocate-on-Recordと共に依頼者のために出廷することができる。それ以外の弁護士は、Advocate-on-Recordと共に、またはその指導の下で当事者のために出廷することができる。
構成
法廷の大きさ

インド憲法により最高裁判所が設置された当初は、最高裁判所長官及び7人の裁判官で構成されていた。初期のころは、大法廷が開かれて事件が審理されていたが、最高裁判所の業務が増加し、事件が蓄積し始めたのに伴い、議会は、裁判官の人数を1950年当初の8人から、1956年に10人に、1960年に13人に、1977年に17人に、1986年に26人に、2008年に31人に増加した。裁判官の人数が増えたのに伴い、2人か3人の小法廷が開かれるようになり[8]、法律上の根本的な問題の解決が求められる場合は、5人以上が大法廷に集まるようになった。小法廷は、必要に応じて、事件を大法廷に回付することができる。[9]
裁判官の資格

インド憲法124条の規定では、65歳以下のインド市民で、次のいずれかの要件を満たす者は、最高裁判所裁判官の資格を有すると規定されている。[10]

高等裁判所で5年以上裁判官を務めた

高等裁判所で10年以上弁護士を務めた

大統領により顕著な功績がある裁判官と認められた

裁判官の属性.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}私は、インドを誇りに思います。インドは、私のような、人口167,000人のマイノリティであるパールシーが最高裁判所長官になることを望むことができる唯一の国です。これは、どの隣国でもありえないことです。—元最高裁判所長官S. H. Kapadia、[11][12]

実際には、最高裁判所裁判官は、今までほとんどが高等裁判所裁判官の中から選ばれてきた。2014年までに、S. M. Sikri、S. Chandra Roy、Kuldip Singh、Santosh Hegde、R. F. Nariman、U. U. Lalit、L. Nageswara Rao、Indu Malhotraの7名のみが、弁護士から直接裁判官に選ばれた。[13][14]

最高裁判所で最初の女性裁判官は、1989年に就任したM. Fathima Beeviである。[15] 7人目で、かつ、2014年の時点で最も新しい女性裁判官は、Indu Malhotraである。[16][17]1968年には、ムハンマド・ヒダーヤトゥッラーがムスリム初の最高裁判所長官になった。2000年には、K. G. Balakrishnanが初の不可触民出身の裁判官となり、2007年には、初の不可触選民出身の最高裁判所長官になった。2010年には、S. H. Kapadiaがパールシー出身の最高裁判所長官となった。[11][18]2017年には、Jagdish Singh Kheharがシク教徒初の最高裁判所長官となった。Indu Malhotraは、初の弁護士出身女性裁判官である。
司法の独立

憲法は、あらゆる方法で最高裁判所裁判官の独立を保障するよう求めている。国家政策に関する指導原理(Directive Principles of State Policy)を規定した憲法50条において、国は、裁判官を行政から隔離する措置を講ずべきことを定めている。裁判官の独立、憲法の優越及び法の支配は、憲法の根幹をなす特徴である。最高裁判所と高等裁判所は、行政、立法、市民等による、裁判所や憲法を軽視した行為を含む、不法の疑いに関する正式な申立てがなくても、職権事項(suo moto cases)について枠組みを示す権限を与えられている。[19] 最高裁判所の主たる目的は、憲法問題について判断することである。[20] 指導原理を規定した憲法38条1項が、国家または司法は、国民生活における全ての制度において社会的、経済的、政治的公正が与えられた社会秩序を維持することで国民の福祉の増進に努めると保障しているとおり、法律が憲法の根幹部分に違反して執行されているときには、行政や立法に対して、できるだけ早い段階で、職権事項について枠組みを示し、又は申立てについて調査することが司法の義務である。[21]

