あるインターネット・ミームは、偶然ないし解説・模倣・パロディを通して、またはそれ自体に関するニュースを取り込むことによって、同じまま保たれたり、時と共に発展していったりする。インターネット・ミームの発展と拡大は非常に迅速であり、時には世界規模の知名度に短い日数で達する場合もある。インターネット・ミームは通常は幾分かの社会的相互作用または大衆文化の参照、すなわち人々が普段自分たち自身を見出せる場所から形成される。その急速な成長とインパクトは研究者や産業経営者の注目を集めている[18]。学問の分野では、研究者たちはインターネット・ミームがどの様に発展するかのモデルを作ったり、どのミームが生き残ってウェブ上に拡大するかを予測したりしている。商業の分野では、安価なマス広告の形態としてバイラル・マーケティングが使われる。
経験的アプローチによる一つの研究がある。それはミームの特徴と振る舞いとを、ミームの拡散したネットワークとは独立して研究したものであり、その結果、成功したミームの拡散に関しての一連の結論が出された[8]。例えば、その研究によれば見る者の注目のための競争に留まらないインターネット・ミームは通常は短命に終わるが、それでもなおネット利用者の創造性を通じて、ミームとミームとが互いに協力しあってより強く生き残っていくこともあるという[8]。また逆説的なことに、全期間の平均よりも有意に高い人気を持った時期、すなわち人気の頂点を経験するミームは通常はそれがユニークでない限り生き残りが期待できない一方で、その様な人気の頂点を持たないミームは他のミームと共に使われてより強く生き残っていくのだという[8]。
ドミニク・バスルト
は2013年に『ワシントン・ポスト』へ寄稿した中で、ミームは人類文化のほんの切れ端を伝達するようになっており、それは元々ドーキンスが思い描いたように何世紀にもわたり生き残り、そしてその代わりに費用のかかる大きなアイデアでの陳腐な事柄を伝達するのだと、インターネットの成長とマーケティング・広告産業の慣習について主張した[19]。宣伝活動、広告およびマーケティングの専門家はインターネット・ミームをバイラル・マーケティングやゲリラ・マーケティングの一形態に含めて、「口コミ」でのマーケティング(バズマーケティング)を商品・サービスの一環とするようになった。市場の商品・サービスにミームを用いる営業手段はミームマーケティング(Memetic marketing)として知られている[20]。インターネット・ミームには費用効果があり、そして(時に自覚的に)一時的な流行となるために、意識的・流行的なイメージを創造する方法として用いられる。
例えば、インターネット・ミームをそうしなければポジティブな評判を受けないであろう映画を注目させるために使うことがある。2006年の映画『スネーク・フライト』はこのやり方を通じて広く世間の注目を浴びた[21]。
ミームマーケティングの例としては、FreeCreditReport.com
(英語版)の歌による広告キャンペーンや、剥製師のチャック・テスタ(英語版)の広告の"Nope, Chuck Testa"ミーム、メトロ・トレインズ・メルボルンの公共アナウンスメント広告キャンペーン"Dumb Ways to Die"などがある。インターネット・ミームの一つに、「◯◯チャレンジ」と呼ばれる一連の流行が存在する。インフルエンサーなどが提示する「課題」に対して視聴者等が挑戦(Challenge)してその様子を動画撮影して、またインターネットに投稿・拡散していくというスタイルを取る。 筋萎縮性側索硬化症の周知のため氷水をかぶる「アイス・バケツ・チャレンジ」が流行した。2019年には「TrashTag」タグを付けて町中のゴミの清掃前と清掃後の写真を比較するという、ボランティアのミームも流行した。 YouTubeやTikTokなどのプラットフォーム上で、青い鯨チャレンジやファイアーチャレンジ(自分の体に着火してその動画を撮影する)など危険な課題に挑戦して怪我を負うなどの問題が発生している。YouTubeでは規約で年少者が真似をしかねない危険な行動の動画投稿を禁止した[22]。
ポジティブな効果
ネガティブな効果
関連文献
Blackmore, Susan (March 16, 2000). The Meme Machine (Volume 25 of Popular Science Series ed.). Oxford University Press, 2000. p. 288. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 019286212X. https://books.google.co.jp/books?id=dtkeLWVMlcsC&printsec=frontcover&dq=The+Meme+Machine&hl=en&redir_esc=y
Shifman, Limor (Nov 8, 2013). Memes in Digital Culture. MIT Press, 2013
Wiggins, Bradley, and Bowers, G. Bret.(2014). Memes as genre: A Structurational Analysis of the Memescape. New Media & Society. In Press.
脚注
注釈^ ウイルスのように拡散する。
出典^ デジタル大辞泉 「インターネットミーム」
^ Limor Shifman, Memes in a Digital World: Reconciling with a Conceptual Troublemaker