イヌマキ
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8?12月ごろには胚珠は種子(黄色)となり、鱗片が肉質化して粉白を帯びた緑色(熟すと紫黒色)の套皮(とうひ)となってこれを包み、広卵状球形で直径 8?10 mm になる[2][7][8][14][15](図3c)。また種子の基部の花托(花床、果托、果床、種托[8])が肥厚・多肉化して紅色または紫黒色になる[2][7][8][14][15][20](図1, 3c)。この部分が鳥の食料となり、種子散布される[20][21][22]。人間には種子の部分は有毒であるが[21]、赤く熟した種托の部分は甘みがあって食べられる[2][7][15]。種子はまだ樹上にあるときから発芽を開始することがあり[7]、このような種子は胎生種子とよばれる[23][24]。XXY型の性染色体をもち、染色体数は 2n = 37(雄株)または38(雌株)[2][25]3a. "雄花"3b. "雌花"(写真のものは胚珠が2個あるが、ふつう1個)3c. 套皮で包まれた種子と赤く熟した種托
分布・生態

本州(房総半島以西)、四国、九州、南西諸島台湾、中国南部の暖地に分布する[2][7][15]。海岸に近い山地の照葉樹林などに生育する[7]。潮風に耐え、また耐陰性が高い[7][8]

神社林などではイヌマキが優占していることがあり、これは森林が小さくなると風の影響を受けやすく、風に強いイヌマキが残るためではないかとも言われている[要出典]。

イヌマキはイヌマキラクトン(inumakilactone)やナギラクトン(nagilactone)などのラクトン類を生成するが[26]、近縁のナギではラクトン類がアレロパシー物質(他の植物の発芽・成長を抑制する物質)として働くことが知られている[27][28]。またキオビエダシャクはイヌマキを食樹とし、イヌマキに由来するラクトン類を体内に蓄積、これが天敵であるサシガメ類を殺す毒となることが報告されている[29]
人間との関わり
植栽

古くから庭や生垣に植栽され[2][7][19]、世界各地で見られる[11](図4)。中華人民共和国では縁起物として人気があり、日本から輸出されてきたが、についたによる病虫害リスクに対して検疫基準が見直され、イヌマキを含めて植木や盆栽の日本からの輸出は2019年10月から停止された[30]4a. 小田原城跡のイヌマキの巨木: 樹高 20 m、目通り幹囲 4.5 m もある[31]4b. 剪定されたイヌマキ4c. イヌマキの盆栽5. キオビエダシャク

水はけが良い適湿な肥沃地を好む[32][33]。日向から日陰まで植栽可能だが、日当りが良いほうがよく生育する[32][33]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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