インディカ米
[Wikipedia|▼Menu]
また刑務所の食事は、本来麦飯であるが、予算やその時代の食料事情によっては南京米の「臭い飯」が受刑者に出された[注 2]。戦後、食糧生産が回復して米不足が解消してからは需要もなくなり、また日本国政府は昭和40年代(1965年 - 1974年)初頭に、米の自給率100パーセントが実現できるようになった頃から、農業保護のために米を禁輸にした。

1993年(平成5年)は記録的な冷夏で、日本産の米は需要1,000万トンに対し収穫量が800万トンを下回る大不作となり、平成の米騒動(1993年米騒動)に見舞われた。日本国政府は米の緊急輸入を行う必要に迫られ、1993年12月、GATTウルグアイ・ラウンド農業合意を受け入れ、米以外の農産物は関税を課して輸入を認めることを決定した。

米については、生産者への配慮から特例として輸入制限を維持したが、代償として国内消費量の4%(段階的に7.2%の77万トンまで拡大)まで無条件に受け入れる義務を負った。同年、タイや中国から大量のインディカ米が緊急輸入されたが、前述のとおり日本人の嗜好や伝統的な調理法に合わないことから消費は伸びず、事態終息後にも約100万トンものインディカ米の在庫が残り、廃棄されたり家畜の飼料に加工されて処理された。

ウルグアイ・ラウンド合意に基づいて、日本はミニマム・アクセスとして米を輸入する義務を負っている。日本国政府は強制的に輸入したインディカ米の消化に苦慮しており、加工用として売れ残ったインディカ米は、外国への食糧援助用に転用したり、一部は飼料用として備蓄される。1995年から2004年まで集計した輸入インディカ米の用途は、加工原料用が212万トンで最も多く、ついで外国への食糧援助向けの182万トンである。主食用に輸入されている59万トンは、業務用に用いられる中国北部やアメリカ産のジャポニカ米である[10]
インディカ米を扱った作品

コミックス「
美味しんぼ」単行本49巻収録「タイ米の味」※4話構成。

コミックス「鉄鍋のジャン!」単行本第15巻収録第136話 -「第二回中華料理人選手権大会」の予選「チャーハン勝負」にて、出場者が使用する米(新米、古古米、インディカ米)がくじ引きで決められるシーンで「インディカ米はこの中では一番チャーハン向きかもしれんけど日本人の口には合わん米や!! 一番やっかいかもしれんわ」というセリフがある。

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 「自分は(中略)光沢のない飯を一口掻き込んだ。すると(中略)舌三寸の上だけへ魂が宿ったと思うくらいに変な味がした。飯とは無論受取れない。全く壁土である。この壁土が唾液に和けて、口いっぱいに広がった時の心持は云うに云われなかった。(中略)自分が南京米の味を知ったのは、生れてこれが始てである」[5]
^ 「食物はずいぶんひどい。飯は東京監獄は挽割麥だが、こちらは南京米だ。このごろ麦の値が高くなって、南京米の方が安く上るのだそうな。何にせよ味の悪いことは無類で、最初はほとんど呑み下すことが出来なんだ。(中略)聞くところによれば、この三度の菜の代が、今年の初めまでは平均一銭七厘であったが、戦争の開始以後は五厘を減じて一銭二厘となったとのこと」[9]

出典^ a b c d .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}"インディカ米". ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンクより2022年10月24日閲覧。
^ "インディカ米". 小学館「デジタル大辞泉」. コトバンクより2022年10月24日閲覧。
^ “ ⇒第1回研究会の記録:タイ米”. 嗜好品文化研究会 (2010年6月5日). 2022年10月24日閲覧。
^ "南京米". 小学館「精選版 日本国語大辞典」. コトバンクより2022年10月24日閲覧。
^ 夏目漱石坑夫1908年(明治41年)
^ 骨抜き勅令との批判も『東京日日新聞』昭和3年3月8日夕刊(『昭和ニュース事典第1巻 昭和元年-昭和3年』本編p165 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
^ 制限令は米価のつり上げを招く『中外商業新報』昭和3年3月8日(『昭和ニュース事典第1巻 昭和元年-昭和3年』本編p163)
^ 外米を六割混入、三大都市で実施『東京朝日新聞』(昭和15年5月3日夕刊)『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p739 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
^ 堺利彦「獄中生活」
^ 農林水産省「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」2005年

関連項目

ジャポニカ米


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:23 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef