ただしイギリスの人文系論文のスタイルマニュアルである、en:MHRA Style Guide では、曖昧さを避けるために、単位記号を「in.」とピリオドを付するように定めている[4]。
「″」(ダブルプライム記号)によっても書かれる。例えば「10″」は10インチの意味である。「″」はしばしば、不正確だが「”」(閉じ二重引用符)や、ASCIIの「"」(引用符)や「''」(アポストロフィ2つ)とも書かれる。
フィートは「′」(プライム記号)で表記されるので、「5′10″」は5フィート10インチを表す。
なお、「′」と「″」は、時間の分と秒、角度の分と秒の表記にも用いられるので、「5′10″」は時間または角度の5分10秒とも読め、文脈によっては混乱を引き起こすおそれがある。 インチの長さは、東アジアで用いられる寸(約3 cm)に近い。そこで、中国ではインチのことを「英寸」と呼んでおり、日本では明治時代に「吋
呼び名
現在の日本では、計量法の規定により「インチ」そのものを取引・証明に使えないので、インチ規格を「型」と呼ぶ。たとえば「30型テレビ」など。 「インチ」(またはそれに相当する言葉)は時代によって、また国によって異なった値をとった。それらはほとんど統一されたか、あるいは、統一される前にメートル法の単位に置き換えられた。今日、ほとんどの国において、「インチ」といえばそれは国際インチ (International inch
国際インチ
国際インチは、正確に0.0254 m(25.4 mm)と定義されている。この定義は、アメリカ合衆国、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカの6ヶ国が1958年に協定を締結し、1959年7月1日に発効したヤード(国際ヤード=正確に0.9144 m)の定義に基づくものである[5]。
現在でも「1インチは約2.54 cm」との表記がみられる[6][7][8][9][10]。しかし、国際インチにおける1インチは正確に2.54 cmであるため、このような表記は不正確かつ不適当である。ただし、国際インチの制定より前の事柄、例えば「戦艦『三笠』の12インチ主砲」に言及する場合は、「1インチ=約2.54 cm」が適切な表記である。 元々のインチは、男性の親指(爪の付け根部分)の幅に由来する身体尺だったと考えられている。古代ローマにおいて、フィートと関連づけられてその12等分した長さが1インチとされた。 インチ (inch) という言葉の語源は、ラテン語で「12分の1」を意味する uncia であり、質量の単位であるオンスと同一語源である。長さのインチのもとは uncia pes (pes は足、英語のフート)であり、質量のオンスのもとは uncia libra (libraが英語のポンドにあたる)である[11]。古英語の ynce(ユンチェ)を経て、inch となった。 また、親指の幅であることから「親指幅」とも呼ばれた。現在でも、多くの言語でこの単位は「親指」という言葉に似た、または同じ名称で呼ばれている。 言語インチ親指 1150年ごろにスコットランド王デイヴィッド1世は、体格の異なる3人の人間の親指の爪の付け根の部分の幅を測り、その平均を1インチとしたと伝えられる[12]。1300年ごろにイングランド王エドワード1世は鉄製のアルナ(ulna、ラテン語で尺骨を意味し、ヤードに相当)原器を作り、その1⁄36をインチとしたが、それと同時にオオムギ3粒の長さをインチと定めている[13][14]。14世紀のエドワード2世は、オオムギの粒の長さをバーリーコーン (barleycorn) と呼び、その3倍を1インチと定義した[12][13]。 1588年にエリザベス1世が新しいヤードの標準 (Exchequer Standards 19世紀、スウェーデンではメートル法への移行が行われた。まず、1855年から1863年までの間で、インチが、フィートの1⁄10である十進インチ(約0.03 m)に置き換えられた。十進法を導入することで計算が単純化されるとして導入されたが、他国で使用されていた1⁄12フィートのインチと1⁄10フィートのインチの2種類があることで余計に複雑になってしまったことから、1878年から1889年にかけてメートル法の単位が導入されることになった。 イギリスとイギリス連邦諸国は、「帝国ヤード標準原器」の12分の1の長さ、約 25.3998 mm(いわゆる「イギリスインチ」)としていた。 いくつかの国では、1959年以前に行われた測量の結果の互換性のために、1959年以降も、以前に測量のために使われていた各国ばらばらのフィートの定義を保持している。これを測量フィート (survey foot 日本においては、インチというヤード・ポンド法の計量単位を使用することは、特別の場合(ヤード・ポンド法#日本における使用)以外は計量法上、禁止されている。したがって、以下の製品のサイズ表記は、- 型と表記されるか、表記寸法が単に 25.4 mm の倍数となっているが、「インチ表記」ということではない[15]。 インチ規格部品と、ISO規格部品が混在し、製造上問題になるのは、パーソナルコンピュータなどの電子機器である。メートル法を使う国々でも、このような、アメリカやイギリスを起源とする商品は、互換性の維持のため、製造設備の設計上の理由、または商慣行上、現在もインチ単位を基準に設計・製造されることがある。 この節は、全部または一部が他の記事や節と重複しています。 具体的にはねじ#標準規格との重複です。記事のノートページで議論し、 インチねじは、ねじ山のピッチがISOミリねじ規格より粗く、直径とピッチがインチ単位で作られている。インチねじにはいくつかの規格があるが、主に使われるのはユニファイねじとBSWである。日本国内で生産される商品としては、3.5インチハードディスクドライブの固定用ねじや、カメラの固定ねじ等に用いられている。これら精密機械に使われる小径ねじはユニファイであることが多い。BSWは建築関係で用いられる太い径のものが多い。 インチより細かい長さは2の冪 (2, 4, 8, 16, 32, 64。128は細か過ぎて実用的でないので使われない)を分母とする分数で表すことが比較的多い。 工学分野では、サウ (thou) またはミル (mil) という単位が国際インチの1000分の1 (25.4 μm) の意味で用いられることがある。今日では、サウやミルは用いず、SI単位を使用すべきとされている[誰?]。 1⁄12 インチ = 2.117 mm をラインと呼び、単位記号「‴」(トリプルプライム)で表す。 印刷などではパイカ(現在のDTPでは1⁄6インチ、約 4.233 mm)およびポイント(パイカの1⁄12、約 0.353 mm)を使用する。 1⁄8 in (= 3.175 mm) は尺貫法における1分(= 0.1寸 = 約3.03 mm)に近いため、日本では「1⁄8 in ≒ 1分」とみなして、インチ規格を分や、さらにその1⁄10の厘(= 0.01寸 = 0.1分)で表すことがある[16]。
歴史
由来
フランス語poucepouce
イタリア語pollicepollice
スペイン語pulgadapulgar
ポルトガル語polegadapolegar
スウェーデン語tumtumme
オランダ語duimduim
十進インチ
イギリスインチとアメリカインチ
工業での使用
由来がインチサイズである工業製品
半導体、コンピュータ関連 - インチを基準とするアメリカが主導的な役割となっているため多く使われている。
IC、LSI、関連電子部品(特に端子間隔)
筐体のサイズ - 19インチラックなど
構成部品のサイズ - パソコンではアメリカのユニファイねじが多く用いられる。現在は、直径4 mm 以上では、ISOねじと互換性がある。
媒体のサイズ - フロッピーディスクやハードディスクドライブの直径
音楽・放送
楽器 - ドラムの直径など
音響・放送機器 - 19インチラックに合わせたサイズが多い。
テレビ受像機・ディスプレイモニタ - ブラウン管の対角寸法、FPDでは表示部の対角寸法
磁気テープ - 媒体幅。なお、長さの単位としてはフィートを使う。
フォーンプラグ - 標準は1/4インチ(6.3 mm)である。
土木・建築
ねじ - インチ系列であるウィットワースねじ(British Standard Whitworth
六角ボルト・六角ナット - 六角部の二面幅がインチ由来。(6.35mm=1/4インチが多く使われている)
鉄筋 - JIS規格の異形棒鋼の定格品の直径がインチ由来。(呼び径D10=9.53 mm=1/4+1/8インチ、以降1/8インチ刻みでD13、D16…)
配管材 - 近年ではまず表記されないが、内径はインチ単位がベースである
航空機
タイヤ - タイヤ内径とホイールの直径及びリム幅に用いられている。
部品 - SAE Internationalによる工業規格AS568は航空機油圧用の固定用Oリングを規定し、元来がインチ単位のためメートル単位では端数が生じる。
自転車 - タイヤの内径とホイールの直径及びリム幅に用いられている。
自動車 - タイヤとホイールの他、クラッチディスク径、デファレンシャルリングギア径、ブレーキピストン径、ナット座ピッチ直径などにインチ由来の数値や呼び径が見られる。
柱時計の文字盤のサイズ
銃用弾薬の呼び径 - 「.45」「.357」のように、十進法で小数点以下を表記することが多い。弾薬の種類によってはインチ表記とメートル法の呼称が併存する場合がある。
インチねじ.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}
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(2022年9月)
分量単位1⁄32インチ目盛りのメジャー
サウ詳細は「サウ」を参照
ライン「ライン (単位)」および「リーニュ (単位)」も参照
パイカ「パイカ」も参照
分・厘