インチ
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1150年ごろにスコットランドデイヴィッド1世は、体格の異なる3人の人間の親指の爪の付け根の部分の幅を測り、その平均を1インチとしたと伝えられる[12]。1300年ごろにイングランド王エドワード1世は鉄製のアルナ(ulna、ラテン語尺骨を意味し、ヤードに相当)原器を作り、その1⁄36をインチとしたが、それと同時にオオムギ3粒の長さをインチと定めている[13][14]。14世紀のエドワード2世は、オオムギの粒の長さをバーリーコーン (barleycorn) と呼び、その3倍を1インチと定義した[12][13]

1588年にエリザベス1世が新しいヤードの標準 (Exchequer Standards) を定め[14]、この基準が19世紀に帝国単位が制定されるまで続いた。
十進インチ

19世紀、スウェーデンではメートル法への移行が行われた。まず、1855年から1863年までの間で、インチが、フィートの1⁄10である十進インチ(約0.03 m)に置き換えられた。十進法を導入することで計算が単純化されるとして導入されたが、他国で使用されていた1⁄12フィートのインチと1⁄10フィートのインチの2種類があることで余計に複雑になってしまったことから、1878年から1889年にかけてメートル法の単位が導入されることになった。
イギリスインチとアメリカインチ

イギリスイギリス連邦諸国は、「帝国ヤード標準原器」の12分の1の長さ、約 25.3998 mm(いわゆる「イギリスインチ」)としていた。

アメリカ合衆国では1893年、メンデンホール指令 (Mendenhall Order) により、1インチ = 100⁄3937 m(いわゆる「アメリカインチ」)と定義された。したがって、1インチ = 約25.400050800102 mm であった。カナダもこれを採用した。

いくつかの国では、1959年以前に行われた測量の結果の互換性のために、1959年以降も、以前に測量のために使われていた各国ばらばらのフィートの定義を保持している。これを測量フィート (survey foot) という。たとえば、2022年12月末まではアメリカ合衆国測量フィート (U.S. survey foot) としてアメリカフィートが使われていた。ただし、このような制度はフィートのみに適用されるのであり、アメリカインチが合衆国内の測量に使われることはない。
工業での使用
由来がインチサイズである工業製品

日本においては、インチというヤード・ポンド法計量単位を使用することは、特別の場合(ヤード・ポンド法#日本における使用)以外は計量法上、禁止されている。したがって、以下の製品のサイズ表記は、- 型と表記されるか、表記寸法が単に 25.4 mm の倍数となっているが、「インチ表記」ということではない[15]

インチ規格部品と、ISO規格部品が混在し、製造上問題になるのは、パーソナルコンピュータなどの電子機器である。メートル法を使う国々でも、このような、アメリカやイギリスを起源とする商品は、互換性の維持のため、製造設備の設計上の理由、または商慣行上、現在もインチ単位を基準に設計・製造されることがある。

半導体コンピュータ関連 - インチを基準とするアメリカが主導的な役割となっているため多く使われている。

ICLSI、関連電子部品(特に端子間隔)

筐体のサイズ - 19インチラックなど

構成部品のサイズ - パソコンではアメリカのユニファイねじが多く用いられる。現在は、直径4 mm 以上では、ISOねじと互換性がある。

媒体のサイズ - フロッピーディスクハードディスクドライブの直径


音楽・放送

楽器 - ドラムの直径など

音響・放送機器 - 19インチラックに合わせたサイズが多い。

テレビ受像機ディスプレイモニタ - ブラウン管の対角寸法、FPDでは表示部の対角寸法

磁気テープ - 媒体幅。なお、長さの単位としてはフィートを使う。

フォーンプラグ - 標準は1/4インチ(6.3 mm)である。


土木・建築

ねじ - インチ系列であるウィットワースねじ(British Standard Whitworth(英語版)、BSW)が用いられる場合も多い。

六角ボルト・六角ナット - 六角部の二面幅がインチ由来。(6.35mm=1/4インチが多く使われている)

鉄筋 - JIS規格の異形棒鋼の定格品の直径がインチ由来。(呼び径D10=9.53 mm=1/4+1/8インチ、以降1/8インチ刻みでD13、D16…)

配管材 - 近年ではまず表記されないが、内径はインチ単位がベースである


航空機

タイヤ - タイヤ内径とホイールの直径及びリム幅に用いられている。

部品 - SAE Internationalによる工業規格AS568は航空機油圧用の固定用Oリングを規定し、元来がインチ単位のためメートル単位では端数が生じる。


自転車 - タイヤの内径とホイールの直径及びリム幅に用いられている。

自動車 - タイヤとホイールの他、クラッチディスク径、デファレンシャルリングギア径、ブレーキピストン径、ナット座ピッチ直径などにインチ由来の数値や呼び径が見られる。

柱時計の文字盤のサイズ

弾薬の呼び径 - 「.45」「.357」のように、十進法で小数点以下を表記することが多い。弾薬の種類によってはインチ表記とメートル法の呼称が併存する場合がある。

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(2022年9月)

インチねじは、ねじ山のピッチがISOミリねじ規格より粗く、直径とピッチがインチ単位で作られている。インチねじにはいくつかの規格があるが、主に使われるのはユニファイねじとBSWである。日本国内で生産される商品としては、3.5インチハードディスクドライブの固定用ねじや、カメラの固定ねじ等に用いられている。これら精密機械に使われる小径ねじはユニファイであることが多い。


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