イタリアの治安は、ヨーロッパ諸国の中で最も不安定さが顕著な状態となっている。イタリア政府は犯罪組織(マフィア)の取締りの強化ならびに不法移民問題の解消などを中心とした総合的な治安対策に取り組んでおり、その甲斐もあって効果が現れて来ている。
2016年のイタリア内務省の統計によると、犯罪認知件数は約250万件で前年と比較すると7.99%減少している。しかし、それに反してスリが約16万件(前年比6.39%減)、ひったくりが約1.7万件(前年比6.22%減)と多数発生していることから、イタリアに滞在中はこれらの犯罪に対して用心と予防が必要となって来る。
また、外国人観光客の犯罪被害報告が多く寄せられており、都市部ではローマやミラノ、フィレンツェ、ナポリなどの観光地に被害が集中している。これらの観光地における日本人観光客などの犯罪被害は依然として多く、窃盗(車上荒らしや置き引きやひったくり、スリ)をはじめとして強盗(睡眠薬強盗など)や押し売り、バーのぼったくり行為が発生しており、さらには警察官になりすました外国人犯罪者が偽札や違法薬物の捜査などと称し、所持品検査を装って現金やクレジットカードを窃取する事件なども相次いで発生していることから滞在中の外出や散策は常に警戒を強める姿勢が求められている[39]。「イタリアの組織犯罪(英語版)」も参照
法執行機関が望まれています。
詳細は「イタリアの法執行機関(英語版)」を参照
イタリアにおける法執行は国家レベルで集中化されている面が強く、複数の警察組織やその他の公的機関が様々な公務や任務に参与している。また、法執行制度も複雑であると捉えられており、実際に少数の限定された地方機関からの助力を得たり、複数の省庁によって執行を実施されていることが多い[40]。
警察詳細は「イタリアの警察」を参照
イタリアにおける法執行機関・警察機構は、複合であり、国家レベルの組織のみでも5つある。その他に、地方自治体の警察組織として、県レベルの地方警察 (Polizia Provinciale)、コムーネレベルの自治体警察 (Polizia Municipale) がある。
国家レベルの警察組織は以下のものである。
カラビニエリ (Carabinieri) - 国家憲兵。国防省所属、警察業務は内務省の指揮を受ける。おもに重大事件などの警察業務を扱う。
国家警察 (Polizia di Stato) - 内務省所属。おもに軽犯罪や交通事案を取り扱う。
財務警察 (Guardia di Finanza) - 経済財務省所属。経済犯罪、脱税事案、知的財産権事案、組織犯罪、税関任務、国境警備、不法移民事案を行う。国境警備隊・沿岸警備隊としての側面もあり、準軍事組織となっている。
刑務警察 (Polizia penitenziaria) - 司法省所属。刑務所の警備・管理・運営。
このほか、イタリア沿岸警備隊がイタリア海軍の傘下にあり、海上交通整理、捜索救難、漁業監視、不法移民に対する海上監視などを行っている。 歴史が示すように、マフィアはイタリアの経済と社会に多大な影響力を持っている。マフィアとは元来 中世後期にシチリアで生まれた秘密結社で、親族組織からなり、冷酷な暴力とオメルタという厳しい掟で知られる[注釈 8]。 19世紀後半にはシチリアの田園地帯を支配し、地方当局への介入、ゆすり、市民に対するテロ活動を行っていた。戦間期はムッソリーニがマフィアを弾圧したため、彼らは移民に混じって北米に渡った。この時代を除いて、マフィアはイタリア南部を中心に合法・非合法活動を展開した。合衆国で服役中のラッキー・ルチアーノが第二次世界大戦のハスキー作戦に協力してから、マフィアは戦後の国際政治にまで関係するようになった。そして1970年代までに世界の代表的な麻薬のヘロイン取り引きの大部分がマフィアの支配下に入った。Confesercentiの報告書で、マフィアの総売上高は900億ユーロに相当するという。この犯罪収益は資金洗浄の対象である。
マフィア
人権が望まれています。
詳細は「イタリアにおける人権
マスコミが望まれています。
詳細は「イタリアのメディア(英語版)」を参照「イタリアの通信(英語版)」、「イタリアのインターネット(英語版)」、および「イタリアにおける検閲(英語版)」も参照
文化詳細は「イタリアの文化(英語版)」を参照
北イタリアのトスカーナ地方はルネサンス発祥の地であり、またその中心地でもあった。この影響下で数多くの芸術家が輩出され、同時に作品も制作された。詳しくはルネサンスの項を参照されたい。「イタリアの伝統(英語版)」も参照
また、ジュゼッペ・ヴェルディの『アイーダ』などオペラや音楽なども多く知られる。民衆音楽ではカンツォーネと呼ばれるナポリの歌謡曲が有名である。バレエの発祥の地ともされる。現代においてもノーベル賞作家を輩出し、映画においても絶えず世界的な作品を送り出している。
食文化イタリアを代表する有名な料理の一部。
時計回りにピッツア・マルゲリータ、スパゲッティ・カルボナーラ、エスプレッソ、ジェラート詳細は「イタリア料理」を参照
イタリア料理は地方色が強く各地方料理の集合体のようなものであり、北部はバターやチーズを多く使い、南部はトマトやオリーブオイルを多用する傾向がある。また沿岸部は魚を食べるが、内陸部はほとんど食べない、シチリア島はマグリブの食文化の影響があり、北東部はオーストリア料理やハンガリー料理など中欧に近い食文化があるなど地域色豊かである。
おもにパスタやパンを主食とし、北部のポー川流域では米をよく食べる。北部の一部地域にはパンの代用としてトウモロコシの粉でできたポレンタを食べる地域もある。イタリア料理のピザなどもある。
食事にワインを合わせる習慣があり、基本的にはその土地のワインを飲む。また、サラミ、ハムなどの肉製品、チーズの種類の豊富なことも特徴である。コーヒーの消費も多く、イタリア式のいれ方にはエスプレッソ、カプチーノ、カフェ・ラッテが有名。一方、ヨーロッパの国としては珍しくタコも食べる[注釈 9]。
文学ダンテ・アリギエーリ
サンドロ・ボッティチェッリ作詳細は「イタリア文学」を参照
近代イタリア語の基礎はフィレンツェの詩人ダンテ・アリギエーリによって創設され、彼の偉大な作品『神曲』は中世ヨーロッパで最高の文学作品だと考えられている。イタリアはそれ以外にも祝福された文学者に不足しなかった。例を挙げるならジョヴァンニ・ボッカチオ、ジャコモ・レオパルディ、アレッサンドロ・マンゾーニ、トルクァート・タッソ、ルドヴィーコ・アリオスト、フランチェスコ・ペトラルカのような人物の名が挙げられ、彼らのもっとも知られた表現の媒体は彼らがイタリアで生んだソネットだった。近代の文学者であり、ノーベル文学賞受賞者には、1906年受賞の国民主義詩人ジョズエ・カルドゥッチ、1926年受賞の写実主義作家のグラツィア・デレッダ、1934年受賞の近代劇作家ルイージ・ピランデッロ、1959年受賞の詩人サルヴァトーレ・クァジモド、1975年受賞のエウジェーニオ・モンターレ、1997年受賞の風刺家かつ劇作家ダリオ・フォの名が挙げられる[41]。