インターネット
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インターネット全体の「管理主体」と誤認されやすい団体として、ICANNIETFW3Cなどの非営利団体がある。これらの団体は、世界全体のIPv4/IPv6アドレスの維持(ICANN)、通信技術(通信プロトコルなど)の研究と発表(IETF)、情報の形式の研究と標準化(W3C)を行っており、インターネットを管理する団体ではない。

しかし、ICANNIETFW3Cのいずれも、運営費を私企業から得ていることから、完全には非営利・中立の団体とは言えない。また、ICANNは、かつて米商務省と強い関係を有しており、国際的にも中立とは言い難かった。この米商務省との関係は、契約期間の満了に伴い終了している[8]
プロトコル詳細は「Internet Protocol」を参照

インターネットは Internet Protocol (IP) に基づいている。IPは隣接する機器同士を繋ぐリンク層の上に構築される、ネットワーク通信プロトコルである。IPは下層のプロトコルと独立しているため、物理的な通信形式が導線・光ファイバー無線のいずれかを問わず機能する(参考: インターネット・プロトコル・スイートOSI参照モデル)。ゆえに各LAN内の通信方式が異なっていても、その橋渡し機器/プロトコルさえ用意しておけばIPを用いて透過的にインターネットに接続できる。

IPはインターネット以外のネットワークでも利用される。IPを用いたLAN(例: 社内ネットワーク)をイントラネットと呼ぶ。複数のイントラネットを相互接続したものはエクストラネットとも呼ばれる。
IPアドレス、ドメイン名

IPにおいては、基本的に通信するコンピュータごとに(厳密には機器のインターフェイスごとに)唯一無二の「IPアドレス」と呼ばれる固有番号を割り当てられることが通信時の前提となっており[9]、IPを採用するインターネットにおいても、接続する各組織に対して固有のIPアドレスの領域(範囲)がそれぞれ割り当てられる。各組織はそれぞれに割り当てられたIPアドレス領域の中の固有の番号を、所有する各コンピュータに割り当てる。

IPアドレスは数字の羅列で人間にはわかり難いというデメリットがあり、一般には英数字を使用した名前(ドメイン名)をIPアドレスに対応させて用いる[10]。例えば、「ja.wikipedia.org」というドメイン名は「198.35.26.96」というIPアドレスに対応する。インターネットに参加する各組織(研究機関、教育機関、企業、プロバイダ (ISP) 、協会・団体、政府機関その他)に対して、識別子として(広義の)ドメイン名が割り当てられており、各組織は所有する各コンピュータに対してホスト名を割り当てる。ホスト名とドメイン名をドット(.)でつないだものが各コンピュータの固有名(FQDN)となる。

接続先ホストにはIPアドレスを割り当てる必要がある。また、IPアドレスをDNSによって(狭義の)ドメイン名の資源として定義し供給することで、ドメイン名をIPアドレスを代替する記法として用いることもできる。

また、1980年代から使用されているIPアドレス(IPv4)が、2011年2月3日に枯渇した(IPアドレス枯渇問題)。これを想定してIPv6の開発が始まり2011年に実用化された。[11]しかし、日本では、各企業が通信機器を交換する費用を用意できなかったことや、IPv6を扱える技術者が少ないことが普及の妨げとなり、2012年以降においても外資系企業のバックボーンでの利用に留まっている。

2016年現在、日本でのIPv6の普及と利用は、日本のITに関する技術力の低さと研究開発に対する投資の少なさにより、欧米諸国に比較して大きく立ち後れている。[12]
アクセス

インターネットへのアクセス(接続)は、一般にはインターネット・プロトコル技術を搭載したインターネット端末を使用して、インターネットサービスプロバイダ経由で接続する。また独自ネットワークやイントラネットから、ゲートウェイなどを経由して接続できる場合もある。初期のインターネットでは、使用言語は英語文字コードASCII、文字はラテン文字で、接続デバイスは各種のコンピュータが大多数であった。

1990年以降のインターネットの世界的な普及により、現在では各種のコンピュータに加えて各種の携帯電話ゲーム機家電、産業機器などがインターネット端末機能を持つようになった。接続形態も従来の有線ダイヤルアップ接続に加えて各種の無線通信が一般化した。ユーザインタフェースもグラフィカルユーザインタフェースマルチメディア対応を含んだものも普及した。またコンピューティングの利用形態としてSaaSクラウドコンピューティングなどの表現や概念が普及する基盤ともなった。これらと並行して、各種の国際化と地域化多言語化、他のネットワークや技術との相互接続や相互運用性などが進んだ。
利用

インターネットの成立により全世界レベルでのコンピュータ間通信が容易になった。その結果、インターネット上で様々なアプリケーションが展開されてきた。人が触れるアプリケーションの例としてファイル転送電子メールハイパーテキスト文書 (Web)[3]P2Pファイル共有音声通信ウェブアプリケーションメディアストリーミングが挙げられる。さらにWeb上では検索エンジン電子商取引SNSなど膨大な種類のサービスが提供されている。

様々なアプリケーションで同様に必要とされる処理を共通化するために、Internet Protocol 上で利用される様々なプロトコルも提案されてきた。IP直上にはTCPUDPQUICなどのトランスポート層プロトコル、その上にはHTTPSMTPなどのアプリケーション層プロトコルが定義される(表参照)。他にもネットニュース (NNTP)、チャットIRC)などが標準化されている。これらのプロトコルの定義の多くは RFC として公開されている。詳細は「インターネット・プロトコル・スイート」を参照

表. アプリケーションとプロトコルアプリケーションプロトコルスタック
ファイル転送FTPTCPIP
電子メールSMTPTCP
ウェブHTTPTCP
QUIC/UDP

課題と対策

インターネットはクローズドな学術機関専用のネットワークからスタートしたため、プロトコルにはセキュリティに関する仕組みが十分に組み込まれていなかった経緯があり、不正アクセスサイバー攻撃などの問題が頻発する結果を生んでしまっている。

個々のサーバーの設定の工夫や、OSメーカによるサーバーのセキュリティ対策、アプリケーションレベルでの対策、ネットワーク機器のセキュリティ対策など様々な試みが続けられているが、犯罪者側のスキルも上がり、巧妙化し、「いたちごっこ」が続くばかりで、また個人によってだけでなく集団レベル国家レベルでもインターネットの場での犯罪は増すばかりである。最近では、現行のインターネットの仕組みを根本から見直し、セキュアなネットワークを目指した新しい仕組みの構築を探る動きもあるが、今のところさほど成果は出ていない。

また、オンライントラッカーやWeb広告に関する問題も指摘される。トラッカーは利用者がインターネットでどのような行動を取っているか(検索履歴、閲覧履歴、入力内容)などを明示的な同意なく収集するプログラムであり、主にビッグ・テックなどの巨大企業のビジネスを支えているとされている。これらの企業はトラッカーで得た情報を用いて広告や検索結果をユーザーに合わせてカスタマイズして利用者の利便性を向上させようとしているが、これらをプライバシーの侵害、私生活の監視だと感じる者もおり、このようなトラッカーをブロックするウェブブラウザなどもリリースされている。

Web広告はテレビラジオなどと並ぶほど広告費が高くなる[13]などの進展を見せているが、近年(2020年代)のウェブ広告からは広告がウェブページの見栄えを悪くする、利用者を詐欺に誘導する、違法な商品の宣伝に用いられる、マルウェア的な振る舞いをする(アドウェア)、利用者が本来のコンテンツを見るのを妨げるなどの問題点が見られるようになっており、利用者が目障りな広告をブロックするための広告ブロッカーなどのソフトウェアも登場した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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