地方長官制のためのカウンティと行政のためのカウンティの概念が区別されるのは、新しいことではない。カウンティの一部であったカウンティ・コーポレート(英語版)に独自の地方長官が任命される場合もあった(もっとも、上位のカウンティの地方長官が、カウンティ・コーポレートの地方長官を併任することもしばしばあった。)ほか、ヨークシャー内の3つのライディングは、17世紀以降、それぞれが地方長官制のためのカウンティとして扱われていた。
1888年地方自治法(英語版)により、カウンティ議会(英語版)が設置され、それまで四季裁判所が担っていたカウンティでの行政機能を引き継いだ。この法律により、新たに「行政カウンティ」が創設された[4]。カウンティ・バラ(英語版)を除く全てのカウンティが行政カウンティとなったほか、ノーサンプトンシャー内のソーク・オブ・ピーターバラやケンブリッジシャー内のイーリー島といった伝統的なカウンティ内の小区分もいくつか、行政カウンティとされた。さらに、この法律により、行政カウンティの地域が、全ての目的のカウンティの地域と一致するものと定められた。最大の変更点は、カウンティ・オブ・ロンドン(英語版)の創設であった。カウンティ・オブ・ロンドンは、行政カウンティであると同時に「カウンティ」でもあるとされ、歴史的カウンティであったミドルセックス、ケントおよびサリーのそれぞれ一部を含むものとされた。その他の変更点は小さいものであり、市街衛生ディストリクト(英語版)(後の市街ディストリクト(英語版)および自治バラ(英語版))がカウンティの境界をまたぐことが許されないという制約からくるものであった。
もっとも、ヨークシャーを除き、それまで小区分を有していたカウンティは典礼カウンティとして残った。例えば、行政カウンティとなったイースト・サフォーク(英語版)およびウェスト・サフォーク(英語版)は、カウンティ・バラのイプスウィッチとともに、サフォークという1つの典礼カウンティを構成するものとされ、行政カウンティとなったワイト島は、典礼カウンティであるハンプシャーの一部とされた。
「典礼カウンティ」という語は、時代錯誤なものといえる。というのも、当時すでに、陸地測量局(英語版)発行の地図で「カウンティ」または「地理カウンティ」と表示されており、1888年地方自治法においても、単に「カウンティ」とされていたためである。
些細な境界の変更(例えば、オックスフォードシャーのカヴァーシャム(英語版)という町が、1911年にバークシャー内のカウンティ・バラであるレディングの一部とされた。)を除き、1965年にグレーター・ロンドンおよびハンティンドン・アンド・ピーターバラ(英語版)が創設され、それによってミドルセックス、カウンティ・オブ・ロンドン、ハンティンドンシャーの各地方長官職が廃止されるとともに、グレーター・ロンドンおよびハンティンドン・アンド・ピーターバラの各地方長官職が設けられるまで、カウンティにはほとんど変化がなかった。1974年から1996年までの典礼カウンティ(シティ・オブ・ロンドンは非表示)
1974年、行政カウンティとカウンティ・バラは廃止され、大規模な改革が行われた。このとき、地方長官制は、新たに設けられた都市カウンティおよび非都市カウンティを直接使用するものと定義し直された。
1996年のさらなる見直しにより、エイヴォン(英語版)、クリーヴランド(英語版)、ヘレフォード・アンド・ウスター(英語版)およびハンバーサイド(英語版)が廃止された。これにより、地方自治のためのカウンティと、地方長官制のための典礼カウンティ(地理カウンティ)との区別が復活し、さらに、法文上は使用されていないものの、施行前に下院で用いられた「典礼カウンティ」という語が採用されることとなった[5]。
1974年に設けられたカウンティのエイヴォンは、大半がグロスタシャーとサマセットに分割されたが、シティであるブリストルは、エイヴォンの設置の際に失ったカウンティの地位を再び単独で獲得した。クリーヴランドは、ノース・ヨークシャーとダラムとに分割された。ヘレフォード・アンド・ウスターは、ヘレフォードシャーとウスターシャーの2つのカウンティが復活する形となった。ハンバーサイドは、リンカンシャーと、新たに典礼カウンティとされたイースト・ライディング・オブ・ヨークシャーとに分割された。ラトランドは、典礼カウンティとして復活した。多くのカウンティ・バラは「単一自治体」として再設置されたが、この地域は、通常は典礼カウンティとしてではなく行政カウンティとされた。
したがって、ほとんどの典礼カウンティは、1889年から1974年までと同様、地方自治体の集合体となっている。伝統的なカウンティ・ロビー団体の英国カウンティ協会(英語版)は、典礼カウンティを古来の境界に戻すべきだと主張している。 現在のイングランドでは、州長官のカウンティ 1997年地方長官法は、地方長官制のためのカウンティを、都市および非都市カウンティ(1972年地方自治法 2019年現在、イングランドには以下の48の典礼カウンティが存在する。 カウンティ人口
州長官のカウンティ
定義
1997年以降の典礼カウンティ
(人)人口順位面積
(km2)面積
(mi2)面積順位人口密度
(人/km2)人口密度順位
構成
都市/非都市カウンティ・単一自治体の区域
ベッドフォードシャー669,33836位1,23547741位54213位ベッドフォード
バークシャー911,40324位1,26248740位72210位バークシャー
ブリストル463,40543位1104247位4,2242位ブリストル
バッキンガムシャー808,66630位1,87472432位43222位バッキンガムシャー、ミルトン・キーンズ
ケンブリッジシャー852,52328位3,3901,31015位25234位ケンブリッジシャー、ピーターバラ
チェシャー1,059,27119位2,34390525位45221位チェシャー・イースト、チェシャー・ウェスト・アンド・チェシャー、ハルトン、ウォリントン
シティ・オブ・ロンドン[注釈 3]8,70648位2.901.1248位2,9984位シティ・オブ・ロンドン
コーンウォール568,21040位3,5621,37512位16041位コーンウォール、シリー諸島
カンブリア498,88841位6,7672,6133位7447位カンブリア
ダービーシャー1,053,31621位2,6251,01421位40125位ダービーシャー、ダービー
デヴォン1,194,16611位6,7072,5904位17839位デヴォン、プリマス、トーベイ
ドーセット772,26831位2,6531,02420位27432位ドーセット、ボーンマス・クライストチャーチ・アンド・プール[6]
ダラム866,84626位2,6761,03319位32428位ダラム、ダーリントン、ハートルプール、ストックトン=オン=ティーズの一部(ティーズ川以北)
イースト・ライディング・オブ・ヨークシャー600,25937位2,47795623位24235位イースト・ライディング・オブ・ヨークシャー、キングストン・アポン・ハル