インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

また、ルーカスとスピルバーグは、1950年代の時代設定は冷戦を無視できないと考え、『シンドラーのリスト』監督後のスピルバーグによる「ナチスを風刺することはできない」との判断もあり、それまでのシリーズ中2作での「ナチス・ドイツが悪役」という設定をやめ、ソビエトを悪役とすることにした[23]

2002年公開を目指し、最初はM・ナイト・シャマランが脚本を書くため雇われた。しかし、彼はファンである本シリーズの続編を書くプレッシャーに圧倒され降板[24]。その後、フランク・ダラボンによって「1950年代を舞台に、元ナチスがインディを追う」という内容の脚本が書かれスピルバーグがそれを気に入ったが、ルーカスは「脚本に問題がある」と自分で脚本を書くことを主張したため降板。2005年秋にジェフ・ナサンソンによるドラフトが完成し、その後デヴィッド・コープによる最終脚本が完成した。
キャスティング

インディアナ・ジョーンズ役は、ハリソン・フォードが続投。『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』のカレン・アレンが27年ぶりにシリーズ再出演した。

インディの相棒であり息子であるマット・ウィリアムズ役には、『穴/HOLES』での演技に感銘を受けたスピルバーグによって、シャイア・ラブーフが起用された[25]

当初はインディの父であるヘンリー役の登場も予定され、ヘンリーを演じたショーン・コネリーにも出演オファーがあった。だが、既に引退状態で隠居生活を楽しんでいたコネリーは、悩んだ末に出演しないことを発表[26]。後に「この物語でのヘンリーはそれほど重要な役割では無い」と感じ辞退したことを明かし、またコネリーの提案からヘンリーは死亡したと脚本が変更され、額に入った写真のみの出演となった[27]

マーカス・ブロディを演じたデンホルム・エリオットは1992年に死去しており、銅像や肖像画での登場となった。また、彼の演じたブロディの後継者としてチャールズ・スタンフォース学部長の登場が決まり、ジム・ブロードベントが演じている。

前3作全てに屈強な男の役で出演していたパット・ローチは2004年に亡くなっていた。そのため、彼に代わる屈強な軍人アントニン・ドフチェンコを登場させ、それはイゴール・ジジキンが演じることになった[28]
撮影

撮影監督は、前3作のダグラス・スローカムから『シンドラーのリスト』以降のスピルバーグ作品を全て手がけたヤヌス・カミンスキーに交替。「コミックのような前3作のルックスを変えたくない」というスピルバーグの意向を請け、カミンスキーは常套の撮影スタイルを封印し、前3作のテイストを研究することになった。

前3作と異なり、スピルバーグの「家族から離れたくない」との意向から、ロケを含めた撮影は全てアメリカ国内で行うこととなった[29]

HD24Pの導入など映画撮影の電子化を推進して来たルーカスに対する「フィルムによる撮影・編集」を旨とするスピルバーグの意向は、従来通りスコープ・サイズのフィルム撮影+デジタル・インターミディエイトを採用して解決。前3作はフィルムのデジタル修復・修正が行われたほどだが、撮影以後のデジタルプロセッシングはもちろんシリーズ中初めてとなった。
エピソード

今作は東京ディズニーシーにあるアトラクション『インディ・ジョーンズ・アドベンチャー:クリスタルスカルの魔宮』とは一切関連がない[30]

インディに子供がいるというアイデアは『インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険』からあり、当時は13歳の娘にする予定だった[31]。だが製作中、このアイデアにスピルバーグは自身が監督した『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』と似すぎていると感じたために、息子へ変更された[18]。また、息子をオタクにするというアイデアもあったが、ルーカスはそれを拒否し、1953年の映画『乱暴者』のマーロン・ブランドをモデルにしたキャラクターとなった[18]

スピルバーグは制作開始前、「前3作との一貫性を維持するため、特殊効果にCGはほとんど使わない」と述べていたが、結局は予想よりもはるかに多い、約450の場面でCGが使われた。

総制作費は1億8500万ドルとなった。これは制作費が安いことで知られるスピルバーグ監督作品において、過去最高額の制作費である[32]
オマージュ
シリーズからのオマージュ

映画の冒頭はシリーズ共通のイメージである、パラマウントのロゴマークと実景とのオーバーラップで始まる。

保管庫からインディが逃げ出す際、壊れた木箱から『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』に登場した
聖櫃が顔をのぞかせている。

マットが名乗った際インディが「犬みたいな名前」と言いマットが「自分で付けた」と語るが、これはインディが普段名乗っている『インディアナ』は父親に本名の「ジュニア(ヘンリー・ジョーンズ Jr.)」と呼ばれることを嫌い、自分で飼い犬の名前を取って付けたという設定の再現。また、マット(息子)がインディ(父親)に「ジュニア」と呼ばれることを嫌うこともオマージュになっている。

マリオンとインディが最初に出会う際、マリオンが言う「インディアナ・ジョーンズ…」のセリフの口調は、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』でマリオンとインディが出会ったときにマリオンが言った「インディアナ・ジョーンズ…」のセリフと同じイントネーションで再現されている。

図書館に迷い込むシーンにて、インディが居合わせた学生たちに「図書館なんかに真理は無いぞ」「真理は現場にある」と言う台詞があるが、これは19年前の前作『最後の聖戦』での講義中に「真理は図書館にある」「宝の地図のX印を掘って宝が出たためしは無いのだ」と生徒に説いていた台詞に対応しており、過去3作での経験を踏まえてわざと全く逆のことをしゃべらせている。

また図書館の前のシーンでKGBの車両がブロディの銅像に激突、首が取れるときに、マットは笑うがインディは無表情である。これは『最後の聖戦』のインディと父ヘンリーの父子描写の再現となっている。

ルーカス作品からのオマージュ

ハリソン・フォードが出演したジョージ・ルーカスからのオマージュもみられる。

本作の終盤でインディが「嫌な予感がする(I've got a bad feeling about this.)」と言っているが、これはルーカスの代表作「
スター・ウォーズシリーズ」で毎回登場するシリーズお馴染みのセリフで、ハリソン・フォードが演じたハン・ソロは『エピソード4/新たなる希望』でデス・スター内のゴミ処理施設内と、『エピソード6/ジェダイの帰還』でイウォークに捕まってC-3POへの供え物として丸焼きにされかけた時に発している。

冒頭、偽装アメリカ陸軍にスピードレースをけしかける若者たちは、『アメリカン・グラフィティ』へのオマージュである。

他作品からのオマージュ

バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズの脚本で知られるボブ・ゲイルによれば、ジョーンズが核実験場で冷蔵庫に入るのはバック・トゥ・ザ・フューチャーの初期脚本が基になっているという。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:136 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef