イナズマンF
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また、第11話のゲストである隅田和世は、『八月の濡れた砂』(藤田敏八監督作品)を「毎日見ていた」という加藤プロデューサーのたっての頼みで出演が実現した[6]

ドラマ重視の方針から、サナギマンやライジンゴーの場面が本編から極力削られたのは「概要」で述べた通りだが、アクションシーン不足への不満を考慮し、エンディングと次回予告の合間に1分弱の「イナズマンFアクション・タイム」と呼ばれるコーナーが設けられていた[3][2]。これはライジンゴーのポピニカが売れているのにもかかわらず、テレビ本編ではあまり活躍しなくなったことによって関連商品の売れ行きに支障が生じかねないと考えた東映側の、ポピーに対する事前の配慮だった。さらに本作品のエンディングで、前作限りの設定であったはずの少年同盟員が登場していたのは、前作に続きスポンサーを務めていた松下電器への配慮でもある[注釈 3]

最終回「さらばイナズマン ガイゼル最期の日」[注釈 4]は、準備稿段階では、ガイゼルを倒した代償として超能力の全てを失った五郎が、「東映まんがまつり」の看板を無感動に一瞥し、風吹く街のいずこへと去っていく、というラストシーンをはじめ、守ろうとした仲間や新人類の全滅など、陰鬱で重い展開だったが、大幅に改稿された[3]。このプロットは助監督を務めていた長石多可男の提案だったという。また、脚本にはラストで塚田正煕の作詞による『イナズマンのバラード』なる挿入歌を流すことが指定されていた[7]

没稿の最終回以外にも、放送された作品には「人間狩り」などのきわどい表現が多々あり、表現が過激すぎたために却下された構想もいくつか存在する。

上原は、後年のインタビューで、社会の有り様が本作品で描いたようになっており、複雑な心境であると語っている[8]
ストーリー

イナズマン・渡五郎は壮絶な死闘の末、帝王バンバを倒しファントム軍団は壊滅した。しかしその直後ファントム軍団を遥かに凌ぐ新組織・デスパー軍団が現れた。その尖兵・ウデスパーは、ファントム軍団を内部分裂させたあのロボット戦士だった。ウデスパーの猛攻の前に、エネルギーの回復していない五郎は退却するが、彼を助けた男女は殺され、偶然近くにいた作業員も巻き添えを食って襲われてしまう。

と、そこにライフルを持った男が現れ、銃声一閃、五郎を助けた。男は五郎を自らの地下アジトに連れて行く。男はインターポールの秘密捜査官・荒井誠と名乗り、この地下アジトに潜伏して戦うことを申し出る。そして、たった2人の辛く厳しい戦いの日々が始まる。
登場人物
イナズマンとその仲間たち
渡五郎 / サナギマン / イナズマン
ファントム軍団を倒した正義の超能力者。新たな敵・デスパー軍団の無差別攻撃が周囲の人々を巻き込むことを恐れ、大学の寮を引き払い、荒井とともに地下50メートルに作られた秘密基地に隠れ住んでいる。
荒井 誠
インターポールの対デスパー秘密捜査官。新人類について調査した際に五郎のことを知り、デスパーに襲われた彼を保護した。以後、彼の唯一の仲間として一緒にデスパーと戦う。性格は冷静沈着で、どんな苦境に陥っても諦めない不屈の精神の持ち主。過去の記憶を失っていたが、第6話でその体がダイオードSV3を命の源とするサイボーグである事実が判明する。さらに12話ではデスパーによって改造された後、奇跡的にデスパー・シティを脱出してきたことも明らかになる。しかし、脱出する際に妻と娘をシティに残してしまい、記憶を取り戻した後は妻と娘との再会を願うようになる。武器は第10話まではライフル、第11話からはショットガンを使用[9]
荒井 千津子
荒井の妻。荒井と生き別れになってからはデスパー・シティの地下に潜み、読書会を開いていた[注釈 5]。最終話で夫と再会し、家族で地上に脱出する。
荒井 ルミ
荒井の幼い一人娘。生まれてから本物の太陽の光を浴びたことがなかったが、最終話で地上に脱出。昇る朝日の光をその身に浴びた。
K麻耶
第16話に登場。インターポールの秘密捜査官で、かつての荒井のパートナー。デスパーに誘拐された九条博士の行方を追ってニューヨーク支部から来日するが、デスパーに捕らわれ、サデスパーによって荒井を殺すように催眠暗示をかけられてしまう。その命令のままに荒井を殺そうとするが、イナズマンが敵を倒すと同時に正気に戻った。
白鳥 ジュン
第22話に登場。荒井と同じくインターポールの捜査官だが、兄のコルトカシーラがデスパー怪人ブラックデスパーに改造されてしまったため、兄のためにインターポールを裏切る。皮肉にも兄の放った銃弾によって命を落とすが、五郎たちにデスパー・シティへの入口を示す暗号文を残した。
デスパー軍団

