他のカワイルカと同じく長く尖った口吻を有する。口を閉じた状態でも、上下の顎の歯が露出している。口吻は先端の方が太い。眼には水晶体はなく、光の強さや方向がわかる程度で、ほぼ盲目に近い。移動や食物探索は反響定位(エコーロケーション)を用いて行う。褐色系の体色を有し、身体の中央部は大きい。背びれはなく、三角形の小さな隆起があるだけである。胸びれや尾びれは細く、体長と比較すると長い。体長は雄が2mから2.2m、雌が2.4mから2.6mである[要出典]。 かつてはアマゾンカワイルカ科・ラプラタカワイルカ科・ヨウスコウカワイルカ科とともにカワイルカ上科を構成する説もあったが、1980年代に本科を除くこれらのカワイルカ類はマイルカ上科と単系統群(マイルカ下目Delphinida)を形成すると考えられるようになった[10]。 ガンジスカワイルカは1801年にDelphinus gangeticusとしてHeinrich Julius LebeckとWilliam Roxburghによって別々に記載されており、Roxburghに先取権があるとする説もあった[11]。のちの研究により、Lebeckの記載が先行して発表されたことが確認されている[9]。 ガンジスカワイルカP. gangeticaとインダスカワイルカP. minorの2種とする説がある[12]。一方でこれらは外観では区別できず、内部形態でも個体単位では区別ができないとして1種にまとめ2亜種とする説もある[12]。本属をガンジスカワイルカ1種とする分類での英名としてSouth Asian river dolphinやIndian river dolphinがあり[8]、和名の別名としてインドカワイルカがある[4][6]。 2021年に、頭骨・外部形態やミトコンドリアDNAハプロタイプの比較から地理的・生殖的隔離が進んでいるとして、2種とする説が提唱された[9]。以下の分類は、Braulik et al. (2021) に従う[9]。和名・英名・分布は、粕谷 (2000) に従う[12]。 この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)
分類
Platanista gangetica (Lebeck, 1801) ガンジスカワイルカ Ganges river dolphin
インド・ネパール・ブータンのガンジス川・ブラフマプトラ川水系、バングラデシュのカルナフリ川・サング川水系
Platanista minor Owen, 1853 インダスカワイルカ Indus river dolphin, Buhlaan
パキスタンのインダス川中流域
生態
出典検索?: "カワイルカ科"
寿命などは不明である[要出典]。
川底近くに棲息するエビや小魚を食べる。現在では単独で行動する様子が観察されることが多いが、以前の個体数が多かった頃には群を成しての行動が観察されており、本来は数頭で群を成して行動するものと考えられている[要出典]。 1975年のワシントン条約発効時からワシントン条約附属書Iに掲載され、1981年からはガンジスカワイルカ属単位でワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]。 2017年時点のIUCNでは、インダスカワイルカを亜種とする分類を採用している[13]。
人間との関係
P. g. gangetica ガンジスカワイルカ
脂肪が漁業用の撒き餌とされることもあり、食用とされることもある[13]。堰堤建設による生息地の分断化、水質汚染、灌漑による水位低下、漁業による混獲、獲物の減少などにより生息数は減少している[13][12]。ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[13]
P. g. minor インダスカワイルカ
19世紀まではインダス川の河口からヒマラヤの丘陵地帯にかけての広域に分布していた[12]。1930年代から灌漑用のダム・堰堤建設により分布域が分断され、インダス川中流域の600キロメートルの堰堤で挟まれた区間にのみ分布するようになった[12]。