インタラクションデザイン
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1989年、ジリアン・クランプトンスミス[注 2]がロンドンのロイヤルカレッジ・オブ・アートにインタラクションデザインの修士課程を設けた(当初「コンピューター リレーテッド デザイン」[注 3]と呼ばれており、現在では「デザインインタラクション」[注 4]と呼ばれている)。2001年、彼女は北イタリアにインタラクションデザイン専門の学校「インタラクション デザイン インスティテュート イブレア」[注 5]を創設した。今日では、世界中の学校でインタラクションデザインが教えられている。
一般的工程

多くのインタラクションデザインでとられる一般的な工程では、既知の問題への1つの解を生成することをテーマとする(唯一の解ではない)。この過程における鍵となる要素は繰り返しのアイデアであり、素早くプロトタイプを構築し、ユーザーと共にその解をテストするということを繰り返す。

以下では、インタラクションデザインの工程の主なステップを解説する。
デザイン調査 —
参与観察インタビューなどの技法を使ってユーザーとその環境を調査し、ユーザーをよく知ることで彼らに向けたデザインを可能にする。

コンセプト生成 — ユーザー調査の結果と技術的可能性、ビジネスとしての可能性を考慮して新たなソフトウェア/製品/サービス/システムのコンセプトを生成する。この段階では何度もブレインストーミングしてコンセプトを洗練させていく。

シナリオ/ペルソナ/プロファイルの作成 — 調査で観察された振る舞いパターンから、製品やサービスが将来使われたときのシナリオ(ユーザーストーリー)や絵コンテを作成する。最初にシナリオの元となる想定ユーザーのペルソナやプロファイルを作成することが多い。

ワイヤフレームとフロー図 — 製品やサービスの機能をワイヤフレームと呼ばれる図で表現する。ページ毎にシステムの詳細を表したもので、操作方法を説明した文章が付与される。フロー図はシステムや個々の機能の論理やステップを示す。

プロトタイピングとユーザーテスト — 様々なプロトタイピング技法を駆使してアイデアを様々な観点でテストする。この工程は、「役割」のテスト、「ルック・アンド・フィール」のテスト、「実装」のテストに分類される。

実装 — 実際の製品などの実装が行われる。この際にもインタラクションデザインの観点で正しく実装されているかの検証がなされる。製造上の都合で変更が行われた場合にデザインへの影響がないか、影響がある場合に対策をどうするかなどを考えることがインタラクションデザインの役割となる。

システムテスト — システムが完成したら、さらなるテストが行われる。

インタラクションデザインの原則

認知心理学の基本原則がインタラクションデザインの基盤となっている。例えば、メンタルモデル、マッピング、メタファー、アフォーダンスなどである。これについては参考文献にあげた『誰のためのデザイン?』に詳しい。
適用分野

インタラクションデザインは、ソフトウェアのインタフェース、情報システム、インターネット、物理的製品、環境、サービスなど様々な分野で活用されている。各分野ではそれぞれ固有のスキルや手法が必要だが、インタラクションデザインとして共通な部分もある。
分野を越えたプロセス

インタラクションデザインは、グラフィックデザイン、プログラミング、心理学、ユーザー評価、製品設計など様々な領域の知識を必要とするため、異分野提携的なチームで行われることが多い。従って、デザイナーはそれらの分野にある程度精通していないと効率的に作業できない。
社会的インタラクションデザイン

社会的インタラクションデザイン(SxD)とは、コンピュータが社会に遍在するようになり、互いに通信する機能を備えるようになって出てきた新たな領域である。電話や携帯情報機器などが社会的インタラクションを容易にしている。社会的インタラクションデザインは機器とユーザー間のインタラクションだけでなく、ユーザー同士のインタラクションも考慮する。人間同士のコミュニケーション、話すことと書くこと、語用論などが社会的テクノロジーにおいて重要な要因となった。そして、これらの要因は認知科学よりもむしろ社会学心理学人類学の領域である。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ : SoftFace
^ : Gillian Crampton-Smith
^ : computer-related design
^ : design interactions
^ : Interaction Design Institute Ivrea

参考文献

Marion Buchenau、Jane Fulton Suri 「Experience Prototyping」、 DIS、2000年,
ISBN 1-58113-219-0/00/0008.

Alan Cooper、Robert M. Reimann 「About Face 2.0: The Essentials of Interaction Design」, Wiley、2003年、ISBN 0-764-52641-3.

Stephanie Houde、Charles Hill、「What Do Prototypes Prototype?」(Handbook of Human-Computer Interaction (2nd ed.))、M. Helander、T. Landauer、P. Prabhu、Elsevier Science B. V、1997年.

Brenda Laurel、Peter Lunenfeld: 「Design Research: Methods and Perspectives」 MIT Press、2003年、ISBN 0-262-12263-4.

Bill Moggridge、「Designing Interactions」、MIT Press、2007年, ISBN 0-262-13474-8.

Donald Norman: 「The Design of Everyday Things」, ISBN 0-465-06710-7.

野島久雄(訳)『誰のためのデザイン? — 認知科学者のデザイン原論』新曜社、ISBN 478850362X


関連項目

ヒューマンマシンインターフェース

インダストリアルデザイン

ユーザインタフェース設計

インタラクションデザイン・パターン

ユーザビリティ

パタン・ランゲージ

グッドデザイン賞にはインタラクションデザイン賞が設けられている。

外部リンク

Bruce Tognazzini's First Principles of Interaction Design

Design Patterns in Interaction Design

Designing Interactions: Interviews - インタラクションデザイン分野での著名人へのインタビュー

Interaction-Design.org - インタラクションデザインを中心とする分野に関するオープンな百科事典

Usability News

web design uae


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