インド・ヨーロッパ語族
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アナトリア祖語からヒッタイト語、ルウィ語パラー語に分化し、その3つが大きな幹をなすと考えられている[49]。多くはアッカド語から継承した楔形文字で記録されているが、象形文字ルウィ語とギリシア文字を基にしたアルファベットを用いるリュキア語が知られている。大城・吉田は、ルウィ語を楔形文字ルウィ語と象形文字ルウィ語に分類し、リュキア語、ミリア語(英語版)、リュディア語を加え7つを確定的なアナトリア語派として数えている[50]。これによれば、リュキア語とミリア語はルウィ語に近く、派生した関係にあると考えられる。ヒッタイト語とパラー語の話し手は、コーカサス諸語と類縁関係にあるハッティ語話者の住んでいたアナトリア中部に侵入し、前1650~1600年ごろにヒッタイト帝国がハッティ族の独立王国を征服した[49]。ヒッタイト語とパラー語にはにはハッティ語、ヒッタイト語にはさらにフルリ語アッカド語に由来する借用がみられる[51]一方、ルウィ語にはハッティ語からの借用は見られず「正体不明の非印欧の言語」からの借用がみられ、ハッティ語の中心地域から離れた地域で話されたことが示唆されている[49]

時制が現在と過去しかない、有性と中性の区別しかない、喉頭音の存在など他の古い印欧語と共通しない特徴を持つことで古い時代の印欧語の研究に繋がった[注 6]。ヒッタイト語は再建されてきた印欧祖語と大きく異なっていて、印欧祖語のさらに前段階から分化したため狭義の印欧語にあたらないとするインド・ヒッタイト語仮説も提示されている[49]。松本は、ヒッタイト語を特別扱いして既存の理解を保とうとするよりも、その示す事実を受け入れて比較文法の方法論じたいを再編しなおす動きのほうが優勢であるとしている[26]
トカラ語派クチャ語の文書(ブラーフミー文字)「トカラ語派」も参照

トカー語、トハラ語とも呼ばれる。中央アジアのタリム盆地北縁地域で8世紀まで話された。
古代バルカン諸語「古代バルカン諸語」も参照

イリュリア語?

リブルニア語?

メッサピア語?

ミジアン語(英語版)?

ピアニア語(英語版)?

フリュギア語+

トラキア語+

ウェネティ語+

ヘレニック語派「ヘレニック語(ギリシア語)派」も参照

ヘレン語派とも呼ばれる。単独で1語派として扱われる。

ギリシア祖語

ミケーネ語

古代ギリシア語

コイネー

中世ギリシア語

現代ギリシア語 (Modern Greek) (ギリシア語

アルバニア語派「アルバニア語」も参照アルバニア語の方言分布

アルバニア語のみで1語派として扱われる。

印欧語に含まれることが判明してから、イリュリア語、トラキア語、ダキア語、ヴェネト語、エトルリア語など古代のバルカン諸語との関係が研究された。直野によればイリュリア語から発展したと考える研究者が多いという[53]

シュクンビン川を境界線として北部で話されているゲグ方言と、南部で話されているトスク方言に大きく分類される。アルバニア系のコミュニティはアルバニア共和国に隣接した地域にも存在していて、コソボ、マケドニア北西部、モンテネグロ南東部でゲグ方言が用いられている[53]。また、アルバニア語から派生したものとして、イタリアのアルバニア系離散民に用いられるアルバレシュ語、ギリシアのアルバニア系離散民に用いられるアルヴァニティカ語がある。

文字として最古の記録が15世紀と遅く、1462年にラテン文字で洗礼儀式に関する文書が記された。16世紀なかばのゲグ方言の文献が残っており、これに続いてトスク方言やアルバレシュで記された文献が残っている。これらの文献からは、方言差が大きくなかったことが伺われる[54]。15世紀後半のオスマン・トルコ支配によって国土と宗教が分断された状態となり、差異が大きくなった[54]。対応して、アラビア文字かギリシア文字が用いられるようになった。1908年に開かれた会議でアルバニア語ラテン文字が制定され、現在まで使われている[53]。19世紀以降、ゲグ方言に近いエルバサンのトスク方言を基礎として標準語を整備しようという提案がなされ、1952年と1972年の会議でこれに近い形の案が採択された。アルバニア国外でも文語としてはこれに従っているという[53][54]

名詞は男性名詞か女性名詞に分類され、限られた範囲で中性名詞が認められている。単数と複数のそれぞれで、主格, 属格, 与格, 対格, 奪格の5つの格を持つ。定冠詞を取らない名詞では主格と対格が一致し、属格, 与格, 奪格も一致する。形容詞は格変化せず、性と数に対応して変化するタイプとしないタイプがある。変化するタイプでも性と数のどちらかのみに対応するものも多く、4種類の変化をするのは不規則な形容詞がほとんどである。能動形を基本として多くの動詞が中動・受動態をもつ。法に直接法、接続法、条件法、願望法、感嘆法、命令法があり時称、態との関係は複雑である[53]

アルバニア語はバルカン言語連合に属するとされている。系統的な関係とは別に接触による収束が起こるもので、幅広い文法上の共通性が見られる。直野によれば特にルーマニア語と平行する点が多いという。数詞にはスラヴ語の影響が見られ、また15~16世紀にトルコ語とギリシア語から受けた影響が研究対象になっている[53]
ケルト語派「ケルト語派」も参照

ケントゥム語群。イタリック語派と類似点が多い。前1000年代には中部ヨーロッパに広く分布していたが、現在はブリターニュ地方、アイルランド島やブリテン島ウェールズ地方、スコットランド地方などのみである。近年、マン島語、コーンウォール語が復活している他、スコットランドゲール語もスコットランドの公文書で使用されるようになっている。

ゲール諸語 - ケルト祖語の[kw]をそのまま保っている諸語。このためQケルト語とも呼ばれる。

アイルランド語

マン島語(マンクス語、マン島ゲール語とも)

スコットランド・ゲール語など


ブリソン諸語 - [kw]が合体して[p]に変わった諸語。このためPケルト語とも呼ばれる。

ブルトン語

ウェールズ語

コーンウォール語(ケルノウ語とも)


大陸ケルト諸語

ガリア語?

ルシタニア語?

古代リグリア語?


イタリック語派21世紀のイタリック語派の分布。スペイン語:緑、ポルトガル語:橙、フランス語:青、イタリア語、黄、ルーマニア語:赤、カタルーニャ語:紫「イタリック語派」も参照

オスク・ウンブリア語群 - ローマ帝国以前にイタリア半島中部に存在した。オスク語?、ウンブリア語?など

ラテン・ファリスク語群

ファリスク語?


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