前作の第24話から暗躍を始めた新組織。ファントム軍団にクーデターをしかけて組織を壊滅状態に陥れ、帝王バンバがイナズマンに倒された後に本格的に活動を開始した。

ファントム軍団を遥かに凌駕する科学力と戦力を持ち、優れた超能力者を機械改造したロボット戦士(デスパー怪人)と戦闘員を戦力とする。弾道ミサイルやデスパー戦闘機、核兵器も開発・配備しており、日本の征服・支配でなく破壊や人間の抹殺をも厭わぬ作戦を展開した(第3話、第4話など)。ミュータントを自軍の戦力として取り込もうとしたバンバと違い、第2のイナズマンが現れることを警戒してミュータントの殲滅を企む。日本東京の地下深くに人工太陽が輝く地底都市、デスパー・シティを建造。5万人の人間を閉じ込め、市民をサイボーグに改造して圧政を敷いている。
ガイゼル総統
デスパー軍団を支配する
総統。顔は白一色で、右目は傷を負っている。服は漆黒の将校服。失敗した者は絶対に許さない冷酷非情の独裁者だが、一人娘のカレンには優しく、また、優れた部下には全幅の信頼を置いている。ファントム軍団の帝王バンバをも遥かに凌ぐ大超能力者で、地下に作られた巨大都市デスパー・シティは彼の超能力によって作り出されている。また格闘能力にも優れており、イナズマンの技をことごとく受け止める。趣味は捕らえた人間を使っての狩猟とチェス。第18話でレッドクインの放った銃弾により右耳を失い、以降は傷痕を隠すプロテクターを装着する。最終話でデスパー・シティの人工太陽を爆発させて日本列島を海底に沈めようとするが、カレンの裏切りによって失敗。その後イナズマンと対決し弱点である右目を自身の杖で貫かれ超能力が弱まりデスパー・シティが消滅、壮絶な死闘の末にイナズマンのパンチを食らい、デスパー軍団全てと共に滅び去った。
ウデスパー
前作第24話から登場したデスパーの参謀。ガイゼルの「右腕」として忠誠を尽くし、ガイゼルからも絶対の信頼を受けている。卑劣な策略家としての一面と誇り高い戦士の一面を併せ持つ。戦闘時は腕にカギ爪、
ガトリング銃、ムチなどのアタッチメント・ウデスパーハンド[10]を装着して戦う。これらは左右どちらでも装着可能だが、両腕に同時に装着することはなかった[10]。ガトリング銃はミサイルも発射でき、乱射だけでなく、人質を乗せた飛行船のゴンドラを吊るすロープを一本ずつ切断して見せるほどの狙撃も可能(第4話)。第7話でイナズマン抹殺の直命を受け、女サイボーグ・ミスワンを利用して渡五郎を殺そうとするが失敗。ミスワンを処刑した後、サナギマンにタイムアップの猶予を与え、イナズマンとの真っ向勝負に挑んだ。ゼーバーイナズマンフラッシュにも耐え抜いたが、皮肉にも自分がミスワンに与えた暗殺用ペンダントによって爆死した。

石森による初期デザインでは左腕が生身であった[11]

ウデスパーα
第8話から登場。爆死したウデスパーの破片から作られたロボット戦士の一人。体の形状は旧ウデスパーと同一だが、体色は赤銅色であり、少し小さくなった頭部には右に大型の、左に小型の刃状の角が着いている。ウデスパー回路の「力」を増強して受け継いだが、短気で血の気が多く、何事も力に頼りすぎて粗暴な面が目立ち、手柄を焦る傾向がある。弟であるβとは仲が悪い。戦闘時には万力状のアタッチメントを右手に装着して使用
[12]。βと角を交差させてクロスハリケーンという大竜巻を起こす。
ウデスパーβ
第8話から登場。爆死したウデスパーの破片から作られたロボット戦士の一人。αと同じく形状は旧ウデスパーと同一だが、体色は銀色であり、頭部の中心部に曲刀状の角が装備された。ウデスパー回路の「知」を増強して受け継いでおり、性格もウデスパー同様に冷静沈着な知略家で、αよりもガイゼルへの忠誠心は厚い。しかし、その正反対な性格のために短気な兄であるαとは仲が悪い。最終的にはガイゼルから合体ウデスパーへの合体手術を強制される。戦闘時にはムチ状のアタッチメントを右手に装着して使用し
[12]、第9話では単独でイナズマンと交戦している。
合体ウデスパー
第10話から登場。αとβに合体手術を行なって誕生させたウデスパーの最終形態にしてデスパー軍団最強のサイボーグ戦士。右半身が銀色、左半身が赤銅色になっている。強大な力でイナズマンを圧倒するが、戦闘中に動力回路が
オーバーヒートを起こしたために撤退し、再び2体に分離された。第13話で再度合体手術を行ない、欠点を克服して復活[注釈 6]。眼や口の部分が黒くなった。左腕のムチの先端を発射する合体ウデスパー落とし[13]という新技を使って第14話でイナズマンと戦うが、弱点の眉間にゼーバーシュートを受け、ひるんだところをゼーバーイナズマンフラッシュの直撃を浴びて倒された。

石森章太郎による初期デザインでは五本指の手を模した形状になっており、山田ゴロによる漫画版ではこの姿で登場している[14]

サデスパー
第12話から登場。デスパー・シティの市長を務め、
親衛隊を率いてカレンを警護している。ウデスパー、ウデスパー兄弟に比肩する[15]


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