イベリア半島の周囲全体の7/8は大西洋か地中海に面しており[10]、海岸線長は4,118km[2](スペインが3,144km、ポルトガルが974km[11])であるとされる。最終氷期の最寒冷期(最盛期、LGM)には現在よりも115-120m水位が低く、この時期を最低値として現在まで約4,000年かけて徐々に水位を上昇させた[12]。その際に沈降によって形成された大陸棚は今日でも海面下に残っている。大西洋側の大陸棚は決して広大ではなく、海底は大陸棚から急激に深度を深める。南北長が700kmに及ぶ大西洋の大陸棚は、沖合からわずか10-65kmまでの範囲と推定されている。500mの等深線が大陸棚の縁であり、大陸棚から離れると水深1,000mに落ち込む[13]。イベリア半島の沿岸海域の海底地形は、石油掘削の過程で広く研究されている。ビスケー湾やイベリア半島西側の沖合には、水深4,800mのイベリア深海平原がある。
半島を取り巻く長い海岸線、地中海と大西洋の海流(カナリア海流・メキシコ湾流)によって、外部から他者を受け入れることが容易であり、またイベリア半島から他地域に移民するのにも都合がよかった[2][6]。さらには、イベリア半島の沖合に存在するバレアレス諸島とカナリア諸島は、半島と他地域を繋ぐ中継地となった[6]。海岸線の長さやピレネー山脈の存在から、イベリア半島は「ほとんど島国に等しい存在」とされることもある[10]。
河川「スペインの河川の一覧」および「:en:List_of_rivers_of_Portugal
イベリア半島を流れる主要河川には、ミーニョ川、ドゥエロ川/ドウロ川、タホ川/テージョ川、グアディアナ川、グアダルキビール川、セグラ川、フカル川、エブロ川などがある。ドゥエロ川/ドウロ川、タホ川/テージョ川、グアディアナ川、グアダルキビール川、エブロ川はイベリア半島の5大河川と呼ばれ[14]、地中海に注ぐエブロ川を除く4河川は大西洋に注いでいる[11]。
イベリア半島でもっとも長い河川はタホ川/テージョ川である。大西洋に注ぐミーニョ川、ドゥエロ川/ドウロ川、タホ川/テージョ川、グアディアナ川などは一部でスペインとポルトガルの自然的国境となっている。ビスケー湾に注ぐビダソア川は下流部でスペインとフランスの自然的国境となっている。ピレネー山中のフランス領土であるセルダーニュ・フランセーズ(英語版)を流れるセグラ川は、アンドラ公国の大部分を流域とするバリラ川(英語版)を集めた後にスペインでエブロ川に合流する、イベリア半島で唯一3か国を流れる河川である。
イベリア半島を流れる河川は激しい流れ・流量の少なさ・流量の不規則さなどを特徴としている[2]。エスパーニャ・ベルデをビスケー湾に向かって流れる河川は相対的に季節的流量変動が少ないが、乾燥する地域を流れて地中海に注ぐ河川は相対的に流量変動が大きい[15]。ガリシア地方を流れるミーニョ川は春季と夏季の流量差が3倍程度であるものの、大西洋に注ぐグアダルキビール川は15倍にのぼり、地中海に注ぐ河川はさらに大きな流量差となる[15]。