インディアン
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この単語は、アメリカ合衆国内務省インディアン管理局(BIA)の意向を受けて「インド人[原 17]」を祖先に持つ「インド系アメリカ人[原 18]」と区別するために、人類学者が作った造語である[注 8]。1960年代にBIAが、そのサービス対象グループに対して使用を始めた[9]

ネイティブ・アメリカンはアメリカ合衆国内の先住民全般、つまり「インディアン」、「サモア人」、「ミクロネシア人」、「アレウト」、「ハワイ人」、「エスキモー」全てを含む場合がある。当初はインディアンとアラスカ先住民(アラスカ・インディアン、エスキモー、アレウト)を指しており、のちに連邦の枠組みに入るハワイ先住民と太平洋諸島民などを含むようになった。

一方、歴史的呼称としての「インディアン」に誇りをもつインディアン達の中には、これをあくまで自称とし、またその名称を替えること自体が差別的であるとするものもいる。インディアン運動家たちには『アメリカ・インディアン』を主張するものもある[9]。(→ネイティブアメリカンの呼称論争(英語版))

「アメリカン・ヘリテージ英語辞典第4版」には、「『ネイティブ・アメリカン』の承認は、『インディアン』の消滅をもたらさなかった。一度『ブラック』が好まれるようになると、あっという間に『ニグロ』が嫌われたのとは異なり、『インディアン』はアメリカ人の大多数で、決して嫌われることはなかった。」との記述も見られる。

チェロキー族の作家であるクリスティーナ・ベリーは「アメリカ・インディアン」も「ネイティブ・アメリカン」も、両方とも、様々なインディアンの民族の違いをぼかすので使用を避け、各部族名を使うべきであると主張している[10]
インディヘナ、ナティーボ、プレイスパニコなど『インディオの使徒』バルトロメ・デ・ラス・カサス

インディオという言葉に侮蔑的な響きがあることから、ラテンアメリカでは、現在は先住民のことをナティーボ (nativo,旧来の住人の意)やプレイスパニコ (prehispanico, スペイン以前の意)、インディヘナ(indigena,土着の人)などということが多くなってきている。また、カンペシーノ (campesino, 都市に住んでいない人)やアンテセデンテス (antecedentes, 先祖)という表現をすることもある(いずれもスペイン語。ポルトガル語では、例えばナティーヴなど)。

1920年代頃よりホセ・カルロス・マリアテギ等を中心にインディヘニスモ(先住民の復権)が唱えられるにつれ、先住民という意味の「インディヘナ (Indigena)」(ポルトガル語ではインディジェナ)という呼び方も普及していった。

既に述べたように、インディオという言葉には侮蔑的な響きがあり、差別用語であるともされる。ホセ・デ・サン=マルティン将軍がペルーを解放した時は、先住民をインディオと呼ぶことをやめるべきだと述べ、一世紀半後にフアン・ベラスコ・アルバラード将軍の革命政権はこの考えを実践して公的な文書の中でインディオと呼称することをやめ、カンペシーノ(農民)と呼称することを定めた。現在、多くの国では一般的には先住民を表す時にはインディヘナの名称が使われる。しかし、当のインディオの側から自分達の歴史をインディヘナという言葉によって消し去られるのは屈辱だという声も聞かれ、言い換えを拒否する動きもある。
初期アメリカ人

学術の分野では、近年「初期アメリカ人[原 19]」という呼称が使われることがある[11][12]
人類学的特徴

アメリカ先住民は人種的にはモンゴロイドに属すとされる[13]が、新モンゴロイドのエスキモーを除き、赤みがかった黄褐色の肌を持つなどユーラシアのモンゴロイドとは異なる点もあることから、「アメリンド人種」とされる場合もある。エスキモーを除くアラスカカナダアメリカ合衆国北部の部族は肌の色が赤黒く鼻筋が通り高く盛り上がっておりワシ鼻である人が多い。

アメリカ先住民はモンゴロイドの一亜型であるエスキモー(エスキモー人種)とモンゴロイド的特徴が希薄なインディアン(アメリンド人種)に大きく二つに分け、インディアンの分類はヴァロワにならい北・南アメリカの西半分に住む短頭型のニ群『北太平洋インディアン又はアリューシャン人種又はコロンビア人種(ナ・デネ系民族)』、『南太平洋インディアンはソノーラ人種、プエブロ・アンデス人種、地峡人種に細分される』と東側に住む中頭型のニ群『北大西洋インディアンインディアン又平原人種又はダコタ人種ともいい西部劇でおなじみの赤色インディアンはこの人種に属する。アレゲニー山脈より東に住む人々をアパラチア人種と呼ぶことがある。』、『南大西洋インディアン又はアマゾン人種(グアラニー族等)』とその他のニ群『古層インディアン又はラゴア・サンタ人種(ヤーガン族等)』、『パンパ・インディアン又はパタゴニア人種(テウェルチェ族等)』に分類出来る[14]

遺伝的には東ユーラシアの諸民族に最も近い。Y染色体ハプログループはほとんどをQ系統が占める[15][16][17]ミトコンドリアDNAハプログループABCDXが見られる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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