イメージ
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我々は、読書をしているとき、何かの出来事について心的なイメージが把握できたように感じるのは何ゆえなのか、不思議に思うことがある。また白昼夢を見ていた場合にも疑問は起こる。このような経験で得られる心的イメージは、あたかも頭のなかにがあるように見える。例えば、音楽家を聞く場合、時として頭のなかで歌の「音符」が見えることがある。これは残像(after-image)とは異なっている。例えば、何かの出来事から誘導された残像は、意識的なコントロールの許にはないと考えられている。しかし、他方、想像において、あるいは心のなかでイメージを想起する場合、イメージは意志の自由になると考えられる。それ故、イメージまたは心像というものは、様々な意識的コントロールの度合いを持つものとして特徴付けられる。

ある生物学者たち[誰?]によれば、我々は環境世界についての経験を、心的イメージとして蓄積しており、心的イメージは他の心的イメージと連合されたり比較され、こうしてまったく新しいイメージが合成されるのだとされる。例えば、を見たり、想像力を働かす場合に、このようなことが起こる。この理論は、このような過程によって、我々は、世界がどのように働くかに関する有用な理論を、心的イメージの適切な連続に基づいて構成することが可能になり、この機構は、推論演繹あるいはシミュレーションの過程を通じて得られる結果などを直接に経験しなくとも成り立つと主張する。人間以外の生物が、このような能力を持っているかどうかは議論されている(「動物の認識」を参照)。
心的イメージについての哲学の解釈

心的イメージは、知識の研究にとって要の問題であるため、哲学において重要な主題である。『国家』第7巻において、プラトンは、洞窟のなかの囚人メタファー(暗喩)を使用している。囚人は束縛され身動きできない状態で、光源であるを背にして座り、彼の前にあるを見ている。彼らは、人々が彼の背後で運んでくる色々な物体投影された影を見るのである。人々が運んでくる物体とは、世界のなかに存在する真なる事物のことである。囚人は、経験によって得られたセンスデータを元に心的イメージを造り出す人間に似ている、とソクラテスは説明する。

もっと後では、バークレー司教が、その観念論の理論において、似たような考えを主張している。バークレーは、実在は心的イメージ(心の表象)と等価である?我々が抱く心的イメージは、別の物質的実在(material reality)の複写ではなく、実在それ自体であると述べた。とはいえ、バークレーは、彼が外的世界を構成すると見なすイメージと、個人の想像力が生み出すイメージを明瞭に区別した。バークレーに従うと、後者のみが、今日における用語法の意味での「心的イメージ(心像)」と見なされる。

18世紀英国の文筆家であるサミュエル・ジョンソン博士は、観念論を批判している。スコットランドで屋外を散歩していたとき、観念論の是非について問われたは、断言して次のように答えた。「かくのごとく、そんなものは否定する」ジョンソンは傍らの大きな岩をで蹴り、脚が跳ね返るのを示しつつ、かく述べた。彼の主張のポイントは、が心的イメージであって、それ自身の物質的実在を有しないとする概念(concept)、考え(thought)、アイデア(idea)は、彼がまさに岩を蹴ることで経験した痛みのセンスデータの説明としては妥当ではないと云うことである。
参考文献

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