インド・ヨーロッパ祖語
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印欧祖語は文字を持たなかったため直接の証拠は存在せず、音韻および語形は全て娘言語をもとにした比較再構と内的再構によるものである。なお、印欧祖語の単語には、それが再建された形であることを示すために「*」(アステリスク)が付される。印欧語族に属する言語の単語の多くは、祖語のひとつの祖形をもとに一定の音韻変化の法則によって派生したものと考えられている。

単語の例: *wodr?(水)、*k?w?n(犬)、*treyes(3、男性形)
他の語族との関連

印欧祖語と他の語族との関係については諸説あるものの、印欧祖語よりもさらに時代を遡るためにいずれも推測による部分が大きく、従ってこれらの仮説の妥当性が問題となる。インド・ヨーロッパ語族と他語族との類似点として、以下が挙げられる。

ウラル語族 :形態素の一部が明らかに同源である。

コーカサス諸語 :音声的な特徴が類似している。ナフ・ダゲスタン語族には文法性が存在。

アフロ・アジア語族セム語派 :文法性の存在、形容詞の変化、子音のみの単語に母音を挿入し造語。

ここから、以下のような仮説がある。

インド・ウラル語族:ウラル語族と同系とする説。

ポンティック語族北西コーカサス語族と同系とする説。

北西コーカサス語族を基層とし、ウラル語族のような北ユーラシアの言語を上層とする混合言語説[1]もある。


インド・セム語族(英語版):セム諸語と同系とする説。

大語族仮説

ウラル語族アルタイ諸語日本語チュクチ・カムチャッカ語族エスキモー・アレウト語族などとの関係を主張する説(グリーンバーグユーラシア大語族説が代表的)、さらにアフロ・アジア語族ドラヴィダ語族などとの関係(ノストラティック大語族説)、終局的には世界祖語との関係を論ずる説(ルーレンが主に主張)などがある。


展開

印欧祖語から娘言語が分化する際、娘言語に応じた音韻変化の法則により音韻体系が変化した。主要な音韻変化の法則には以下のものがある。

グリムの法則ゲルマン祖語

ヴェルナーの法則(ゲルマン祖語)

母音直前での*p‐音の消失(ケルト祖語

母音直前での*s‐音の消失(ギリシア祖語

ルキの法則サテム語派

ウィンターの法則(英語版)(バルト・スラヴ祖語(英語版))

ブルークマンの法則(英語版)(インド・イラン祖語(英語版))

グラスマンの法則

バルトロマエの法則
インド・ヨーロッパ語族の音韻法則」も参照
音韻詳細は「インド・ヨーロッパ祖語の音韻」を参照

印欧祖語は以下のような音素体系を有していたと推測されている。娘言語において祖語の音素がどのように変化したかは、インド・ヨーロッパ語族の音韻法則(英語版)及びインド・ヨーロッパ語族の各言語の項目を参照されたい。
子音

 両唇音舌尖音口蓋化軟口蓋音円唇化喉音
無声閉鎖音pt?kk?
有声閉鎖音bd?gg?
有気閉鎖音b?d???g?g??


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