ビームラーオ・アンベードカルは、憲法制定会議における憲法38条1項に関する討論において、当然実施すべきことを強調して次のとおり明言した。憲法草案に出てくる「努める(strive)」という語は、裁判においては非常に重要です。政府を妨げる状況、あるいは政府の妨げとなる状況がある場合でさえ、これらの指導原理を実行することを意図してこの語を用いており、政府はたとえ困難で都合の悪い状況下においても、常に指導原理の履行に努めなければなりません。それ故に「努める」という語を使ったのです。そうでなければ、政府が状況が悪いから、あるいは財源が足りないから、憲法が求めている指導原理について努力することさえできませんという余地を与えることになってしまうでしょう。
任官とコレギウム

憲法に基づき、1982年1993年1998年の「Three Judges Cases」の判決で示されたとおり、裁判官は、コレギウム(最高裁判所長官、4人の最先任最高裁判所裁判官、及び被任命者に予定されている最先任の高等裁判所裁判官からなる、非公開の協議体)の推薦に基づいて大統領によって最高裁判所に任官される。[22] この手続きは、任官手続に関する覚書となっている。

かつては、裁判官は内閣の助言に基づいて大統領によって任命されていた。1993年(Second judges' Case)以降、大臣や行政官は、誰を推薦することもできなくなり、[23][24] 大統領は、最終的に、裁判官のコレギウムに推薦された候補者リストの中からのみ、任命するようになった。同時に、上記判決が示したとおり、行政官は、推薦者を拒否する権限を与えられた。しかし、行政は、裁判所から推薦された候補者を拒否する権限の行使に消極的であるといわれている。[25][26][27]

このコレギウムシステムは、多くの批判にさらされている。[24]2015年には、議会では、コレギウムを廃止して国家裁判官任命委員会(National Judicial Appointments Commission、NJAC)を創設する法律が可決された。この法律は、Fourth judges' Caseにおいて、新制度は、司法の独立を弱体化するものとして、最高裁判所により違憲無効とされた。[28] 従来のコレギウムシステムが復活するにあたり、裁判所は、裁判官の転勤と同様に、任命の資格基準を設定すること、候補者資料を選別してコレギウムを助ける恒久的な事務局、選任方法の透明性を高めること、不服申立て、その他この4項目以外の点について、どのようにコレギウムシステムを改善すべきか一般市民から広く意見を募った。[29] その結果、裁判所が政府に意見を聞き、コレギウムは、上記の点を組み込んだ手続覚書をまとめた。

2009年、高等裁判所裁判官の任命についての推薦が、その高等裁判所のコレギウムによってなされたところ、最高裁判所において忌避された。その裁判所は、誰が裁判官になるかは事実問題であり、誰であれ質問する権利があるとした。しかし、誰が裁判官になるかは見解の問題であり、質問はできないとされた。ある意見に至るにあたって効果的な協議がコレギウム内で行われる限り、その意見を形成するために事前に提示された内容や資料は、精査するために裁判所で要求することはできない。[30]
任期

最高裁判所裁判官は、65歳で退官する。しかし、長官を含む最高裁判所裁判官に関して任期を定めるべきだとする意見が、裁判官から出ている。[31]
給与

憲法125条は、最高裁判所裁判官の給与、その他の手当休暇年金等の決定を議会に委ねている。しかし、議会はこれらの特権や権利を、任官後に裁判官の不利益に変更することはできない。[32] 最高裁判所裁判官の給与は、官房長官(Cabinet Secretary)と同等の月額250,000ルピーであり、最高裁判所長官の給与は月額280,000ルピーである。[33]
宣誓

憲法124条及び別紙3において、最高裁判所長官及び裁判官は、大統領の面前で、宣誓書を作成し、署名しなければならないと定められている。
罷免

憲法124条4項の規定により、両院の総議員の過半数かつ、出席議員の3分の2以上の賛成により議会が弾劾を承認したとき、大統領は、不正又は不能が確認された裁判官を罷免することができる。裁判官に対する弾劾手続が始まったことで、少なくとも50人のラージヤ・サバー議員か100人のローク・サバー議員が、judges (inquiry) act,1968に基づいて通知を出している。


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