イノセンス
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和太鼓に茂戸藤浩司が起用された[20]

劇中で使用されたオルゴールの曲は、予めオルゴールから機械録音しておいたものを、大谷石採掘場跡の地下空間で再生し、再度録音したものが使われた。

また音響効果編集は『Avalon』同様スカイウォーカー・サウンドで行われ、迫力の音響世界が創造された。サウンドデザインはアカデミー音響編集賞受賞者のランディ・トムが担当した。この関与は「プリミックス」であり、音楽やセリフ素材を含む整音は日本国内で行われている。

同社の音響製作の可能性に感銘を受けた押井は、『Avalon』で組んだサウンドデザイナーで『ローレライ』や『少林少女』も手がけたスカイウォーカー・サウンドのトム・マイヤーズに『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』のサウンドデザイン、2008年の『攻殻機動隊2.0』の音響リニューアルを委ねている。
興行成績

封切り前の目標は興行収入50億円を目指していたが[21]、興行収入10億円・観客動員数70万人に終わった[22]

押井・石川は0号試写の段階で「これはお客さんが入る映画じゃない」と確信し[23]、石川は「押井さん、製作費の回収に10年かかるよ。もう腹くくったから」と呟き、押井は「『すまない』と思った反面、『よくぞ覚悟してくれた』とも思った。あの時は『スケジュールをかけて、クオリティを上げれば、観客を動員できて、製作費も回収できる』という選択肢しかなかった。脚本を書いた時から薄々感づいていて、ダビングの辺りでそれがあからさまになった時には石川に借りを作ってしまったことが決定的になったから、『必ず返さなければ』と思った」と振り返っている[24]

アメリカでは「GHOST IN THE SHELL 2 / INNOCENCE」というタイトルで全米50スクリーンで公開された。最終的な興行収入は104万ドル(約1億2千万円)だった[23]
受賞

第25回
日本SF大賞

第10回デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー/AMD Award グランプリ/総務大臣賞

第10回デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー/AMD Award Best Music Composer賞

第8回 文化庁メディア芸術祭アニメーション部門 審査委員会推薦作品

東京アニメアワード2005 劇場映画優秀作品賞

東京アニメアワード2005 原作賞

東京アニメアワード2005 脚本賞

東京アニメアワード2005 キャラクターデザイン賞

第4回日本映画テレビ技術協会 映像技術賞

第19回デジタルコンテンツグランプリ ヒットコンテンツ部門優秀賞

第37回シッチェス・カタロニア国際映画祭 オリエント・エキスプレス賞

評価

庵野秀明は「あんなに面白いと思わなかった。押井守さんの最高傑作ですよ。そして、日本のアニメは世界一だと感じましたね。あの物量、あの心意気やよし!ですよ。押井さん、今までも自分の好きなことをやっていたけど、ようやく混じり気なしで純粋に自分の好きなものだけをやれるようになったんだと思う。そこが『イノセンス』のいいところですよね。何年も何年も好きなことをやっていると、ここまで行きつくんだという」と絶賛した[25]

紀里谷和明は「『ニューヨーク近代美術館にそのまま入れて欲しい』と思いました。1個の美術品に見えたんです」と絶賛した[25]

情報学研究者のドミニク・チェンは「ユーモアに溢れ、楽観的ですらある士郎の原作とは大きく異なり、押井が言わば『テクスト主義的に独自の世界を展開している』という意味で、通常のアニメ化とは呼べない様相を呈している作品である。強いて言えば、兵器・メカニクスの緻密な描写に見られるフィチシズムと博覧強記的な台詞回しでは士郎・押井は共通していると言えるだろう。最も大きな相違は士郎が『徹底的なまでにデジタルな虚構の構築を楽しんでいる』のに対し、押井が『どこまでも映画的リアリティを求道的に追及している』点にある」「重層な質量のモデリングが施された3DCGによる背景描画やエフェクトが大きな比率を持って登場し、作画によるキャラクター・背景とのシームレスな統合に成功している。この辺は同じくSF的な都市描写を行いつつも、飽くまでも3DCG的な表層の前景化に終始した『メトロポリス』『ファイナルファンタジー』に対し、都市というそれ自体が大いにノイズを含む現実空間を志向している結果、立ち表れる映像がアニメとCGの混合による特殊なマチエールの生成を促し、『映画以上に映画的な空間描写足りえている』という事態を生んでいる」と賞賛している[26]

Wiredのアメリカ人記者によると前作にあたる「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」と比べ「優雅で完成度が高く、まとまりがあり、じっくり見ても美しいのだ。」と述べている[27]

思想家東浩紀は、本作がアニメ技術の最高峰に位置する見る価値のある作品であることを認めながらも、押井守のそれまでの作品にみられた「過剰な記号や意味」が煩雑に盛り込まれているという特徴が本作では欠落していると指摘している。そして、主題(人間と人形の差異)と物語の結びつきも弱く、監督の映像作家として力量に感嘆はするもののそれ以上の感想は抱けないと述べている[28][29]
ソフト

DVD発売時のTVCMには藤原竜也宮崎あおいが起用されている。また、2018年6月22日に、2019年6月30日までの期間限定生産として『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』&『イノセンス』 4K ULTRA HD Blu-ray セットが発売された[30]。なお、バンダイナムコアーツ(現:バンダイナムコフィルムワークス)がウォルト・ディズニー・ジャパンと関わるのは、1987年にバンダイウォルト・ディズニー・カンパニーと映像ソフト販売契約を結んでいた以来となる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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