イベリア半島
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ペニベティコ山系はシエラネバダ山脈などを内包しており、シエラネバダ山脈にはイベリア半島最高峰、スペインのイベリア半島部分最高峰のムラセン山(3478m)がある[22]
地質イベリア半島の主要な地質

イベリア半島の2/3以上は古生代に形成され、この時期にイベリア中央山塊、エブロ山塊、カタルーニャ=バレアレス山塊、ベティカ=リフ山塊などが生まれた[23]。もっとも頑強な構造であるイベリア山塊(英語版)はヘルシニア造山運動によって形成されている[23]。北東部はピレネー山脈の褶曲帯と結合しており、南東部ではベティコ山系と結合している。これらふたつのチェーンはいずれもアルプス・ベルト(英語版)の一部である。半島の西側はマグマに乏しい大西洋の開口部によって形成された大陸境界によって区切られている。ヘルシニア造山期の褶曲帯はほとんど中生代と第三期の岩石に埋もれているものの、東部のイベリコ山系カタルーニャ海岸山脈を通じて露頭している。

地質は珪土層、石灰層、粘土層という三層からなる。珪土層は主に半島西部に広がり、ガリシア地方、ポルトガル北部、メセタなどに分布している[8][23]。石灰層は主に半島東部に広がり、ピレネー山脈、カンタブリア山脈東部(バスク山脈)、イベリア山系、ベティコ山系などに分布している[8][23]。粘土層は北メセタや南メセタの一部、エブロ川・グアダルキビール川・タホ川の各河川流域に分布している[8][23]

なおイベリア半島は古生物学的にも重要なポイントで、新旧の恐竜たちが混在する特異な環境だった[24]
気候スペインにおけるケッペンの気候区分ポルトガルにおけるケッペンの気候区分

イベリア半島の気候は地域によって大きく変化するが[25]カンタブリア山脈を境にして乾燥イベリアと湿潤イベリアの二つの地域にわけることができる[8]。カンタブリア山脈以北の北西岸はエスパーニャ・ベルデと呼ばれる、年降水量は800-1,500mmの西岸海洋性気候であり、夏季は涼しく冬季は穏やかである[25]。エスパーニャ・ベルデでもっとも降水量が多い季節は秋季であり、山岳地帯では年降水量が3,000mmに達する場所もある[8]

カンタブリア山脈以南の地域は乾燥イベリアと呼ばれ、年降水量は800mmに満たない地中海性気候である[25]。夏季は乾燥し、特に内陸部では冬季は寒さが厳しい[25]。乾燥イベリアで降水量が多い季節は春季と秋季であるが、山間部を除けば300-600mmの場所が多い[8]。ラ・マンチャ(La Mancha)地方はアラビア語の「乾いた土地」(al mancha)に由来する[18]。乾燥イベリアでは短期間に豪雨となって降ることが多く、河川の流量に大きな影響を与えることなく蒸発するため、南メセタには砂漠状の地形景観が見られる[18]。乾燥イベリアの中でも地中海岸や大西洋沿岸では海洋の影響を受け、夏季の暑さは比較的酷くなく冬季は暖かい[25]。しかし、ポルトガルの内陸部やスペインのメセタは大陸性の気候であり、夏季は暑く冬季は厳しい寒さとなる[25]。ポルトガル南部やスペイン南部は極度に乾燥する[25]。年降水量約200mmのアルメリア地方はイベリア半島でもっとも乾燥した場所であり、極度に乾燥するのはアフリカ大陸のサハラ砂漠からの季節風の影響を受けるためである[8]

スペインの内陸部にはヨーロッパでもっとも気温が高い場所があり、コルドバでは7月の日中の平均気温が摂氏約37度となる[26]。スペインの地中海岸では夏季の日中の平均気温が摂氏約30度となるのが一般的である。これらの地域とは対照的に、半島北西部にあるガリシア地方のア・コルーニャでは、夏季の日中の平均気温は摂氏23度をわずかに下回る[27]。涼しく湿度の高い夏季の気候は、半島北岸の大部分の地域に共通している。冬季の気温は夏季の気温より場所による差異が少ない。スペイン内陸部では冬季の降霜が一般的であるものの、日中の最高気温は摂氏0度を上回ることが多い。イベリア半島の最低気温記録はメセタ西部で記録した摂氏マイナス24度、最高気温記録はアンダルシア地方のセビリア県北東部で記録した摂氏45度である[8]

イベリア半島北部の山間部にはブナ、オーク、クリなどの森林が広がり、また草原や牧場が多く、トウモロコシやリンゴが栽培される[25]。散居集落と零細土地所有制度が一般的である[25]。地中海岸では斜面を開墾して段々畑が築かれることが多く、灌漑農業によって柑橘類が生産されている[25]。柑橘類やオリーブ栽培の北限は地中海性気候の影響する北限と重なる[8]。内陸部のメセタには小麦やブドウが生産されるものの生産性は低く、半島南部はオリーブや穀物が生産される[25]。南部は大土地所有制度による粗放的農業が卓越しており、大半は集住集落となる[28]。アンダルシア地方東部の沿岸部は亜熱帯性気候であり、サトウキビやバナナも栽培される[8]

イベリア半島主要地域の平均気温[29][30]
都市分類最冷月4月最暖月10月気候帯
ア・コルーニャ最高気温13.516.222.819.1西岸海洋性気候(Cfb)
最低気温8.09.916.413.0
ビルバオ最高気温13.216.825.520.8西岸海洋性気候(Cfb)
最低気温4.77.115.210.8
ポルト最高気温13.818.125.720.7地中海性気候(Csb)
最低気温5.29.115.912.2
バルセロナ最高気温13.618.028.522.1地中海性気候(Csa)
最低気温4.79.420.213.5
マドリード最高気温9.818.232.119.4地中海性気候(Csa)
最低気温2.77.719.010.7
リスボン最高気温14.819.828.322.5地中海性気候(Csa)
最低気温8.311.918.615.1
セビリア最高気温16.023.436.026.0地中海性気候(Csa)
最低気温5.711.120.314.4

人文地理
国・領域スペインポルトガルフランスアンドラ公国ジブラルタル イベリア半島における国・領域の位置


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