世界で最古の現生樹種の一つである[10]。イチョウ類は地史的にはペルム紀に出現し[17][18]、中生代(特にジュラ紀[19])まで全世界的に繁茂した[7][18][20]。世界各地で葉の化石が発見され、日本では新第三紀漸新世の[18] 山口県の大嶺炭田からバイエラ属 Baiera[21]、北海道からイチョウ属の Ginkgo adiantoides Heer. などの化石が発見されている[22]。しかし新生代に入ると各地で姿を消し日本でも約100万年前に絶滅したため[17]、本種 Ginkgo biloba L. が唯一現存する種である[18]。現在イチョウは、「生きている化石」[23][24]として国際自然保護連合 (IUCN)のレッドリストの絶滅危惧種 (Endangered)に指定されている[1]。
種子(あるいはそのうち種皮の内表皮および胚珠)を銀杏(ぎんなん)というが、しばしばこれは「イチョウの“実”」と呼ばれ、食用として流通している[3][9][25]。銀杏は、中毒を起こし得るもので死亡例も報告されており、摂取にあたっては一定の配慮を要する(詳しくは後述)。.mw-parser-output .toclimit-2 .toclevel-1 ul,.mw-parser-output .toclimit-3 .toclevel-2 ul,.mw-parser-output .toclimit-4 .toclevel-3 ul,.mw-parser-output .toclimit-5 .toclevel-4 ul,.mw-parser-output .toclimit-6 .toclevel-5 ul,.mw-parser-output .toclimit-7 .toclevel-6 ul{display:none} 中国語で、葉の形をアヒルの足に見立てて鴨脚と呼ぶので、そこから転じたとする説がある[3][14][20]。加納 (2008)では、「鴨脚」の中世漢語 ia-kiau の訛りであるとされる[25][26]。亀田 (2014) では、「鴨脚」の中国語読みイーチャオとして日本に伝わったとしている[27]。しかし、室町時代の国語辞典『下学集』では、「銀杏」の文字に「イチヤウ」および「ギンキヤウ」と振り、その異名に挙げる「鴨脚」には「アフキヤク」と振られており、イチヤウはあくまでも銀杏の音としてギンキヤウと併記され、鴨脚の音とはされていない[28]。なお、鴨脚の名は中国では11世紀の梅堯臣(1002年?1060年)や欧陽脩(1007年?1072年)の詩に見られ、その種子は「鴨脚子」と呼ばれていた[29]。 それに対し、「イチョウ」の語は「銀杏」の明代の近古音(唐音)が転じたものとする説もある[3][13]。1481年頃に成立した一条兼良の『尺素往来』や1486年の『類集文字抄 種子は銀杏(ギンナン)と呼ばれるが、11世紀前半に上記「鴨脚子」から入貢のため改称され、用いられるようになったと考えられる[29]。明代李時珍著『本草綱目』に記載されている「銀杏」は、銀杏の初出が呉端
名称・呼称
「イチョウ」
「ギンナン」
学名.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィクショナリーにginkgoの項目があります。
属名 Ginkgo中村タ斎の『訓蒙図彙』に描かれる銀杏。ゲーテ直筆の詩Ginkgo biloba(1815年)デュッセルドルフ・ゲーテ博物館所蔵。
イチョウ属の学名 Ginkgo は、日本語「銀杏」に由来している[18][31][32]。英語にも ginkgo /?g??ko?/ として取り入れられている[註 3][31][32][33]。ほかにも男性名詞として、ドイツ語 Ginkgo, Ginko /?g??ko/ [34][35] や フランス語 ginkgo /????ko/ [36]、イタリア語 ginkgo [37] など諸言語に取り入れられている。
イチョウ綱が既に絶滅していたヨーロッパでは、本種イチョウは、オランダ商館付の医師で『日本誌』の著者であるドイツ人のエンゲルベルト・ケンペルによる『廻国奇観 (諸国奇談、Amoenitatum exoticarum)』(1712年)の「日本の植物相(Flora Japonica)」[38] において初めて紹介されたが、そこで初めて“Ginkgo”という綴りが用いられた[18][39]。