イングランド国教会
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宗教的シンクレティズムに基づくユニテリアン主義も国教会の賛同を得られずに、1774年に分離独立し[注釈 2]、アメリカ大陸植民地ではピューリタン等が会衆制を形成し、アメリカの独立に至った[注釈 3]
カトリック解放

1829年のカトリック教解放法(英語版)は、カトリック解放に待望久しかった市民的諸権利の回復を保障し、16世紀以来非合法化されてきたカトリック教会の再建を可能とした。1833年に始まったオックスフォード運動は国教会のカトリック文化遺産意識を反映している。オックスフォード大学内に始まったこの運動は、ジョン・ヘンリー・ニューマン(最終的に国教会からカトリックに改宗した)とエドワード・プュージー(英語版)らによって主導されたものであった。
現代

現代のイングランド国教会は、世界の聖公会において主導的役割を果たすと共に、ローマ・カトリックなどとの対話に積極的に乗り出し、エキュメニカル運動にも積極的な役割を果たしている。ただしカトリック側は1903年、教皇レオ13世の大勅書(Apostolicae Curae et Caritatis)で、聖職者の叙任は無効と宣言しており、東方教会とは若干差別がある。

20世紀末から21世紀初頭にかけてイングランド教会で女性の聖職者の叙任が進み、2015年には初めての主教が生まれて話題となった[8]
教会組織イングランド国教会の教区.mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  カンタベリー管区  ヨーク管区
管轄

グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の君主がイングランド教会の最高ガバナー (Supreme Governor of the Church of England) である。2022年9月8日より現在、国王チャールズ3世がその地位にある。

イングランド国教会の管轄する地域はグレートブリテン島マン島チャンネル諸島、およびジブラルタルの外地教区(ヨーロッパ教区)などを含む。アイルランド聖公会ウェールズ聖公会スコットランド聖公会(更に別に、長老派に属するスコットランド国教会がある)はイングランド国教会とは別の独立した組織になっている。
2つの管区

イングランド国教会には2つの管区がある。イングランド南部を管轄する「カンタベリー管区」と北部を管轄する「ヨーク管区」で、各管区では大主教が選ばれ管区長として代表となる。こうしてカンタベリー大主教(2013年1月からロンドン生まれのジャスティン・ウェルビー)とヨーク大主教(2020年10月からエセックス生まれのスティーブン・コットレル(英語版))がいるが、歴史的な経緯により前者がイングランド国教会の長である。またカンタベリー大主教は全世界のアングリカン・コミュニオンの長であり、10年毎のランベス会議の議長でもある。
教区主教

各管区は複数の教区に区分され、各教区では主教が選出されて教区を代表する。各地の教会はその地域の教区に属している。教区は教会行政の最も基本的な単位で、複数の教会からなる。

主教区には主教座聖堂があり、席首司祭と参事会員から構成される参事会が聖堂の管理運営にあたる。
代表組織

イングランド国教会は教会会議(Synod)の総会 (General Synod) により重要な決定を行っている。

総会には、カンタベリーとヨークの管区会議、主教会議、聖職者会議、信徒会議から参加があり、1月にロンドンで、7月にヨークで開催される[9]
貴族院

イギリス議会上院である貴族院には26人の聖職貴族が議席を有し、国政に参加している。
ギャラリー

カンタベリーのアウグスティヌス司教

リチャード・フッカーエクセター大聖堂にある像)

ジャスティン・ウェルビー
カンタベリー管区大主教(在任:2013年 - )

ジョン・センタム
ヨーク管区大主教
(写真:ヨーク大聖堂、2005年)

国王チャールズ3世イギリスの君主
イングランド国教会首長(2022年9月8日 - )

教義と実践新祈祷書Common Worshipの3分冊
教義詳細は「聖公会#教義・様式」を参照

イングランド国教会の教会法は、聖書をその根本としている。加えて、その教義教父の教え、公会議エキュメニカルな信経ニケヤ信経など)が聖書の教えと合致する限り、それらを元としている。教義内容は「39箇条」教義要綱と祈祷書に表れており、また執事司祭主教からなる聖職者聖別を認める[10]。神学者では、16世紀後半に活躍したリチャード・フッカーが大きな影響を与えた。
礼拝と典礼

イングランド国教会の典礼(礼拝順序など)は『祈祷書』(Book of Common Prayer)にあると、イングランド法に規定されている。これに加えて、2000年から『新祈祷書」 (Common Worship) も使われている。

礼拝の音楽は聖書内容(特に『詩編』)を簡単な節で歌うことから『古今聖歌集』、『英語聖歌集』(English Hymnal)などへと数世紀にわたってさまざまに変化してきたが、主教座聖堂および一部教会では「合唱付きの夕の祈り」 (Choral evensong) を守っている。
ハイ・チャーチとロウ・チャーチ詳細は「聖公会#ハイ・チャーチとロウ・チャーチ」を参照

もともとイングランド国教会はクエーカーメソジストなど多くのプロテスタント宗派を生み出した母体で、さまざまな考えの人々を包含していて、それを許容している。その状態を、カトリック的な要素を残す「ハイ・チャーチ」 (high church) 、福音的な「ロウ・チャーチ」 (low church) に分類して説明したり、自由神学的な「ブロード・チャーチ」 (Broad church) もあるとしているが、そうした確立した組織があるわけではなく、教区内に様々な考え方の教会が混在している[11][信頼性要検証]。
修道会

イングランド国教会の名だたる修道会には次がある[12]

聖ヨハネ修士会(英語版)(Society of St. John the Evangelist、略称:SSJE、1866年創立) - 日本の聖ヨハネ修士会も参照


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